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上澤俊喜(富山グラウジーズ #10)
富山県で生まれ、富山グラウジーズを応援するバスケットボール少年だった上澤俊喜。中学卒業後に富山を離れ、中部大学第一高と日本大学というレベルの高いチームで努力し続けた結果、地元チームでプロ選手になるという目標を実現させた。ルーキーとはいえ、先発で起用されて活躍の機会が増えるなど、富山にとって重要な戦力になりつつあるのは明らか。さらなる成長が期待される上澤に、11月17日の練習後に話を聞くことができた。
Q 昨季特別指定選手として地元の富山グラウジーズに入団し、今季プロとしてのキャリアを歩み始めました。故郷にフランチャイズを置くチームでプレーできることは、上澤選手にとってどんな意味を持っていますか?
「小さいころからずっと応援してきたチームで自分がプレーできるというのは、すごく誇らしいことだなと思います」
Q 子どものころからグラウジーズの試合で気にかけて見ていた選手はいましたか?
「今も活躍している水戸(健史)選手だったり、城宝(匡史:現愛媛オレンジバイキングス)選手だったり、今も現役で活躍されている選手が当時すごい大活躍していて自分も影響を受けていたので、そんな方たちと一緒にプレーしているというのは感慨深いものがあります」
Q 今季は開幕戦から出場機会を得て、10月23日の琉球ゴールデンキングス戦から先発を務めています。初先発でキャリア最高の11点を記録しましたが、浜口炎コーチから先発を言い渡された時の心境と、試合にどう臨もうとしたのですか?
「開幕から調子があまり上がっていなくて、勝ち星もなかった状況なので、自分が入ることによって何か変わった、チームを変えられるようないいきっかけかなと思って…。ルーキーなのでアグレッシブにディフェンスしたり、気持のいいシュートを打っていって、自分がいいきっかけの一つになればと思ってプレーに臨みました」
Q 富山はベテランの多いチームですが、司令塔としてプレーするうえで最も重視していることはどんなことですか?
「ジョシュア(スミス)選手が大黒柱としているので、まずはそこを第一にオフェンスの優先順位があります。ガードとしてはうまく生かすかを第一に考えていて、そこで守られてきた時に周りのアウトサイドで打てる選手がたくさんいるので、インサイドとアウトサイドのバランスを考えています」
Q 改めて自分の持ち味と強みは?
「このチームではシュートを期待されて試合に出させてもらっている部分があるので、インサイドからキックアウトされた時にしっかり決めきる力があるというのは、自分の武器かなと思います」
Q 上澤選手にとって今シーズンを戦っていくうえで最大のチャレンジは?
「Bリーグに入って1年目なので、まだ慣れないところはあるんですけど、それでも“ルーキーだからいいや”と思われるのではなく、スタメンで出させてもらっている試合もあるので、ルーキーだからと思われるのではなく、ルーキーなのにすごいなというような風に思われるように心がけてやっているので、一つ一つの試合が自分にとっては挑戦かなと思っています」
Q チームは開幕8連敗という苦しいスタートを切りましたが、大阪エヴェッサに勝ってからは、天皇杯で3連勝してベスト8進出を決め、レギュラーシーズンも現在3連勝と調子を上げてきています。開幕当初からチームがかなり良くなっている要因は何でしょうか?
「一番はジョシュアとジュリアン(マブンガ)のパフォーマンスが上がっているので、そこはすごく助かっています。他にはボールがしっかり回ってインサイドにつなげられているとか、ディフェンスをアグレッシブにできているとか、当たり前のことが最初あまりできていなかったと思います。試合を重ねていくうちにできてきて、それが勝利につながっていると思っています」
上澤俊喜(富山グラウジーズ #10)
Q 中部大学第一高校出身で、キャプテンを務めました。高校最後の試合はウィンターカップ2回戦で福岡第一に80対84で逆転負けでした。あの時に感じた悔しさというのは、プロ選手に辿り着くまでのプロセスで欠かせないモチベーションになりましたか?
「すごい悔しかったので(そう)思っていまして、あの試合は途中までずっと勝っていて、4Q始まる時に12、13点差くらい勝っていたのにそこから逆転されました。今でも言えるんですけど、チームを勝ち切らせる力というのはその当時から勉強してきているつもりなので、それをBリーグの舞台でも生かせたらと思っています」
Q 今年のインターハイで母校が初優勝しましたけど、常田健コーチは上澤選手にとってどんな存在で、学んだことで最も印象に残っていることはありますか?
「厳しいコーチですけど常に選手全員のことを見ていて、練習中は人数が多くてもA(チーム)とB(チーム)と関係なく、常に全員のことを見ています。学んだことは、“下手な人に合わせるのではなく、上手い人に全員が合わせること”をよく仰っていて、ブレイクだったりもそうなんですけど、遅い人にスピードを合わせるのではなく、速い人に周りが合わせていけばもっと速くなるという考えの方なので、その言葉がすごく印象深いです」
Q 日本大学でもキャプテンを務めましたけど、プロでやりたい、やれるかもしれないと意識し始めたのはいつでしたか? 何かきっかけがあったのであれば、話してもらえますか?
「目指し始めたのは高校行き始めた時くらいからなんですけど、行けるかもというのはあまり思ったことがなくて、ずっと行きたいという一心で、高校に入る時に富山を離れて愛知県へ行きましたし、大学でもレベルの高い関東の1部でやりたいと思って関東に行きました。Bリーグでやりたいという一心で、バスケットをやってきました」
Q 同期でBリーグにやってきた選手には負けたくないということですね?
「そうですね、高校でも大学でも自分が負けてきている選手がたくさんいるので、負けたくないという気持は強いです」
Q 富山が今後、勝ち星を積み重ねていくためのカギは何だと思いますか?
「今年炎さんも仰っているんですけど、ディフェンスを強化していきたいと言っています。オフェンスはシューターだったり、インサイドだったり、それぞれ個性のある選手がたくさん揃っています。去年もそうですけど、オフェンスはあまり考えることがないかなと思うんですけど、ディフェンスの面では今年も失点が多いです。ここからバイウィークですけどさらに練習して、もっとプレッシャーだったり、ローテーションだったり、ディフェンスの部分を強化していくことが勝ちにつながっていくのかなと思います」
Q ファンの皆さんに向けて、富山グラウジーズのどんなところを今後見てほしいと思いますか?
「ファンの方は会場でたくさんの応援を頂いていて、会場じゃないところでもSNSだったり、応援機能であったり、すごい富山のブースターさんは温かい方たちなので、三遠(ネオフェニックス)の2試合目の最後もKJ(松井啓十郎)が決めた時、すごい一体感と盛り上がりがありました。そういうチームが勝つことによって、ファンの人たちも盛り上がれるのかなと思うので、やはり“チームが勝ってなんぼ”ですし、勝利を見てほしいと思います」
Q 最後の質問です。この24時間でちょっとだけ幸せだったこと、何かありますか?
「自分は(富山に)入って1年目なんですけど、いろいろな飲食店に行った時に声をかけてもらえたというのがうれしかったですね。そこまで知ってもらえているんだということで、ちょっとだけうれしかったです」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
【Bリーガーインタビュー】富山グラウジーズ 10番/PG 上澤 俊喜(取材日:2021年11月17日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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