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張本天傑(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ #8)
名古屋ダイヤモンドドルフィンズでのキャリアは6年目を迎え、日本代表としても欠かせない戦力として奮闘中の張本天傑。今季からチームを率いるショーン・デニスコーチのシステムがフィットしていることもあり、今季は攻防両面で活躍の機会が増えている。また、チームのいいカルチャーを理解し、チームメイトたちに伝えていくということでも貴重な存在だ。また、自身で張本天傑シートを企画実現させるなど、プレー以外の活動にも積極的な選手である。(12月5日の島根スサノオマジック戦後に取材)
Q (9勝7敗という成績の)今シーズン、ここまでのチームのパフォーマンスについてどう思いますか?
「本当に毎試合毎試合よくなっているという感じはしています」
Q ショーン・デニスコーチはシーホース三河戦に勝った後にチームのカルチャーを変えると言っていたのですが、何を変えようとしているのか? もしくはすでに何か変わったこととかはありますか?
「僕らが代表から帰ってからロバート(ドジャー)が加入してくれて、一番最初にチームで指示が出される前にやったことは、チームとしてのカルチャー、そしてポジションとしての役割、チームとしてのルールをもう1回最初から確認して…。そんなにやることは変わっていないんですけど、最初からチームとしてやってきたことをいかに徹底してやれるか、それが毎試合毎試合キーになってくる。どの試合に対してもチームのルールに関してはミスがありますし、そこを突き詰めていかないともっと成長できないと思っています」
Q 外国籍がスコット・エサトンのみという状況で三河に勝ったことは、チームがいい方向に進むきっかけになりそうですか?
「やはり、前の試合(79対91で敗戦)があまりよくなくて、自分たちのやるべきことができなかった。日曜日の試合はコティ(クラーク)が残念ながら出場できないということを試合前に僕らも知らされたので、本当にやるしかないいう感じで…。もちろん、ちゃんと個人個人、一人一人がチームとしての役割をしっかり徹底できたので、いい結果になったと思います」
Q 今季は平均得点は過去3年を上回っています。例年以上にアグレッシブに得点を奪いに行こうという感覚はあるのですか?
「そんなことはなくて、空いたらシュートを打つという、いつもとやることは変わらないんですけど、出場タイムがちょっと伸びて、システムが僕個人としてもすごくフィットしていると思います。システムの中で(僕は)活かされている感じはあります」
Q ダバンテ・ガードナーのような外国籍選手相手にマッチアップしたり、ハッスルプレーでチームを活気づけることでも、名古屋にとっても日本代表にとっても貴重な存在です。フィジカルの強さと大学時代のひざの大ケガ以降は故障していない身体、いいコンディションを維持できている何らかの理由はありますか?
「やはり、今年新しくチームに入ってくれた純さん(古谷純一ストレングス&コンディショニングコーチ)がしっかりフィジカルの部分を強化してくれていたので、その部分がすごく大きいと思います。今までずっと代表で積み重ねてきた経験がリーグで活かされているのは、自分自身のプラスになっています」
Q いいコンディションということでは、昨季終了後から代表活動に参加し、先日の中国戦を含めて全試合出場を果たしています。競争を勝ち抜いての五輪出場を含め、代表として一貫した出場機会を得ることは、張本選手にとってどんな意味を持っていますか?
「昨日(の島根戦)が今シーズン入ってから一番悪かったですね。自分が本当にこうやって、日本はビッグマンが少ない中で、僕を必要とされることは本当にうれしいですし、何かしら自分の力がしっかりチームに貢献できれば、それはそれで自分のプラスになると思います。(代表に)呼ばれたら、まだそこまで歳をとっているわけではないし、次のワールドカップという目標が個人としてはしてあるので、しっかりとそこを目指して自分の成長をこれからもっともっとしていきたい気持は強いです」
Q 東京五輪の経験で得たもの、新たなモチベーションになっていることとは?
「チームでしっかりと地区優勝して、最終的にCS(チャンピオンシップ)でいいところまで行くのが現在の目標。チームとしては毎週毎週よくなっているので、それが何かしら自分が名古屋ですごく必要とされるような役割を担っていければいいなと思っています」
Q 今年、母校の中部大第一高がインターハイで初めて優勝しました。常田健コーチから学んだことで印象に残っていること、何かありますか?
「バスケに対するメンタル、気持の部分が一番。今もそうですけど、泥臭いプレーだとか、ハッスルプレーだとか、そういうプレーは高校からずっと教わってきたことなので、それはずっと活かされています。この間の代表(合宿)で常田監督が2日間見学に来られて、そこでもいろいろ話をしました。アンダー(カテゴリー)のコーチもしていらしゃるし、それも僕個人としてのモチベーションになっています」
Q もうすぐウインターカップが行われますが、プレーしてみて一番の思い出は?
「ウインターカップは個人として1回しか出ていなくて、夏のインターハイが延岡(学園)に負けて、ウインターカップも延岡に負けた。永吉(佑也:京都ハンナリーズ)とずっとマッチアップして、(青山学院)大学では同じで…。あまり思い出というのはなくて、最後泣きながらずっと監督の話を聞いていたのが一番ですかね」
Q 名古屋では6シーズン目を迎えていますが、人生の大半を過ごしている愛知県にあるフランチャイズでプレーしてよかったなと思えることは何かありますか?
「僕が現在の名古屋で唯一の地元選手だと思うんですけど、ずっとやってきてこのチームのカルチャーを一番理解しているし、僕が新加入の選手たちにそれを伝えていく責任が自分にあると思います。自分がキャプテンを3年間やってますし、チームとして先頭に立って引っ張っていける存在になれなければいけない。名古屋のファンともずっと一緒にいるし、その部分に関してもチームを勝たせなければいけないという責任もあるので、裏で支えるような役割をしっかり果たしていければいいなと思っています」
Q 12月18日と19日の富山グラウジーズ戦では、「張本天傑シート」など自身による企画が実施されます。企画をやろうと思った理由と内容についてできる範囲で説明してもらえますか?
「3年前に1回名古屋の病院を訪ねたんですけど、そこは難病の子どもたちがたくさんいます。訪問して触れ合ったり、コロナの前でしたけど…、僕としては衝撃が大きかったというか、僕たちが今当たり前のようにバスケットをやれているのは本当に幸せなことです。病室から出られない子どもたちがたくさんいて、僕らが病院のリビングのところでリングを立てて、そこでバスケットを実演して1対1をしたりしても、子どもたちは窓からしか見られない。それを見てすごい何というか、毎年やったり見せてあげたりしたい、僕に何かできないかことがないかなと思って…。コロナでずっとあって訪問できなかったし、今回このような企画をして得た収益を難病の子供達向けに寄付しようと思って、今回この企画を立ち上げました。自分はキャンプが好きで、有名なキャンプブランドとコラボして、こうやって天傑シートの特典をつけると。コロナ禍でファンとの交流がなかなかできないですし、試合後30分間ファン・ミーティングを設けてコミュニケーションをしっかり取りながら、少しでもシーズンに活気を入れられるように今回はたくさん、いろいろな企画を考えてやりました。一番大事なのは、皆さんの力をお借りして、子どもたちに何かしらできないかなと思って、それが目的ですね」
Q 最後の質問です。この24時間でちょっとだけ幸せだったこと、何かありますか?
「子どもの顔を見られるのが一番幸せですね。やはり、夏も2か月ずっといないですし、今回も代表で2週間いなかったので、家に帰ったらずっと子どもにベッタリです。顔を見た瞬間が一番幸せですね」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
【Bリーガーインタビュー】名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 8番/SF・PF 張本天傑(取材日:2021年12月5日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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