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前田悟(川崎ブレイブサンダース #13)
2019-20シーズンの新人王になった前田悟は、もっとレベルアップしたいという思いから富山グラウジーズから川崎ブレイブサンダースへの移籍を決断した。新天地への順応に少し苦労したものの、自分らしさを積極的に出すこととディフェンスの質を上げることで、本来の力を徐々に発揮しつつある。U17代表で世界レベルを体感したことは、プロ選手となるまでのプロセスで大きく役に立ったという。(12月22日取材)
Q 千葉ジェッツとの東地区首位攻防戦は1勝1敗でした。チームの現状についてどのような印象をお持ちですか?
「チームの状態や雰囲気はすごくいい感じで来ているのですが、上位チームと試合をしたときに全部1勝1敗なので、同一カード2連勝を強豪相手にできる力をつけなければいけないなと思います」
Q プロ選手として大きな決断だったと思いますが、川崎への移籍した理由を言える範囲で話していただけますか?
「富山でルーキーのときからお世話になって、地位というのは確立できたと思います。もちろん、今年も富山にいたらある程度プレータイムをもらえてスタメンで出してもらえたでしょうが、選手としても人としてもワンランク、ツーランク、ステップアップしたいなと思いました。いろいろなチームからオファーをいただいたのですが、その中で川崎に行きたいなと思って決断しました」
Q 川崎には自分たちの練習場とクラブハウスがあり、トレーニングや食事面での環境が充実しています。バスケットボールにより集中できることは、前田選手にとってどんな意味がありますか?
「これだけ環境が整っていて…。富山を悪く言うわけではありませんが、そこまで整っていませんでした。オフの日に体育館があるわけではないですし、食事も全部自分でやりました。やはり“当たり前ではない”とこっちに来てから感じるので、うまくその環境を利用するというわけじゃないですけど、元々練習するのが好きなので有効活用していきたいと思います。人もスタッフもたくさん揃っていますし、プロ選手として上っていくには絶対に練習やトレーニングが必要なので、すごく毎日充実しています」
Q 実績のあるベテランと外国籍選手が多いチームの中で、自身がフィットするためにアジャストしているところや大きなチャレンジだと思うこととはどんなことでしょうか?
「下位チームではなく、伝統のあるチームで土台がしっかりしているというか、バスケットがある程度決まっているので、最初はすごく苦労しました。今思っているのは、あまり川崎のバスケットの型にはまろうとし過ぎないで、自分を出していくのが大事だと感じています。徐々に調子が上がってきているんですけど、最初のほうは気を遣ってプレーしているというか、うまく馴染むように考えてやっていました。1回割り切って自分の積極的なプレーだったり、まずは自分を出すことにフォーカスしてやっていたら、うまくいくんじゃないかなと。それが少しずついい方向に行っているので、継続してやっていきたいなと思います」
Q 川崎に入団後、ベテラン選手たちから学んだことで印象に残っていることはありますか?
「あまり言葉をかけられることはないですけど、バスケットに対する姿勢とか、試合に向けた準備とか、そういうのがよりプロフェッショナルだなと感じていて、やるべきことが多いなと思います」
Q 2019-20シーズンに新人王に選ばれるなど、大学を出てからすぐにB1で通用することを証明しました。2014年のU17ワールドカップを経験したことは、自身が成長していくプロセスで役立ったと思われますか?
「間違いなく役になっていると思います。あのときは僕も山形県から出たことがなかったですし、山形県から一気に世界に出てプレーできたことで自分の視野が広がったというか、力が未熟過ぎたなと思います。山形や全国ではある程度同じ年代相手にプレーできていましたけど、世界に行ったらまったく通用しなかったので、そういった意味でまだまだできるなと思いましたし、今後への視野が広がったということで、すごく良かったと思います」
Q 世界レベルを知ったということでのモチベーションとして、今も心の中に残っているのでしょうか?
「はい、ありますね」
Q 12月19日の千葉戦で今季5度目の2ケタとなる11点を記録しました。出場時間を得られればしっかり仕事して勝利に貢献できると思いますが、より一貫したプレータイムを得て活躍するためのカギは何だと思いますか?
「やはりディフェンスだと思います。僕個人の感覚としては、ある程度プレータイムを確保できれば自分の力を出せると思っているので、まず確保するためには川崎の一番の軸であるディフェンスのパフォーマンスをもっと上げなければいけませんし、システムを理解しなければならないというところもあります。そこができれば、プレータイムの波は減ってくると思います。そこが本当に大きなカギかなと…」
Q 試合前に必ずすることとして、シュートタッチの確認をあげていました。その方法とは? また、試合前の決まったルーティンとかあるのですか?
「いつも同じようなストレッチをしてから、僕は近い距離から打つようにしています。近い距離から連動とかを意識しながらシュートを打っていき、最後はコーチといつもやっているムービング・シュートの練習をし、タッチを確認して試合に臨むようにしています」
Q ファンの方に向けて、これから前田悟のどんなところを見てほしいか、ぜひアピールしていただけますか?
「ここに来てからディフェンスは少しずつ成長していると思います。そんな中でももっともっと僕自身できると思っているし、そう信じています。ファンの皆さんに早く、川崎ブースターの皆さんに早くそういうパフォーマンスを見せたいですし、みんなと一緒に優勝したい。その力になりたいと思っているので、ぜひ僕の3Pだったり、アグレッシブなプレーに注目してほしいです」
Q 最後の質問になります。この24時間でちょっとだけ幸せだったこと、何かありますか?
「去年富山にいて、雪がすごくて苦労したのですが、最近また北信越、日本海側ですごい降っているというニュースを見て、川崎は全然雪がないので、雪かきをしなくていいのがとても幸せでした。朝起きて雪がないのは幸せです。山形より去年の富山は本当にひどかったです。車が埋もれてしまって、雪かきを2、3時間しないと家から出られないことがありました」
Q 3時間前から練習に向けたウォーミングアップみたいな感じですか?
「そうです。1回練習が中止になったこともありました。そのくらいやばかったです。(雪道の運転は)あまり慣れていませんでしたが、大丈夫でした」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
【Bリーガーインタビュー】川崎ブレイブサンダース 13番/SG 前田 悟(取材日:2021年12月22日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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