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サイクル ロードレース コラム 2018年7月5日

【プロの目】チームカーでのメカニックの仕事 / Tour de France 2018

ツール・ド・フランス by 西 勉
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プロコンチネンタルチームNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニでメカニックをしている西勉(にし・つとむ)がお送りする特別コラム。2回目はチームカーについてです。ステージレースの場合、レースでは2台のチームカーを使用します。チームはチームカーとして使える車両を複数所有していますが、最大で2台までしかレースには入れません。ほかのチームカーはマッサーが補給地点に行くときに使ったり、他のスタッフがその時々の状況に応じて使用します。見た目は同じであっても、ステッカーを見ることで、どれがレース用のチームカーで、またどちらが第1チームカーなのか判別できます。

2台のチームカーの役割は、例えば第1チームカーはメイングループ、第2チームカーは逃げに選手が入った場合、先頭グループを担当します。しかし、どのような状況になってもいいように、準備する際は2台とも同じように準備を進めていきます。これら準備はメカニックが朝、ホテルやスタート会場で行います。以下がメカニックが用意するアイテムです。

・スペアバイク 8台(キャリアに積む)
・工具ボックス
・3ペアのスペアホイール
・空気入れ(12v電源駆動のミニコンプレッサー)
・緊急スペアパーツセット
・バーテープ
・ペダル
・電動機材のバッテリー
・シューズクリート
・スプレーオイル
・整備に使用するタオル
・キャリアに積むスペアバイク配置図面(監督からの指示)
・前日のリザルト
・メモ帳

準備する上での注意ポイントは、スタート直前にメインバイクのパーツを交換するケースも多いので、キャリアに積むスペアバイクもサイズ含めて、メインバイクと極力同じ整備状態で準備します。つまり、スタート直前にメインバイクのパーツを変えたら、急いでスペアバイクも同じように変えます。

レース中、メカニックは後部座席に座り、パンク時のホイール交換、クラッシュ時のバイク交換及び修理がおもな仕事になりますが、大会無線を聞いて重要な情報(タイム差やゼッケン番号と選手名の照合等)を整理し、監督とコミュニケーションをとること、車載テレビや選手とのチーム無線に関するアンテナを含めた機材の準備やセッティングもメカニックの仕事になります。またマッサーが用意した数種類のボトルやサンドイッチ、エナジーバー、ジェルから、選手たちの要望に合うものをチームカーに下がってきた選手に渡します。

意外な重要任務としては、各選手のレインウェア、防寒ウェア、手脚のウォーマー類のバックと中身を把握し、特に悪天候時は、選手たちの慌ただしい注文へ瞬時に対応します。渡すだけではなく、選手から回収した衣類を紛失しないように各自のバックに収納することも、チームカーに乗るメカニックの責任になります。

基本的にチームカーに乗るのは監督とメカニックのみ。監督が安全に運転できるよう、メカニックが後部座席でさまざまなことを行なっています。またパンクや落車といったトラブル時にすぐに対応できるように、スペアホイールや最低限の工具はいつでも手の届く場所に置き、緊張感をもってレースに帯同しています。



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西 勉

兵庫県出身のプロメカニック。高校卒業後、 欧州でプロのロードレース選手になることをめざして、 単身フランスへと渡り、アマチュアレースを転戦。その後、 自転車競技のレースメカニックに転向し、 現在まで10シーズン以上にわたってヨーロッパを拠点とするトップチームで働く。 日本ナショナルチームのメカニックとして、オリンピックや世界選手権でも活躍。

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