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サイクル ロードレース コラム 2018年7月6日

【プロの目】メカニック同士のチームワーク / Tour de France 2018

ツール・ド・フランス by 西 勉
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プロコンチネンタルチームNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニでメカニックをしている西勉(にし・つとむ)がお送りする特別コラム。3回目はメカニック同士の連携についてご紹介したいと思います。グランツールの場合、自分たちのチームは最低でも4名のメカニックスタッフがレースに帯同します。規模の大きなプロツアーチームの場合、さらに多くのメカニックが帯同していると思いますが、ここでは4名体制を例に紹介したいと思います。

朝のレースの準備は全員で行います。その後、2名はレースには行かず、その日レース後に宿泊するホテルに先回りして、チームの全車両の駐車スペースと水道の確保(これが重要)。レース後にスムーズに作業に取り掛かれるように整備環境を準備し、レースで使用しなかった機材を整備します。

そして残りの2名がチームカーに監督と乗り込みレースに帯同します。どこのチームもベテランメカニックがホテル先回り組、若手メカニックがレースに帯同するケースが多くなっています。

レース終了後、ホテルに到着したらすぐに4名で手分けしてバイク洗浄、メンテナンス、翌日の準備をします。バイク整備2名、バイク洗車1名 (洗車後は整備または車輌洗車へ移行)、車両洗車1名という内訳です。車両洗車もメカニックの仕事になっており、チームカー(VIPカー含む)6台、トラック2台、バス1台を毎日洗っていきます。その際、スポンサーロゴにはとくに気をつけ、汚れを取るのはもちろんのこと、少しでも傷がついていたら、補修作業を行なっていきます。またすべての作業が終わってからは、車両の駐車位置を調整し、機材の入っているトラックを盗難から守るように、チームカーなどで扉をブロックします。

グランツール中、具体的なメカニックのスケジュールは以下です。また第3チームカーは、レースには帯同しませんが、臨機応変に動き、コースを先回りしてコース状況をチームに伝えるなどします。第1、第2チームカーには朝の段階で、選手たちのスペアバイクを積み込むため、レースで使用するメインバイクは、第3チームカーに積み、会場に到着したらすぐに降ろして準備します。

5:30 起床
6:00 朝食(メカニックとマッサー)
6:30 仕事開始。約90本のタイヤに空気充填し、チームカーに機材を積む
8:10 ホテルに直行するメカニックがマッサーと共に大型トラックで出発
8:30 レースに帯同するメカニック2名が各車両(チームカー3台、マッサー用のチーム車両、大型バスなど)、選手と共にホテルを出発
9:30~10:00 会場着。レースバイクの準備
11:00 レーススタート
16:00 ゴール&第3チームカーにレースバイク積み込み
16:30 第3チームカー最優先で、可能なら第1と第2も先行でホテルに向かう
17:30 ホテル着。場所を確保し待ち構えていた先回り組のメカニックと作業開始! 
19:30~20:00 作業終了。機材変更が多いと20:00あたりまでかかる
20:00 シャワー
20:30 スタッフ晩御飯
21:30 明日の打合せ、駐車場に行き車両の再チェック(盗難対策の再確認)
22:00 監督、マッサー含めたスタッフでのコミュニケーションタイム。マッサーの作業が残ってる場合は手伝う。
22:30 就寝

ホテルからホテルへと移動していき、整備する環境がショップのように決まった場所ではなく、3週間にわたって毎日変わり、基本的に屋外での作業となります。しかし、同じクオリティで作業を完結させていくことは、簡単そうで習得するには多くの経験が不可欠になります。

また朝早くから夜遅くまで働き、グランツール中は休息日を含めてほとんど休む時間はありませんが、責任感をもって任務にあたります。選手が戦って成長していく過程、環境を近くで見守れることにやりがいを感じています。


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西 勉

兵庫県出身のプロメカニック。高校卒業後、 欧州でプロのロードレース選手になることをめざして、 単身フランスへと渡り、アマチュアレースを転戦。その後、 自転車競技のレースメカニックに転向し、 現在まで10シーズン以上にわたってヨーロッパを拠点とするトップチームで働く。 日本ナショナルチームのメカニックとして、オリンピックや世界選手権でも活躍。

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