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赤穂雷太(千葉ジェッツ #6)
23歳、196cmのオールラウンダーとして、これからの飛躍が期待されている赤穂雷太。選手層の厚い千葉ジェッツでは、一貫した出場時間を得ることに苦労しているものの、高いレベルで競争する日々を過ごすことでレベルアップできるという充実感がある。双子の妹であるひまわりが東京五輪で銀メダルを獲得という活躍に刺激を受けながらも、千葉で活躍することが日本代表への近道と理解している赤穂に、市立船橋高時代やウインターカップのことも含めて話を聞くことができた。(12月2日の練習後に取材)
Q ジェッツで2年目となる今季、10分以上出場したのが5試合、10月17日の秋田ノーザンハピネッツ戦では4点、3アシストといい仕事をしていたと思います。ここまで自身のプレーをどう評価していますか?
「練習で出せたことを試合で全然出せていませんですし、自分の中ではあまり何もできていないという印象が大きいですね」
Q 話せる範囲でその部分とは?
「ディフェンスはもちろんなんですけど、オフェンスの面でもっともっと自分を出していかなければいけないと思っています。アウトサイドの確率をもっと上げていかないとダメな状況で、練習では決められているシュートが試合になると入っていないので、本当にまだまだだなというのがあります」
Q 今言ったことが大野篤史コーチの信頼を勝ち取り、出場機会をより増やすためのカギだと思いますか?
「ディフェンスがよければ、多少オフェンスがダメでもそこで(相手に)点数を取られることがなければ、(試合に)出られると思います。他にもこのチームには点数を取る人がいっぱいいますから、オフェンスよりはもっとディフェンスにフォーカスしないと思っています。このバイウィーク中にしっかりコミュニケーションを取って、大野さんが思っていること、自分が思っていることをしっかり話をしました。練習中から疑問に思ったことは質問して、理解しようとしています。自分の中ではバイウィーク前のダメだったときよりも、多少なり前に進んだのかなと思うので、バイウィーク後が自分にとって重要になってくるのかなと思います」
Q スイングマンとしてプレーするということでは原修太、佐藤卓磨、クリストファー・スミスと練習でマッチアップするかと思います。彼らとマッチアップすることで何か得られるものはありますか?
「それこそ、原さんとマッチアップするとなったら、日頃の練習から代表候補選手とプレーできているわけなので、自分にとってすごい練習になります。原さんのいいところを少しでも吸収しようとしますし、“原さんのこのプレーうまいな”と思ったら(直接)聞いて、コツじゃないですけど、“このときどういうことを考えてプレーしているのか?”とかよく聞きに行くので、そういった意味でもウイングの(選手たちは)レベルが高いので、自分の成長につながっているのかなと日々感じています」
Q 自分のプレースタイルで絶対の自信があるところは?
「アマチュアのとき、大学や高校と求められるものが違うのであれですけど、アキさん(藤永佳昭)とかにもよくピック&ロールのパスだったり、そういう部分でミスもまだいっぱいありますけど、“時より見せるでは本当にセンスを感じるから、そこはもっと自信を持ってもっともっと自分を出していって、練習でいっぱいミスしたほうがいいよ”とよく言われるので、そういった意味でも、この身長がある中である程度の技術があるのかなと思います」
Q ピックのところですか?
「いや、まだまだですね」
Q 妹のひまわりさんとプレースタイルが似ていると言われるそうですが、自分自身でもこのプレーはそっくりだと認識できるものがありますか?
「走り方(笑)。走り方は似ているなと思いますし、ランニングプレーは向こうもアウトサイドより得意だと思いますけど、自分もそうなので、もっともっとアウトサイドの確率をよくしていかなければいけないな、そこが課題でもあるんです。今現時点でランニングプレーを得意としているというところが似ているのかなと思います」
赤穂雷太(千葉ジェッツ #6)
Q 自信があるプレーということになりますね?
「ランニングプレーは本当に負けないという自信があるかもしれないですね」
Q 赤穂家で唯一の男の子として生まれたうことで、バスケットボールを始めたころからお父さん(元住友金属の真さん)からの期待が大きいと感じていたのですか?
「いや、そこまで“バスケをやれやれ!”という家庭じゃなかったですし、“自分の好きなことをやればいい”という感じだったんですけど、自然とバスケットをやっていました。期待はそこまで感じていませんでしたけど、親も自然とバスケをやると思っていたんじゃないかなと思います。小さいときからバスケットが身近にあったので、自然と始める感じでした」
Q 中学まで石川県七尾市で過ごしましたけど、高校を市立船橋にしようと思った理由は?
「本当に自分を変えたかったというのはあります。地元に残って親元から離れなかったら、多分自分にもっと甘く過ごしてここに来ていないので、環境を変えて少しでも厳しい中で自分を鍛えたいと思ったのが一番です。(石川)県内で190cm以上あると、どうしてもインサイド・プレーヤーとして育てられるのが多かったですけど、県外、関東とかに出るとデカくても外でやれますし、夏休み期間に練習に参加させてもらって、デカくても外とかで(プレー)できるところに魅力を感じて、市船を選びました」
Q 市立船橋の近藤義行コーチからポイントガードをやろうと言われた時にまず感じたこと、心の中で思い浮かんだことは覚えていますか?
「中学校が本当に弱かった。ポジションがないような学校だったのであれですけど、どっちかというとそういったプレーを小さいときからずっとしていたので、できなくはないなと思っていました。その機会からちょっと離れていたので、本当に苦労するだろうなと思ったんですけど、チャレンジするほうが楽しいので、そういった意味で本当に言われた瞬間は本当に楽しかったです。ミスもいっぱいしましたけど、楽しみだなという気持が大きかったと思います」
Q それが今の自分にとってプラスになっているわけですね?
「間違いないです」
Q 近藤コーチからの学んだことで最も印象に残っていることは何ですか?
「バスケットをやる以前に、一人の人間としてしっかり成長しなければいけないという教えをする先生だったので、“どんなに上手いプレーヤーになっても嫌われるようなプレーヤーになってはダメだ”というのはずっと言われていました。謙虚な気持というのが常に今も持ち続けられているのは、近藤先生のおかげなのかなと思います」
Q ウインターカップが近づいていますが、実際にプレーしてみて1番の思い出は?
「1年生の時にベンチに入らせてもらって、3年生が3決まで行ったのでそこは思い出になりましたけど、自分の代のベスト8で福岡第一とやったとき、負けましたけど本当に楽しかったです。最後に試合になるなというのは途中で薄々感じましたけど、点差が開くにつれて…。それでもずっと楽しめていたので、そういうゲームというのは初めてだったかもしれないです。なので今でもいい思い出だったのかなと思います」
Q 同級生の岡田侑大(信州ブレイブウォリアーズ)がメンバーに入った先日のワールドカップ予選を見た日本代表の印象は?
「(フリオ)ラマスさんからトム(ホーバス)さんに変わって、ラマスさんの時はずっと固定のメンバーでやっていましたけど、今は変わり目なのでいっぱい見ていく段階なのかなと思います。やっているバスケット自体はおもしろいのかなと思いますけど、まだ集まりたてだったので、これから先が楽しみなのかなとは思いました」
Q まずはジェッツで一貫した出場機会を得て活躍し、あのジャージーを着たいという思いは、ひまわりさんの東京五輪での活躍もあってより強くなりましたか?
「ここでプレータイムをしっかりもらうことが、そこの道につながることだと思います。レベル、壁は高いですけど、そこでプレータイムをもらえるという目標を立てて、叶えられるように日々努力していかなければいけないとは思います」
Q 190cm台後半の2、3番は少ないから、チャンスが十分ありますね?
「間違いないと思います。もっともっと自分の個を出していければ自然とチャンスが来るのかなと思うので、そこは頑張っていきたいです」
Q 千葉ジェッツの選手でよかったと思えることはありますか?
「環境もすごくいいですし、スキルコーチがいるので、ワークアウトとかでも自分だけでは絶対できなかった練習とかもいっぱいあって、ここに来た当初よりは数倍ハンドリングがよくなっています。そういった意味で恵まれた環境で練習をさせてもらっているので、そこは本当に良かったなと思います」
Q ファンに向けて、今後ジェッツのどこを見てもらえたらと思いますか?
「やはり、激しいディフェンスからトランジションというのがチームカラーだと思うので、そこは見てもらいたいと思います。自分もトランジションが長所でもあるので、そこは本当に伸ばしていきたいですし、そこを見てもらいたいです」
Q 最後の質問です。この24時間でちょっとだけ幸せだったこと、何かありますか?
「(長い沈黙、熟考の後)練習終わって帰って、ご飯食べて、Youtube見て、寝て、起きて、ご飯べて、練習に来て、何もないな(苦笑)。ちょっと待ってください…。今日の朝、窓を開けて寝ていたんですけど、目覚ましじゃなくて子どもたちの声で目覚めたのがうれしかったですね。保育園の散歩でちょっとワイワイしている声で起きたのが、ちょっとうれしかったかな。それくらいです」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
【Bリーガーインタビュー】千葉ジェッツ 6番/SG・SF 赤穂雷太(取材日:2021年12月2日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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