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安藤誓哉(島根スサノオマジック #3)
アルバルク東京でBリーグ2連覇、2019年のワールドカップを経験した安藤誓哉は、この夏に島根スサノオマジックへの移籍を決断した。千葉ジェッツとの開幕2連戦で24点、28点を奪うなど、今季はここまでキャリア最高となる平均15.9点の数字を残している。ポール・ヘナレコーチのシステムで存分に力を発揮していることに加え、チームを牽引するリーダーとしての仕事もしっかりこなしていることも、島根が西地区2位という好成績を残している要因と言っていい。(12月21日取材)
Q 現在西地区2位の15勝6敗という成績について、安藤選手自身はチームの現状をどう捉えていますか?
「今年からヘッドコーチが変わって、リスタートじゃないですけど、そういう気持ちで臨んでいるシーズンです。まだチーム・ビルディング(構築)の最中で、現在西地区2位、15勝6敗というのは、正直もう少し苦労するのかと思っていたので、今のところ勝ち星を多く取れていて少しホッとしています」
Q チームの強みと課題は?
「今の僕らのオフェンス・システムは、ハイスコアなゲームに持っていけます。走った時は本当に強いですし、40分間走り続けられるメンタリティとシステムは強みだと思います。課題は、どうしても波があるので、何かが具体的にぽんぽん出てくるというよりも、チームとしてコンスタントに、先ほど言った強みというのを常に生かせるメンタリティを持たなければいけないと思っています」
Q 島根への移籍は大きな決断だったと思いますが、どんなチャレンジを楽しみにシーズンに臨んでいますか?
「個人的に新たなチャレンジが始まったんですけど、前のアルバルク東京という素晴らしいチームで4年間、ポイントガードとして学んだことがたくさんありました。次はその幅を広げるというか、自分のインスピレーションを合わせながら、エナジーを持ってこのチームで最大限出しきりたいなと思っています。このチームで優勝を目指したいです」
Q 12月5日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦に勝った後、ポイントガードとしてインスピレーションの必要性について話していました。何か一つわかりやすい例えがあれば話していただけますか?
「ルカ(パヴィチェヴィッチ)ヘッドコーチの下では、ポゼッションごとに結構コンセプトを求められていた部分がありました。1ポゼッションごとにフォーメーションやコールプレーがあって、それに対して自分がどうアジャストして、どうインスピレーションを出していくかというスタイルでした。ここでは、コールプレーになるポゼッションがアルバルク東京でポイントガードをやってきたときより数が減るので、その分自分が起点となってフリーのオフェンスを展開しなければいけません。今までやっていた以上に、インスピレーションが大事になってくるなと思っています」
Q チャレンジということでは、大学4年生のときにアメリカに渡り、カナダNBLのハリファックス・レインメンと契約することになり、シーズンが終わった後にフィリピンのメラルコ・ボルツでプレーしました。島根がプロとして6チーム目になりますが、環境の変化を恐れないことやチャレンジを駆り立てるものは、どこから来ていると思われますか?
「プロ選手は毎年毎年がチャレンジですが、環境を変えるということは新しいチャレンジになると思います。新しいことや新しい環境というのは楽しみですし、自分をもっともっと変えられるチャンス。だから、今まではずっとそうやってきたのですが、アルバルクで4年間、初めて複数年でプレーすることの大事さ、そこで自分自身をビルディングしていくのも学べました。また、こうやって新たなチャレンジ、環境を変えることは、どこまで行くかわからないですけど、ワクワク感というのが自分にとってたまらないものです。それが新たな環境のステージに自分を持っていくという感じですかね」
Q フィリピン出身者がアジア特別枠でBリーグにやってきています。メラルコ・ボルツでプレーしていた当時にマッチアップした選手はいますか?
「今来ている選手たちは結構若いので、僕がいたときはみんな大学生、もしかしたら高校生の子もいたかもしれないので、マッチアップした人はいないですかね。PBAじゃないですけど、キーファー・ラベナ(滋賀レイクスターズ)はアンダー18(アジア選手権で)マッチアップしました」
Q キーファー・ラベナの印象は?
「バスケットが純粋にうまいですし、あれぞフィリピンのスタイルだなと…。しなやかさと柔軟さを兼ね備えていると思います」
Q 11月の月間MVPに選ばれましたが、これまでの自身のパフォーマンスをどう評価しますか?
「結構プレーイング・タイムを長くもらっている中で、1試合通してアグレッシブにディフェンスから行って、オフェンスでも走りきってというその気持ちが出ているときは、自分としてもいい試合ができているなと思います。いい意味でチームメイトに任せるときがあればいいのですが、消極的になってしまう時間帯があればあるほど、本当にチームとしても元気がなくなってしまうなというのがあります。エナジーという部分で、40分間チームにどれだけ与えていけるかというところが、本当に課題かなと思います」
Q 2019年のワールドカップに出場した際、ポール・ヘナレが対戦相手だったニュージーランドの指揮官でした。彼の下でプレーし始めて4か月くらい経過したと思いますが、改めてどんなコーチという印象をお持ちですか?
「本当に熱いコーチです。表立ってわかる熱いコーチで、戦う男だなと思います。そこのメンタリティというのは本当にリスペクトしていますし、自分が選手としてそのメンタリティをチームに伝えていきたいなと思います」
Q ヘナレコーチも現役時代PGだったことで、学べることや得るものが多いのでは?
「そうですね。前のヘッドコーチ(ルカ・パヴィチェヴィッチ)もポイントガードでしたし、今回もそうなので、本当に僕自身恵まれていると思います。ポールの場合はそれこそインスピレーションが大事なので、“ああしろ、こうしろ”とかいい意味で細かくなく、大まかに“ここはこうしても、そこは自分のインスピレーションでやってくれ”というのが多いので、自分自身結構考えることは多くなりました。オプションが一つじゃないので…」
Q もうすぐウインターカップですが、2009年に優勝を経験しました。当時の思い出を話していただけますか?
「優勝した時は2年生だったんです。あの年は福岡第一と延岡学園が2強と言われていた中で自分たちが優勝できて、トーナメントを通して1試合1試合チームが良くなっていき、さらに絆も最後の最後の締めの部分で深まったというのが印象に残っています。やはり、僕らも1試合1試合成長して、チーム・ビルディングというのは試合で成長できる部分があるので、当時の経験から今学びたいですね」
Q 日本代表ということでは悔しい経験をすることになりました。沖縄アリーナが会場となる2023年のワールドカップに出て活躍することは、安藤選手のキャリアにとってどんな意味を持つことになりそうですか?
「非常に大きな大会です。それが沖縄アリーナでやるというのが日本にとってもバスケットボール界にとっても、非常に大きなことだと思います。もちろん出たいですけど、“じゃあ何をするか”ということになったとき、アルバルクで(2019年の)ワールドカップに出たときもそうだったんですけど、“このリーグでどれだけチームの中で自分の力を最大限出せるか”。これ一つしかないので、今回も僕はそれをやるだけだなと思います。悩むことは一切なく、こういった気持ちがあります」
Q 試合終盤でビッグショットを連発するということですね?
「本当にビッグショットですし、ビッグアシストです。とにかく勝利。何度も何度も勝利して力を出し切るしかないです」
Q 最後の質問になります。この24時間でちょっとだけ幸せだったこと、何かありますか?
「朝晴れていたので、ベランダでコーヒーを飲んでいるときが幸せでした。(コーヒーは)大好きです。普通にブラックを飲みます。糖分控えめで、最近はカフェインレス、ディカフェで飲んでいます」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
【Bリーガーインタビュー】島根スサノオマジック 3番/PG 安藤誓哉(取材日:2021年12月9日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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