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【Cycle*2021 ミラノ〜サンレモ:レビュー】息を飲む心理戦の果てにジャスパー・ストゥイヴェンがキャリア最大の勝利!前回大会王者のファンアールト「スプリントチャンスを無駄に消費したくなかった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかアタックを仕掛けたアラフィリップについていくファンアールト
ところでファンデルプールは「あのアタックのタイミングはちょっと遅かったように思う。しかもポッジオの一番簡単な区間だったし」と振り返っているが、実は2019年のアラフィリップは完全に同じ場所で加速を切っているし、2020年もほぼ変わらないのだ。ただ昨夏はすぐにファンアールトとの一騎打ちに持ち込めたが、優勝した2年前は頂上を7人で越え、下りで13人にまで膨らんでいる。
一方の今年は11人でダウンヒルへと突入した。アラフィリップに続きファンアールトも加速を試みたが、数を絞り込むことはできなかった。これに関して誰もが異口同音に「スピードのある選手がたくさん残ってしまった」と嘆く。つまりはユアン、ストゥイヴェン、マキシミリアン・シャフマン、セーアン・クラーウアナスン、トーマス・ピドコック、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート、マッテオ・トレンティン、そしてマイケル・マシューズ。下りではピドコックが先頭を奪い、大胆にコーナーを攻めたが、やはり誰ひとりとして振り払えなかった。むしろソンニ・コルブレッリやペーター・サガン等々が下りを利用して、追いついてきた。
「最後は本当に試練だった。上りで差をつけようとトライしたけれど、勝利を決めるには十分ではなかった。スピードのある選手がたくさん残ったから、正直に言って、僕にはあれ以上なにもできなかった。それにポッジオからの下りもすごくスピードが上がって、息を付く暇さえ一切なかった」(アラフィリップ)
大急ぎでポッジオから下り切った瞬間だった。集団内の選手たちがほんの僅かな牽制状態に入った……その隙を突くかのように、ストゥイヴェンが一直線に飛び出した。
「スピードのある選手がたくさん残っていた。だから僕は『オール・オア・ナッシング』のつもりでトライしなきゃならないと分かってた。もしこのまま何もせずラインまで進んだら、5位か10位で終わるだろう。でもすべてを投げ売って手ぶらで帰るか、それともキャリア最大の勝利を手にするか、そのどちらかの方がいいと思ったんだ」(ストゥイヴェン)
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