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サイクル ロードレース コラム 2015年9月6日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2015】第14ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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後方のメイン集団では、山へ入った途端に、モヴィスターがアスタナから先頭ポジションを奪い取った。前日にデマルキと共に24人の逃げに乗り、最終盤にはロメン・シカールのために大いに力を尽くした新城幸也もまた、前線で牽引役に務めた。

しかし、ゴールまで11kmに近づくと、改めてアスタナが主導権を取り戻した。ルイスレオン・サンチェスが一気にスピードを上げ、プロトンはまたたく間に小さくなった。ゴールまで5kmに近付くと、ダリオ・カタルドがさらに加速をもう一段。集団は散り散りとなった。そして、残り3km。ミケル・ランダが、仕上げとばかりに、山道でスプリントをかけた。そこから発射されたのは、もちろん、赤いジャージだった!

ジロ総合2位ファビオ・アルの猛攻にピタリと張り付いていったのは、ツール総合2位のナイロ・キンタナだけだった。ジェスパー・ハンセンもしばし奮闘するも、すぐについていけなくなった。それ以外の総合勢はといえば……、総合3位トム・デュムランに追走の責任を押し付けて、しばらく様子見に終始していた。

「アルが加速した時、付いて行こうと無理に努力することで、力を使い果たしてしまうのが怖かった。だから僕は待ったんだ。おかげで少し、体力を回復することができた。あれが僕の1日を救った」(ホアキン・ロドリゲス、チーム公式HPより)

そのうち、様子見、なんていう悠長な状況ではなくなった。理由の一つは、山肌が、真っ白の霧に覆われていたから。一寸先も見えない状況で、アルやキンタナを先に行かせるのは、あまりに危険すぎた。総合5位につけていたエステバン・チャベスが、数人のライバルを引き連れて突進した。「プリト」もまた、流れに乗って、前線への復帰を果たした。

そして残り1kmの、最も勾配の厳しいパートで、ついにキンタナが仕掛けた。ロドリゲスだけがしぶとく追いかけたが、次第に引き離されていった。大会第1週目に奮闘したチャベスも、ラスト3kmから加速を続けてきたアルも、粘り切るだけのエネルギーを残していなかった。……ただし、ライバルにとっては幸いなことに、本人にとっては不幸なことに、病み上がりのキンタナは、他を大きく引き離せるほどの体力を回復していなかった。

「調子は良かったし、脚が上手く反応できるようになってきた。でもまだ胃が痛むし、ウィルスに苦しんだ後遺症が残ってる。完全にリカバリーしたわけではないんだ」(キンタナ、ゴール後TVインタビューより)

濃霧の中で繰り広げられた熱戦は、結局のところ、それほど大きな差を作り出さなかった。勝者デマルキから3分32秒後にフィニッシュしたキンタナは、ロドリゲスをほんの6秒、チャベスとアルを7秒上回ったに過ぎない。なにより、「ルーラー向け」の山で、デュムランもキンタナから26秒しか失わなかった。

「今日はOKだ。最高の一日ではなかったけれど、上手くタイムロスを食い止めることができた」(デュムラン、チーム公式HPより)

それでも、総合でマイヨ・ロホのアルから2分以内につけるのは、前日の8位以上から、5位以上へと数を減らした。2位ロドリゲス(26秒差)に続き、デュムランは3位に踏みとどまった(49秒差)。チャベスは4位に浮上し(1分29秒差)、ほんのわずかなタイム損失でラファル・マイカが5位に後退した(1分33秒差)。キンタナは総合11位(3分07秒差)から9位(3分差)へ小さく浮上したに過ぎない。また前日トップ10入りを果たしたシカールは、この日も総合10位にしっかり居座っている。

200kmを超える長い1日が終わり、2015年ブエルタもいよいよ最後の1週間へと突入する。15ステージの終わりには、いかにもブエルタらしい、激勾配を織り交ぜた1級峠がそびえ立っている。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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