【ツール・ド・フランス2016 第20ステージ結果速報】土砂降りの超級峠をヨン・イサギーレが駆け下り勝利！フルームが総合首位を守り抜く

アルプス4連戦もとうとう最終日、メジェーブからモルズィーヌまで146.5kmの短距離コース、総合順位を決定づける最後の試練は4つの山岳を駆け抜ける。

逃げ切り勝利を目指す選手、総合順位を一つでもあげたい選手、エースを前待ちしたい選手、そんな思惑が5人の逃げグループといくつもの追走グループを形成し、メイン集団もバラバラの状態で無印の登坂路へと突入した。

峠を越え、下り、2級コル・デ・アラヴィを登るころにはおおよそ30選手での先頭集団ができあがり、メイン集団はチーム スカイがコントロール下に置いた。

連日逃げに乗るトーマス・デヘント（ロット・ソウダル）が独走状態で山頂を通過すると懸念されていた雨が降り始めた。ロマン・クロイツィゲルをアシストするペーター・サガン（共にティンコフ）の牽引で逃げグループがデヘントを吸収し、中間スプリントポイントはマイケル・マシューズ（オリカ・バイクエクスチェンジ）が先頭で通過。アスタナ プロチームがペースアップをはかるメイン集団とは3分の差がついている。

1級コル・ド・ラ・コロンビエールの登りも逃げグループはサガンが牽引、デヘント、ハリンソン・パンタノ（イアム サイクリング）の順で山頂を通過し、長い下りでサガンやクロイツィゲルを含む8選手で先頭グループを形成、追走から1分程度を先行しながら、距離を進めていく。メイン集団はパオロ・ティラロンゴを中心にアスタナ プロチームが淡々とペースを刻む。

1級コル・ド・ラ・ラマの山頂まで9.6kmの地点でスーパー敢闘賞を獲得したサガンのアシストが終わり、クロイツィゲルが先頭へ。先頭交代がうまくまわらない逃げグループの中、ヴィンチェンツォ・ニーバリ（アスタナ プロチーム）がペースアップを試みた時には追走が真後ろまできていた。アレクシー・グジャール（アージェードゥゼール・ラ・モンディアル）が抜け出したあと、逃げグループは追走に吸収された。

メイン集団ではアージェードゥゼールも協調しペースアップをはかり、バウク・モレマ（トレック・セガフレード）が遅れ始めた。独走していたグジャールは遅れ、デヘントがかわりに独走、山頂を三たび先頭通過するも、ジュリアン・アラフィリップ（エティクス・クイックステップ）とパンタノが下りでデヘントをかわした。

土砂降りの中、超級峠コル・ド・ジュー・プラーヌでメイン集団はオリカ・バイクエクスチェンジがペースアップをはかると、ファビオ・アル（アスタナ プロチーム）の脚がとまる、チーム全員でサポートにまわるも、最終的にクリス・フルーム（チーム スカイ）から13分以上遅れ、総合順位も13位まで落とした。

アルの状態を聞いた追走グループのニーバリがステージ優勝を狙いにいく、激しくアタック合戦をしていたパンタノとアラフィリップに山頂まで3.6kmのところでニーバリが追い抜いた。メイン集団ではホアキン・ロドリゲスが飛び出し、追走グループから下がったイルヌール・ザカリン（共にチーム カチューシャ）のアシストで総合順位のジャンプアップをはかる。追走からヨン・イサギーレインサウスティ（モヴィスター チーム）も飛び出し、パンタノとアラフィリップをかわし、ニーバリを追いかける。

シッティングでペダルをまわし続けるニーバリ、山頂まで1kmの地点でイサギーレインサウスティとパンタノが後ろにぴたりとはりついた。そのまま山頂を越え12kmの下りへ三つ巴のまま、イサギーレインサウスティが先頭で突入。背後でダウンヒル巧者のパンタノがコースアウトしかけ、ニーバリはスピードが上がらずパンタノに抜かれた。濡れて滑りやすいうねった路面の下りをタイム差を広げながらイサギーレインサウスティが駆け下り、そのまま区間勝利を果たした。

チーム スカイが牽引するメイン集団は慎重にダウンヒルをこなしダニエル・マーティン（エティクス・クイックステップ）やロメン・バルデ（アージェードゥゼール・ラ・モンディアル）、ナイロ・キンタナ（モヴィスター チーム）がゴールスプリントをする中、総合優勝を確定させたフルームが穏やかな笑みを浮かべてチームメートと共にフィニッシュラインを越えた。

「ニーバリやパンタノはとても強い選手だから、後ろからの驚異を感じながらゴールまで必死で走った。チームに一つでも勝利を付け加えることができてよかった」（イサギーレインサウスティ、勝利後インタビュー）

「無事にゴールできてよかった、チームメートも周りにいて感動した。雨だったから気をつけた。明日、正式にゴールしてからもう一度感激をかみしめたい」（フルーム、ゴール後インタビュー）

第20ステージ結果

１　ヨン・イサギーレインサウスティ（モヴィスター チーム／スペイン）in 04h 06' 45''
２　ハリンソン・パンタノ（イアム サイクリング／コロンビア）at 00' 19''
３　ヴィンチェンツォ・ニーバリ（アスタナ プロチーム／イタリア）at 00' 42''
４　ジュリアン・アラフィリップ（エティクス・クイックステップ／フランス）at 00' 49''
５　ルイ・コスタ（ランプレ・メリダ／ポルトガル）at 01' 43''
６　ロマン・クロイツィゲル（ティンコ／チェコ）at 01' 44''
７　ウィルコ・ケルデルマン（チーム ロットNL・ユンボ／オランダ）at 01' 49''
８　ホアキン・ロドリゲス（チーム カチューシャ／スペイン）at 03' 24''
９　ダニエル・マーティン（エティクス・クイックステップ／アイルランド）at 04' 12''
10　ロメン・バルデ（アージェードゥゼール・ラ・モンディアル／フランス）　at 04' 12''
・・・
11　ナイロ・キンタナ（モヴィスター チーム／コロンビア）at 04' 12''
13　アダム・イェーツ（オリカ・バイクエクスチェンジ／イギリス）at 04' 14''
20　クリス・フルーム（チーム スカイ／イギリス）at 04' 18''
22　リッチー・ポート（BMC レーシングチーム／オーストラリア）at 04' 18''
36　バウク・モレマ（トレック・セガフレード／オランダ）at 09' 49''
56　ファビオ・アル（アスタナ プロチーム／イタリア）at 17' 38''
114 新城 幸也（ランプレ・メリダ／日本）at 30' 08''

個人総合順位

１　クリス・フルーム（チーム スカイ／イギリス）in 86h 21' 40''
２　ロメン・バルデ（アージェードゥゼール・ラ・モンディアル／フランス）at 04' 05''
３　ナイロ・キンタナ（モヴィスター チーム／コロンビア）at 04' 21''
４　アダム・イェーツ（オリカ・バイクエクスチェンジ／イギリス）at 04' 42''
５　リッチー・ポート（BMC レーシングチーム／オーストラリア）at 05' 17''
６　アレハンドロ・バルベルデ（モヴィスター チーム／スペイン）at 06' 16''
７　ホアキン・ロドリゲス（チーム カチューシャ／スペイン）at 06' 58''
８　ルイ・メインチェス（ランプレ・メリダ／南アフリカ）at 06' 58''
９　ダニエル・マーティン（エティクス・クイックステップ／アイルランド）at 07' 04''
10　ロマン・クロイツィゲル（ティンコフ／チェコ）at 07' 11''
・・・
11　バウク・モレマ（トレック・セガフレード／オランダ）at 13' 13''
13　ファビオ・アル（アスタナ プロチーム／イタリア）at 19' 20''
117 新城 幸也（ランプレ・メリダ／日本）at 03h 57' 06''

ポイント賞

１　ペーター・サガン（ティンコフ／スロバキア）440 pts
２　マルセル・キッテル（エティクス・クイックステップ／ドイツ）228 pts
３　マイケル・マシューズ（オリカ・バイクエクスチェンジ／オーストラリア）183 pts

山岳賞

１　ラファル・マイカ（ティンコフ／ポーランド）209 pts
２　トーマス・デヘント（ロット・ソウダル／ベルギー）130 pts
３　ハリンソン・パンタノ（イアム サイクリング／コロンビア）121 pts

新人賞

１　アダム・イェーツ（オリカ・バイクエクスチェンジ／イギリス）in 86h 26' 22''
２　ルイ・メインチェス（ランプレ・メリダ／南アフリカ）at 02' 16''
３　エマヌエル・ブッフマン（ボーラ・アルゴン18／ドイツ）at 42' 58''

チーム総合順位

１　モヴィスター チーム（スペイン）in 259h 11' 21''
２　チーム スカイ（イギリス）at 08' 14''
３　BMC レーシングチーム （アメリカ）at 48' 11''

敢闘賞

79　ハリンソン・パンタノ（イアム サイクリング／コロンビア）

スーパー敢闘賞

32　ペーター・サガン（ティンコフ／スロバキア）

第20ステージのリタイア

なし