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【Cycle*2021 ミラノ〜サンレモ:レビュー】息を飲む心理戦の果てにジャスパー・ストゥイヴェンがキャリア最大の勝利!前回大会王者のファンアールト「スプリントチャンスを無駄に消費したくなかった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか美しい景観の中を走るプロトン
このトレ・カピの最終盤では、ドゥクーニンクのエーススプリンター、サム・ベネットがメカトラの犠牲に。7kmにも渡る孤独な追走の果てに、無事メイン集団に復帰を果たすも、間違いなく体力を大いに消耗した。またレース後のアラフィリップのコメントによると、もう1人のスプリンターであるダヴィデ・バッレリーニも調子は良くなかった。スタート前には複数の切り札を擁していたはずのウルフパックだが、この段階で、世界チャンピオンは1人で勝負せざるを得なくなった。
残り25km、朝からの逃げの最後の1人が飲み込まれたのは、チプレッサの坂道だった。つまり「マチューがアタックするのではないか」と数日前から話題で持ちきりの、この日最後から2番目の難所だが……ここで効果的な動きを見せたのは、むしろワウト率いるユンボ・ヴィスマのほうだった。チームメートのサム・オーメンが、クライマーの脚で最前列を高速牽引。おかげでフェルナンド・ガビリアや元覇者アレクサンドル・クリストフ等々、複数の強豪スプリンターが後方へと脱落していく。下りで一旦、脱落組も前に追いつくものの、ポッジオで再び突き放されることになる。
チプレッサの下り突入直前には、イネオス・グレナディアーズが最前列を奪取した。最後の難所ポッジオでも猛烈に引いた。特に現役個人タイムトライアル王者フィリッポ・ガンナが、トーマス・ピドコックのために高速テンポを強いる。
驚くべきは小型スプリンターのカレブ・ユアンが、常に前から2〜3番目にしっかり潜んでいたこと。一方でファンデルプールは、頂上に近づきつつある頃、ほんの数人程度ながらポジションを落としていた……。
「ポッジオで差を付けるのはすごく難しい。だってスピードが完全に上がりきっていて、あそこから独走に持ち込むのは至難の業だよ」(ファンデルプール)
だからアラフィリップが3年連続ポッジオでアタックを打った瞬間、ファンアールトがすかさず背中に貼り付けたのに対して、ファンデルプールは遅れを取った。もちろん2週前のストラーデ・ビアンケ王者はあっさり穴を埋めた。自らの後輪にたくさんのライバルたちを引き連れて。
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