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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 レースレポート:第11ステージ】ダヴィ・ゴデュが歓喜の雄叫び!翌日に控える魔の山アングリル「殴り合いのバトルが起こるだろう」(ログリッチ)
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか残り81km。3つ目の山に突入した直後だった。モビスターのマルク・ソレルが、メイン集団から突如としてアタックを打つ。しかしユンボもイネオスもまったく動かない。総合3分52秒差の選手を追いかけるどころか、今までどおり淡々とテンポを刻むだけ。
「ユンボは自分たちにとってそれほど危険にはならないだろうと判断したんだと思う。それにペースを上げすぎることで、他のアタックを誘発し、もっと大きな差をつけられてしまうリスクを冒したくなかったはず」(エンリク・マス)
あっさり見逃してもらえたソレルは、わずか2kmの全力疾走で、前の8人に追いつく。本来なら総合10位選手は逃げ集団内では忌み嫌うべき存在だが、むしろソレルの合流で、マルタンにとっては状況が好転する。なにしろマスによると、ソレルのアタックは「予定通り」。だからこそ逃げ集団内では同僚ネルソン・オリヴェイラが待ち構えていたし、エース合流と同時に猛烈に牽引を始めたのだ。そのせいで序盤に力を使いすぎたウェレンスは、あっという間に後方へ振り落とされた。直後の1級山頂では、もはやライバルのいないマルタンは、悠々と1位通過・10pt収集を果たしたのだった。
ゴデュにとっても、ソレルの合流は、悪い条件ではなかった。そこまでの逃げの構図はグルパマ2人(ゴデュとブルーノ・アーミライ)にサンウェブ2人(マイケル・ストーラーとマーク・ドノヴァン)、さらに前待ちオリヴェイラ、ニクラス・エイ、そしてもちろんマルタン&ウェレンス。それがソレル合流+ウェレンス脱落により、「2人で逃げるチーム」が3つに増えた。自ずとグルパマの分担すべき仕事量は減ったし、そもそもオリヴェイラがあまりに熱心に作業を遂行したものだから、タイム差はさらに3分以上に広がる。
残り45kmの中間ポイントはソレルが首位通過で、ボーナスタイム3秒を手に入れた。直後に上り始めた4つ目の山岳(1級)では、マルタンが新たに1位10ptを追加した。真っ先にエイが脱落していき、さらに全長16.5kmの最終峠に入ると、エースのために力を尽くしたアーミライとオリヴェイラがそれぞれ役目を終えた。生き残ったのは5人。そこまで先頭交代に積極的ではなかったサンウェブコンビも、どうやらゴデュにたしなめられ、以降は責任を持って作業を分担した。勾配が一気に跳ね上がる残り5.5km地点に到達しても、いまだリードは2分残っていた。
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