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ぎりぎりの追走劇の果てに、今大会4度目の大集団スプリントで1日は締めくくられた。実力と知名度ならナンバーワンのはずのジョン・デゲンコルブは、またしてもポジション取りに失敗し、4度目の苦杯を嘗めた。ゴール直前のメカトラブルをモノともせず、22歳のダニー・ファンポッペルが、初めてのグランツール勝利に歓喜した。
ほんの2週間ほど前は、豪華キャストの勢揃いが、大いに話題を呼んだはずだった。しかし、ヴィンチェンツォ・ニーバリやティージェイ・ヴァンガーデレンに続いて、また1人、総合争いのビッグネームがスペインを去った。2015年ツール・ド・フランス覇者は、前日のスタート直後に縁石に激突した。それでもペダルを回し続け、6つの峠を上り切った。右足舟状骨を骨折し、松葉杖がなければ歩けないほどの重症だったというのに……!勇敢なるチャンピオンは、この日の朝、静かに大会を離れた。
同じく前日のスタート直後に発生した、セルジオ・パウリーニョとTVカメラ用オートバイの衝突→リタイアは、自転車界に大きな波紋を生じた。今大会だけで所属選手2人がオートバイ事故に巻き込まれたティンコフ・サクソは、大会のボイコットさえ口にした。スタート前の話し合いで、幸いにも、チームはレース続行を決定した。また昨年から3選手がレース中の車両事故に巻き込まれたBMCも、ティンコフに続いて、UCI国際自転車競技連盟へ公開書簡を送った。さらにCPAプロ自転車選手会は、関係者による緊急安全ミーティングを開催すべきだと提案。今後の対応が注目される。
肝心のレースの方は、下り基調を利用して、スタートから7km地点で5選手が逃げ出した。アレクシー・グジャールにマキシム・ブエ、ミゲール・ルビアーノ、ヤコブ・ヴェンター、さらには第7ステージですでに逃げ切り勝利をもぎ取っているベルトイヤン・リンデマンは、メイン集団から最大5分40秒ほどのリードを許された。厳しかった山越えの翌日に、総合勢たちは、静かな1日を過ごすことに決めていた。新マイヨ・ロホのファビオ・アルとアスタナのチームメートたちは、ステージ前半の2級峠を問題なく切り抜けると、集団の制御権をあっさり手放した。代わってジャイアント・アルペシンが、プロトン前列でタイム差調整に努めた。
ただ、ジャイアント列車は、連日の集団コントロール作業で疲れ果ていたのかもしれない。デゲンコルブのために、さらにはマイヨ・ロホを3日間着用し、現在も総合3位につけるトム・デュムランのために、序盤から仕事のし通しだった。しかもエスケープ集団には、見事にタイムトライアル強者ばかりが揃っていた。
ラスト50kmで2分半にまで縮まったタイム差は、残り20kmを切っても、いまだ2分も残っていた。すでに随分と前から、トレックファクトリーレーシングも追走に手を貸していたけれど、思うように距離は詰まらなかった。いつしかランプレ・メリダも協力を始めた。牽引する者たちの顔に、必死さが、にじみ出ていた。
「ラスト30kmは、全力で走った。残り18kmでも、いまだ2分差があることを告げられて、(逃げ切りを)信じ始めた。そして、どうやってフィニッシュを戦おうか、頭を巡らしだした」(ブエ、チーム公式HPより)
ゴール前11.5km、タイム差は約1分。ここでトレックのスプリンター、ダニー・ファンポッペルにパンクのアクシデントが襲いかかる。
「とにかくすばやく交換して、チームカー隊列に滑り込んだ。プロトン前方のチームメートは前を引くのをやめて待っていてくれたし、フランク・シュレクとヤロスラフ・ポポヴィッチが、僕を前方まで引き戻してくれた。ポポは素晴らしい仕事をしてくれた。僕をデゲンコルブのすぐ後ろのポジションまで、連れて行ってくれたんだからね」(ファンポッペル、チーム公式リリースより)
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