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バスケットボール コラム 2026年8月4日

【インターハイ総括 女子】4度目の頂点に立った京都精華学園が示した「チーム力」の価値

バスケットボールコラム by 青木 崇
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女子の頂点に立ったのは、京都精華学園だった。昨年は準々決勝で日本航空北海道に逆転負けを喫し、ウインターカップでも頂点に立てなかった。春に司令塔でキャプテンの吉田ひかりがひざをケガし、インターハイは登録メンバー外。吉田の離脱を受け、ガード陣には「自分たちがチームを支えなければならない」という意識が芽生えた。その変化が、試合を重ねるごとにチーム全体の結束力につながっていった。山本綱吉コーチはこう語る。

「(U18)代表の練習で吉田ひかりがケガをして帰ってきたということもありましたので、みんなが絶望感を持っていました。このチームはどうなるんだろうという不安を抱えていましたけど、真面目に行こう、素直に行こう、謙虚に行こう、ひたむきにやろうと。そして、周りの人を大切にしながらバスケットを教えていけば、必ず強くなるということを言ったんです。それを(生徒たちが)しっかりと受け止めてくれて、すごくいいチームに成長し始めていると思いました」

フィジカルの強さが武器のンガルラ・リヤと高さのオディア・リッツという留学生2人を擁しているが、石川との初戦から厳しい戦いが続いた。特に準々決勝の聖和学園戦は、ハーフタイムで14点のリードを奪ったが、4Q途中で4点リードされる状況に直面。しかし、土壇場で高山留里那が2本の3Pショットを決めて勝ち切ったことは、昨年の苦い経験が活かされたと言える試合だった。

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準決勝ではウインターカップで負けた大阪薫英女学院に対し、ディフェンスの頑張りで58点に抑えて勝利。東海大付属福岡との決勝戦も、2Qで9点に限定するなど51点に抑えたことが、優勝の決め手になった。

スターターや留学生を頼りにするのではなく、今年の京都精華学園は10人の選手を起用しながらローテーションしていた。このインターハイでは満生小珀がキャプテンを務めたが、どの選手が出ても戦力になることは、決勝でも8人が14分以上プレーしたことからも分かる。特に勝負どころでは、中学時代から京都精華学園でプレーしてきた5人がコートに立ち、勝ち切る術を見出していた。山本コーチはチームの結束力が決め手だったと振り返る。

「うちは1軍、2軍(という区別が)ありませんので、その中で切磋琢磨しようと。大学入試で言えば250点だと合格だけど、249点だと不合格になる。だから、そのあたりにうちの選手はたくさんいる。そこで1点でも多く取っていくためには、ひとりひとりがしっかり練習していこうと言ってきました」

195cmのリッツが他校の留学生相手でもインサイドで絶対的な優位に立てることを証明したことも、京都精華学園にとっては今後に向けて大きなプラス材料。東海大付属福岡戦では、リッツの高さがニエ・カディジャ・ファールを前半で4つというファウルトラブルに陥れる要因になった。

吉田も9月には復帰できるということもあり、京都精華学園はトップリーグでより層の厚いチームを作ることを目指す。厳しい戦いを勝ち抜いてのインターハイ制覇により、ウインターカップでは優勝候補の本命と見ていいだろう。

東海大付属福岡は初の決勝進出を果たしたが惜しくも準優勝。ファールのインサイドゲームだけでなく、豊田麻莉のゲームメイクと決定力、工藤結心のシュート力は相手にとって脅威だった。準決勝の桜花学園戦では、2Qの失点を3に限定。宮﨑優介コーチの「ロースコアの展開に持ち込みたい」という言葉どおり、ディフェンスが難敵を倒しての決勝進出の要因。特にFIBA U17女子ワールドカップでベスト5に選ばれた竹内みやを2点に抑えたのは、ドライブのコースを完全に閉ざす質の高いディフェンスができたからだ。

京都精華学園の壁を破るには、ファールの早い時間帯でのファウルトラブル回避と、工藤と内田弓愛の負荷を軽減できる控え選手のレベルアップが必要。豊田がベンチで休んでいる時間帯は、岩山友香と小浜結羽で十分対応できる。トップリーグで京都精華学園と対戦する際には、控えの留学生アキンボ・メリー・エニオラがどこまで成長し、ファールをバックアップできるかに注目したい。

桜花学園は2連覇こそ逃したが、勝部璃子と竹内を中心にしたチームで3位。東海大付属福岡戦では水林夢翔がファウルアウトになるなど、ディフェンスで粘り切れなかった。白慶花コーチはウインターカップに向けて、得点源である勝部と留学生とマッチアップする水林の負担を軽減できる選手を出すことを課題として挙げた。竹内がベンチに下がっても、太田莉央に司令塔を任せられる。準決勝で5本決めた小玉愛莉とU17代表として世界を体感した加地百花が3Pシューターとして活躍の機会が増えれば、桜花学園のオフェンスはよりパワーアップするだろう。

地元開催のインターハイ制覇を逃したとはいえ、大阪薫英女学院は安藤香織コーチ不在の中、昨年のウインターカップ制覇を経験したメンバーを軸に準決勝まで勝ち上がった。近畿大会決勝に続いて京都精華学園に競り負けたが、キャプテンの松本璃音とU17ワールドカップを経験した大槻佳子が17点ずつをマーク。機動力を活かしたディフェンスと質の高いセットオフェンスは、ウインターカップでより磨きがかかるに違いない。

ベスト8進出チームの中で今後注目なのは、福井工大附属福井と聖和学園の名前をあげたい。

福井工大附属福井は留学生を擁しながらも、速い展開のハイスコアリングゲームが持ち味。準々決勝で対戦した桜花学園は、3Qまで速攻を止めるのに苦労していた。ケガで登録外となった3年生のサジョ・レイ・ジョベが復活すれば、福井工大附属福井はウインターカップでインターハイ以上の結果を残すことも十分に考えられる。

聖和学園は3回戦で八雲学園を倒し、準々決勝で京都精華学園と激闘を演じた。176cmの嶋森羽奏が最長身というチームだが、留学生を相手にしてもダブルチームを駆使しながらフィジカルに対応し続けるディフェンスは一定の成果があったと言える。オフェンスに目を向けると、京都精華学園戦では嶋森の5本を最高に11本の3Pショットを成功させた。戦術と戦略が好きな小野裕コーチの下、聖和学園はピック&ロールを軸により質の高いオフェンスを展開するチームとして、今後の楽しみな存在になるだろう。

京都精華学園の優勝で終わったインターハイの後は、U18トップリーグを通じて各チームがレベルアップを図る。決勝に進んだ2校が少し抜け出した感じもするが、この4か月での成長次第では、ウインターカップも実力拮抗の激戦になっても決して不思議ではない。

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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