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ジョーダン・グリン(秋田ノーザンハピネッツ #7)
初来日となった昨季、ジョーダン・グリンはB2のライジングゼファーフクオカで平均21.5点、9.2リバウンドと活躍。B1の秋田ノーザンハピネッツに移籍した今季も、シュート力を武器にチームの得点源になっている。本来のポジションはスモールフォワードだが、フィジカルなパワーフォワードやセンター相手にも辛抱強くディフェンスするハードワーカーであり、ちょっとしたことで熱くならない冷静さも兼備した選手だ。「すごく真面目でいい人」という言葉をチーム関係者が残したように、バスケットボールに対する強い愛情と謙虚な人間性を今回のインタビューで垣間見ることができた。
(3月20日の川崎ブレイブサンダース戦後に取材)
Q チャンピオンシップ出場を争える位置にいる今のチーム状況をどう評価しますか?
「我々は自分たちがどのようなポジションにいるのかを知っていますし、シーズン終盤にトップチームとの対戦も多くなりますけど、すべてのゲームが重要です。 それは我々にとってチャレンジです。 上位チームと対戦することはいいチャレンジであると同時に、いい経験にもなります。 この週末、2つのタフな敗戦を喫しました。我々はミスから学び、それから成長し続け、それから学ばなければなりません。そして、次のゲームに向けてしっかり準備することが大事です」
Q 長年メキシコ、プエルトリコ、アルゼンチンでプレーしてきましたが、あなたが日本でやってみようと思った決め手とは?
「エージェントがこの機会をもたらしてくれました。昨季(ライジングゼファーフクオカ)が日本での1年目でしたが、機会は突然のようにやってきたのです。他の国でも起こっている新型コロナウィルス感染拡大の状況下でしたが、この機会を利用して日本でチャレンジしようと思ったのです。エージェントがこの機会を提示してくれたことにハッピーになりましたし、皆さんも私が今ここにいることを知っているわけです」
Q Bリーグの競争レベルについてはどう感じましたか?
「結局のところ、B1のほうがよりまとまったチームになっています。日本人選手たちは、B2よりも身長が大きいと思います。B2のチームや選手に対して失礼なことを言うつもりはありませんが、B1では長い間一緒にプレーしていることもあって選手間のケミストリーがよく、お互いのプレーをよくわかっています。だから、勝利を手にするためには、最高の状態で全力を尽くさなければならないのです」
Q Bリーグでプレーすることで最も気に入っていることは?
「私はただただバスケットボールをするのが大好き。フィジカルの部分で大きな違いはないと思いますし、私のプレースタイルに合っていると思います。私はどこ(リーグ)でもプレーできます。ここでプレーする選手たちのスタイルは、私のスタイルによく合うと思います。本当に違いはありませんし、結局のところ、バスケットボールはバスケットボールなのです。だから、日本でプレーするのは楽しいし、気に入っています。今はとにかく楽しみながら、一日一日を過ごしているます」
Q 初来日する前に日本のバスケットボールに関する知識は持っていましたか?
「特にありませんでした。アジアの国に来たのは去年が初めてでした。だから、アジアのバスケットボールのこと、特に日本のバスケットボールのことはまったく知らなかったのです。エージェントはラテンアメリカでプレーしていた私を別のマーケットに紹介しようとしていたんですが、偶然にも日本を紹介され、今こうして経験を積んでいるのです。毎日が楽しみです」
Q 日本に来てからのカルチャーショックで最も印象的だったものはどんなことですか?
「全体的に、日本の人々はより敬意を払っています。より礼儀正しいです。ルールを守らないことがあるかもしれないけど、時間には正確だし、行列に並んで待っている人たちも辛抱強いです。(階段で)片方は上へ、もう片方は下へと歩きますが、みんなを混乱させることはありません。ここでは、子どものころに培われた文化に敬意を払っていることがよくわかります。みんながお互いの後ろに並んで歩いているのを見ると、私は急ごうとしていても次の人の前に出ようとしないようにしています。これは、国に対する尊敬の念を表しています。大半の人たちは辛抱強さがあり、他人に敬意を払い、親切で礼儀正しい人たちです。カルチャーショックというほどではありませんが、国としてそのような基準が維持されていることに驚いているのです。 もっと多くの国や多くの地域は、そういったことに焦点を当てることにもっと時間をかけると、もっといいところになると思います。それはとても良いことですし、とても尊敬に値します」
Q 今季の3P成功率が約45%というあなたの素晴らしいシュート力はどこから来たのですか?
「ひたすらシュート練習に励み、向上させることです。中距離から始めて、そこから3Pへとレンジを広げていくのです。私は背も高くないし、すごいスピードを持っているわけでもないし、いろいろなスキルを持つガードでもありません。もし私がより規模の大きなリーグでプレーする、プロとしてプレーし続けなければならないのであれば、シュート力を向上させなければならないことをわかっていました。毎年、毎シーズン、私はシュートの練習を続けてきています。ハードワークです。自分を信じて、努力し、それを継続するのです。自信を持ちましょう。今の自分は(チームに)フィットしていますし、楽しんでいます。ただ、ハードワークと自分を信じることです」
Q 残るシーズンでチームがよりレベルアップするためのカギはなんですか?
「とにかく戦い続け、ケミストリーを構築し続けること。この週末の厳しい負けを受け止め、そこから学び、成長し続けるのです。若いチームなので、チャンピオンシップを狙うトップレベルのチームと対戦するときは、私たちにとって試練となるでしょう。 だから、ミスから学び、成長し続け、自分たちの強みとアイデンティティが何かを理解し、ポジティブな姿勢を保つことが必要です。だから、そういったチームと対戦するのはいいことですし、残りのシーズンで対戦する相手がだれであってもベストを尽くしたうえで、その結果を受け入れていくしかありません」
Q 秋田でプレーしていてよかったと思えることは?
「ファンがとても情熱的です。秋田はあまりやることがない、というわけではありませんが、バスケットボールに関しては本当に熱いです。映像で見たのですが、いかに彼らがクレイジーだったか、いかにゲームに情熱を持ってくれているかというのはよくわかりますし、チームをとてもよくサポートしてくれています。だから、負けたとしても(試合で)喜んでくれるようなファンがいることはうれしいですし、もちろん勝ってほしいと思ってくれています。でも、毎試合勝てるわけではないことはわかっています。我々がハードに戦い、コート上でダイブしたり、情熱や誠実さを見せれば、喜んでくれるのです。彼らのためにプレーするというのは、とてもワクワクしますね」
Q 最後に、この24時間でちょこっとだけ幸せだったこと、何かありましたか?
「毎日目覚めることです。コートに立ち、大好きなゲームをし、そこに出て、毎日練習してきたスキルを発揮する機会がまた一つ増えたということです。だから、バスケットボールをプレーできることで家族を養い、支えることができることは幸せであり、感謝すべきことだと思っています。多くの人が、この舞台でプレーしたい、プロとしてプレーしたいと思っています。だから、毎日起きてからバスケットボールができることは、とてもありがたいこと。毎朝起きるのが楽しみなんです」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
【Bリーガーインタビュー】秋田ノーザンハピネッツ 7番 SF/PF ジョーダン・グリン(取材日:3月20日の川崎ブレイブサンダース戦後)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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