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【ツール・ド・フランス2020:選手相関】カギを握る2人のスロベニア人選手。お互いエースとして火花を散らす!プリモシュ・ログリッチ × タデイ・ポガチャル
ツール・ド・フランス by 山口 和幸ログリッチと握手をかわすポガチャル
そして第13ステージ、峠の頂上にゴールが設定されている難関区間で首位ログリッチとポガチャルのスロベニア勢が抜け出した。最後はポガチャルが先着して、第9ステージに続く2勝目を挙げた。タイム差なしの2位になったログリッチはライバル選手との差をさらに広げ、ここで総合優勝に一歩前進した。
「この日はリタイアすることなく生き残ろうと思っていた。まさか最後にこんな調子がよくなるなんて思わなかった」とメジャー初出場にして2勝目を挙げたポガチャル。総合成績で前日の5位から3位に浮上。さらに新人賞でトップに躍り出て純白のリーダージャージを獲得した。
大会最後の山岳となった第20ステージでもポガチャルが独走を決めて、第9、13ステージに続く大会3勝目を挙げた。翌日の最終日は平たん区間なので、ログリッチの初優勝もここで決まった。
「多くのスロベニアファンがボクに声援を送ってくれた」とポガチャル。
「スタート後は積極的に行けるとは思えなかったが、みんなが冷たい雨に苦戦しているのを見てアタックした。区間3勝を挙げ、最終日の表彰台にスゴい選手たちと立てるなんて夢のようだった」
2020ツール・ド・フランス。2017ジロ・デ・イタリア総合優勝のトム・デュムラン(オランダ)を獲得したユンボ・ヴィスマは、昨年総合3位に入ったステフェン・クライスヴァイク(オランダ)をケガで失ったものの、ログリッチをエースに起用して初制覇をねらう。
ログリッチ自身も、首位に立っていたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで負傷すると、ケガの回復に専念するために最終日をスタートしなかった。総合優勝を捨ててまでツール・ド・フランスにかけているのだ。
そしてポガチャルは初出場。25歳以下の選手を対象として、個人総合時間が最も少ない選手に与えられる新人賞の有力候補。最有力候補は前年の総合優勝者であるエガン・ベルナルだが、レースが荒れればポガチャルがマイヨ・ジョーヌとのダブル獲得というケースもあり得ないことではない。
2020ツール・ド・フランスでカギを握る2人のスロベニア勢。果たしてライバルであり続けるのか? あるいは他の強豪選手をふるい落とす時には同胞として力を合わせるのか? このあたりにも注目してレースを観てみたい。
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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