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サイクル ロードレース コラム 2017年9月22日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 もう一人の主役

サイクルNEWS by 升田 智晴(J SPORTSサイクルロードレースプロデューサー)
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72回目を迎えたグランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャは9月10日に幕が閉じた。
現役最強ライダーと称されるクリス・フルームが盤石の力を見せつけ、史上初となる同一年でのツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャのダブルタイトルを獲得した。

そんなブエルタは「グランツール最終戦」という面だけではなく、多くの意味を持つ闘いの場でもある。
来季の所属チームが決まっていない選手にとっては絶好の「就職活動の場」である。新規契約獲得を目指しハングリーな走りを見せるベテラン選手、とにかく結果が欲しい有力選手、そして虎視眈々とチャンスを伺う若手選手など…。結果として今大会では、3日に一人の割合で、人生初となるグランツールステージ優勝者が誕生した。これはツール・ド・フランスの約2倍の数字だ! ベテラン選手でも若手選手でも、誰しもがスポットライトを浴びる可能性があるというのもブエルタ・ア・エスパーニャの見どころの一つでもある。

一方でこの大会を引退レースとしてセレクトした選手もいる。
最も注目を集めたのが、グランツール全ての総合タイトルを持つスペインの英雄、アルベルト・コンタドールだ。最強ライダー・フルームのライバルとして、現地メディアは連日彼の動向を伝え続けた。序盤のステージで体調不良のために、タイムを落としてしまうという苦しい立ち上がりとなってしまったが、スペインの英雄は決してあきらめることはなかった。フルームとの差を詰めるべく、次々に立ちはだかる厳しい山岳ステージで、数えきれないアタックを繰り返した。
そして迎えた第20ステージの「山岳激坂ゴール」では鬼気迫るダンシングを見せ、残り5.5キロで遂にライバルたちを置き去りにし、地元スペイン勢唯一となるステージ優勝を成し遂げた。

TVの生インタビューでは「このブエルタは多くの人々の記憶に留まることだろう。僕が幾度となくアタックを仕掛けたこと。何も起こりそうもないどうってことない地形で、僕が勇敢に攻撃を繰り返したこと。そんなことを人々はずっと憶えていてくれるはずだ」と語った。冷静に事実を伝えることに徹している実況・解説陣も、この日ばかりは感情を大爆発させた生中継となった。臨場感溢れるコメントの数々、何度聞いても鳥肌が立つのは私だけではないはずだ。マドリードへ凱旋する最終ステージで、沿道に詰めかけたファンや関係者より贈られる、万雷の拍手に笑顔で応えるコンタドール。
歯を食いしばり顔を歪ませて果敢にペダルを踏むコンタドール。
どちらのコンタドールも、我々に勇気と感動を与えてくれたことは間違いない。
アルベルト・コンタドール34歳、現役最後のグランツールはトップから3分18秒遅れ、82時間33分20秒の総合5位で自転車を降りた。 決して忘れることが出来ない多くの「記憶」を、我々の胸に刻み込んで…。

そしてあの激闘から10日後、嬉しいニュースが飛び込んできた。10月20~22日に栃木県宇都宮市で開催される、アジア最高峰のワンディレース「ジャパンカップ」に、なんと!アルベルト・コンタドールが初来日し、クリテリウムレースへ出場する事が発表されたのだ。グランツールを7度制した独特のダンシング、表彰台で見せる人差し指を前に突き出すバキューンポーズ、サイクルロードレースの歴史に語り継がれる彼の雄姿を、ぜひとも宇都宮でその目に焼き付けよう。

升田 智晴(J SPORTSサイクルロードレースプロデューサー)

升田 智晴(J SPORTSサイクルロードレースプロデューサー)

通称マッスー、担当競技はフィギュアスケートと自転車。コンタドール来日の際には、職権乱用で2ショット写真を撮影の予定。

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