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伊藤達哉(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ #3)
大阪エヴェッサから名古屋ダイヤモンドドルフィンズに移籍した今季、控えのポイントガードとしてチームのチャンピオンシップ(CS)進出に貢献した伊藤達哉。巧みなゲームメイクとペイントにアタックしてのフィニッシュがオフェンスの持ち味で、ディフェンスでもタフさを発揮できる選手だ。シックススマンとしてチームをより活気づけることや、悪い流れを断ち切ることができる存在として、CSでの活躍が期待されている。(4月29日の練習後に取材)
Q 名古屋に移籍しての1年目でCSに進出できたことをどう捉えていますか?
「まずは名古屋ダイヤモンドドルフィンズとして、3シーズンぶりにCSへ進出できたことに貢献できて光栄に思いますし、個人としては今まで2回CSに出ていますが、初戦で負けているので、またそこにチャレンジできるうれしさもあります」
Q 齋藤拓実選手のバックアップ役ですが、自身がコートに出ている時間帯においては、チームに何をもたらしたいと思ってプレーしていますか?
「ヘッドコーチからも言われているのですけど、僕が出ている時間帯はエナジーを思い切り出してほしいということで、それは自分の持ち味でもあると思っています。流れがいいときは継続して、悪いときはより一層ギアを上げることを意識してやっています」
Q 自身のプレーで最も重視しているところは?
「ディフェンスです」
Q 今まで敵として見ていた時と実際に入団して以降、チームの印象について何か違ったこと、予想外だったことはありますか?
「今まで同じ地区で戦ってきたので試合数が多かったんですけど、なんでこんなにタレントが揃っているのにCSに進出できないのだろうと疑問に思っていました。本当にポテンシャルの高い選手がたくさんいるので、今回は同じチームメイトとしてプレーしてみて、ショーン(デニスコーチ)さんが引き出すのもうまかったと思いますけど、素晴らしいタレントが揃っているなと改めて実感しました」
Q 今季序盤にデニスコーチがチームのカルチャーを変えると言っていたのですが、いい意味でチームが変化していると伊藤選手が感じたシーンや試合はありましたか?
「今シーズンがスタートするときにチームの目標じゃないですけど、相手に恐れられるチームになるというところからスタートして、高い攻撃力もそうですけど、高いディフェンス力、激しいディフェンスというのが今までになかった部分かなと…。それが今いいところまで来ることができた要因かなと思います」
Q 粘り強いディフェンスやメンタルタフネスというのが、昨季と全然違うということですか?
「今までなかったところだと思います」
Q アジア枠で来日したフィリピン人の中でも、レイ・パークス・ジュニア選手は名古屋に大きなインパクトをもたらしていると思います。彼がなぜうまくフィットし、チームに貢献できていると感じますか?
「ラベナ選手だったり今までフィリピンから日本に来ていましたけど、正直僕が思うに、レイ選手が一番いい選手だなと思っています。外のシュートはもちろんですけど、ペイントにアタックができたり、いろいろなポジション、ディフェンスでもいろいろな選手につくことができるので、本当にオールラウンドな活躍をしてくれていますね」
Q シックスマンとして素晴らしい仕事をしていますが、洛南高校時代もシックスマンで試合に出ていたと思います。高校時代を振り返ってみて、ベンチスタートを受け入れてチームにしっかり貢献できたのはどういったところから来たと思いますか?
「高校のときもそうですけど、東海大学に入学してから本当に素晴らしいポイントガードの先輩方がたくさんいて、その中で“どうしたら試合に出られるんだろう?”とずっと考えたときがありました。東海大学は本当にディフェンスのチームで、まずはディフェンスができないと試合に出られません。そこで1回ディフェンスを見つめ直そうじゃないですけど、そこからが始まりで、控えで出たとしても何かアピールしようだったり、チームに何かいいものを残そうという意識が、スタートじゃなくても後から出てもチームにいい影響を及ぼしているかなと思います」
Q 高校時代に経験したというのは、慣れということで大きな意味がありましたか?
「慣れもありますね、やはり。もちろんスタートで出たい気持ちはありますけど、今与えられた仕事がバックアップから出てチームに勢いをもたらすことなので、それは楽しいですね」
Q 洛南高校出身のBリーグ選手がたくさんいます。吉田裕司コーチから教わったことで、今も役立っているなと感じるもの、何かありますか?
「洛南は本当にパス&ラン主体のチームで、今は多分変わっているのかもしれないですけど…、昔からずっと練習中パス&ランとしか言われてこなかったので、実際に頭を使うことが多かったというのが印象にあります。スペーシングの探し方とか、どうやってスペースを埋めるといった考える力は付きましたね」
Q オフボールの動きとバスケットボールIQの部分ですね?
「今Bリーグで活躍している洛南の選手も、そういったところが長けている部分かと思います」
Q 高校時代に同じガードとして競い合った同級生の河合祥樹さんがアシスタントコーチを務めていながら、チームを指揮する機会が増えています。彼は伊藤選手にとってどんな存在ですか?
「印象としては中学のころから彼は有名な選手だったので、第一印象は“本当に中学生かな”と思ったり、そのくらい落ち着いている選手でしたね」
Q 彼は将来素晴らしいコーチになる資質があるということでしょうか?
「あると思います」
Q 吉田コーチの後継者としては素晴らしい人材ということですね?
「そうですね。そうやって活躍してくれているのは、僕にとってもいい影響になっています」
Q 琉球ゴールデンキングス、アルバルク東京、川崎ブレイブサンダースといったCSに出場するチーム相手に今シーズンは勝利しています。伊藤選手から見て、CSのシリーズを勝ち上がるために必要なこととは?
「やはり変わらずに強度の高いディフェンスをだれが出ても40分間、強度を落とさずにする必要があると思います。毎試合得点を取れているので、そこは積極的に(ショットを)打てる選手が打って…。本当にあとはディフェンスだと思います」
Q 32点差で大敗した翌日の試合で琉球に勝てたことは大きな意味があったのでは?
「初戦は自分たちが空回りしたというか、考えすぎてしまっていつもと違うディフェンスをしたんです。それが多分最後まで引きずってしまい、うまくいかないという悪循環というのがあったのです。次の試合はいつも通りにやろうというのを試合前にみんなでミーティングをして、それがうまくいった部分があったので、よかったと思います」
Q 残りのシーズンで自分が選手としてこうなりたいと思えることはありますか?
「残りのシーズン少ないですけど、変わらず自分の持ち味である泥臭いプレーでチームを引っ張っていきたいなというのがあります。あとは、ケガで自分自身今シーズン3回くらい抜けたりしてしまっているので、そこもしっかりプロとして少なくしていかなければいけないなと思っています」
Q 名古屋でプレーしていてよかったなと思えることは?
「AK-69という歌手がいて、名古屋が(以前)コラボしていて、いつも会場で(曲が)流れています。アウェイで来たとき逆に自分が応援されているという気になっていたんですけど、今回名古屋に来て毎試合それが流れているということで、とても強い味方になっていますし、とてもうれしかったです」
Q 最後の質問になります。この24時間でちょっとだけ幸せだったこと、何かありますか?
「一番難しい質問ですね…。うれしかったこと? なんだろう? 投資をしていまして、特にアメリカの株に投資しているんですけど、円安になって資産が増えたことですね。それはめちゃめちゃうれしかったです」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
【Bリーガーインタビュー】名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 3番 PG 伊藤達哉(取材日:2022年4月29日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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