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サイクル ロードレース コラム 2015年5月31日

ジロ・デ・イタリア2015 第20ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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自らの限界に達したザカリンが、後方へと脱落して行った後も、先頭集団の5人がスピードを緩めることはなかった。後方のコンタドールとの差は、ラスト5kmで1分25秒、3kmで1分40秒……。そしてゴール前2km。アルが飛び出した。最後までしがみついたウランもラスト1700mで振り払い、セストリエーレの山頂へと真っ先にたどり着いた。2日連続の山頂フィニッシュ勝利で、少しほろ苦い思いも味わった2015年ジロを、美しく締めくくった。

「経験がまだ足りない。今は数年かけて経験をつんでいる最中だ。それに今年は少しいつもと違った。11月から責任とプレッシャーの中でトレーニングを始めた。繰り返し言っている通り、プレッシャーは怖くはない。むしろいい仕事をしなきゃ、とモチベーションが高まる。だけど、責任もプレッシャーもなくジロを走り始めるのと、チームやメディア、ファン、そして自分に対して大きな責任を感じながら走り始めるのとでは、やっぱり違うものだ。ちょっと挫けたこともあった。でも、責任を果たし続けた。今大会の区間2勝とならんで、このこともまた、僕にとっての勝利なんだ」(アル、公式記者会見より)

大はしゃぎでフィニッシュラインを越えたアルの、2分25秒後に、コンタドールが小さくガッツポーズしながら辛い1日を終えた。総合2位以下とのタイム差は、いまだ2分02秒残っていた。2008年大会に続く2枚目のマリア・ローザと、自身7度目のグランツール総合優勝が、大会1日を残してほぼ確実となった。つまりは、年頭から宣言していた「ジロ&ツールのダブル優勝」の、基本条件である「ジロ優勝」をクリアすることになる。

「今年のジロは本当に厳しかった。ステージを追うごとに登坂距離が増えて行き、毎ステージが狂気に満ち溢れていた。我々は追走に駆り立てられ、おかげでスピードがどんどん上がっていった。とにかく、ジロとツールの両方を走ると決めた時点で、ジロでかなりのエネルギーを消耗するだろうことは分かっていた。これからは休養を取って、できる限り体力の回復に努めていく。早速、今夜から始めたいね」(コンタドール、公式記者会見より)

アスタナは総合2位アル、3位ランダと表彰台に2人を送り込み、2人がそれぞれ2つずつ区間勝利を持ち帰り、チームランキングでも総合首位をほぼ確定させた。猛烈に動きつづけたヘシェダルは、2日連続の2位で総合5位に上がった。クルイスウィクは奮闘実らず、山岳賞は取り戻せなかった。ただし2011年の8位(コンタドールの成績剥奪による繰り上がり)よりも、ひとつ上の順位で、つまり個人としてはグランツール最高順位で大会を終えることが出来そうだ。

山の熱き戦いが幕を閉じてから、40分ほど過ぎた後に、赤いジャージ取り囲むトレック集団が仲良くフィニッシュ地へとたどり着いた。「明日のミラノに備えて、今日は体力温存するよう指示されてました」と、5度目のグランツール完走間近の別府史之は語った。「明日はきっと厳しい1日になりますよ!」とも。そう、戦い終えた総合ライダーたちがリラックスした1日を過ごす一方で、スプリンターチームには最後の大仕事が待っている。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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