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シェーファーアヴィ幸樹(シーホース三河 #32)
16歳の秋にバスケットボールを始めたというシェーファーアヴィ幸樹は、206cmの身長とサッカー選手として持っていた機動力を生かしながら少しずつスキルを身につけ、約7年で日本代表として東京五輪の舞台に立つ選手へと成長した。昨季シーホース三河に加入すると、3Pショットを決められるビッグマンとして勝利に貢献する機会が増え、10月16日の群馬クレインサンダーズ戦では2本の3Pを含む19点、10リバウンドのダブルダブルを達成している。11月14日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦後、シェーファーにチームや自身の現状、東京五輪での経験などについて話を聞いた。
Q 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で連敗を止め、9勝5敗で代表戦のブレークに入ります。シーズン序盤の戦いぶりをどのように評価していますか?
「悪くはないというところですね、率直な意見ですね。悪くはないけど、良くはないという感じですね。すごい接戦の試合をかなりモノにできているのはチームとしての底力と言うか、クロスゲームを制することができるというのは、すごく大きな力になっているので、そこはすごい評価できるところではあります。ただ、クロスゲームにさせてしまった試合もいくつかあって、もちろんリードをしっかり保って勝てる試合を相手が盛り返す隙を与えてしまったというか、そういうところが課題だと思いますし、毎試合同じことができていない。すごいバラつきがありますし、オフェンスでもディフェンスでも試合によってかなりチームの雰囲気が違ってしまっているので、そこはもっと安定感が必要かなと思います」
Q 安定感というところで、シェーファー選手自身は得点面で波が出ている感じです。自身は現状をどう見ていますか?
「僕のスコアリングが上がったり下がったりというのはそんなに気にしていないですけど、シュートが入るか入らないかというのもあるのでどうしようもないです。僕がどちらかと言うと気にするのはアテンプト(試投)の数がすごい試合によって違うので、そこが良くないというか、僕が打てていると言うことはボールが回っているということですし、アテンプトがだれかに偏っていたりとか、タフショットに偏ってしまっているということは、オフェンスが機能していないということなので、そういうところが良くないというか、ムラがあるというのはそういうところかなと思います」
Q 昨季チームメイトだったシェーン・ウィティングトンとは、一緒にシューティングすることも多く、話をすることも多かったと思います。彼は自分の若い時を見ているようだと話していたのですが、シェーンから学んだこと、今に生かされているなと感じる部分はありますか?
「とにかくシュートを打つことに対する自信は、彼が教えてくれたというか、彼のおかげでついたものなので、彼の存在のおかげで今こうやって3ポイントを自分の武器として持っているのは大きいです。そういう意味で自信を持って打つというか、気にしない、入ろうが入らなかろうが打ち続けるというのは、彼から教えてもらったことかなと思います」
Q 今季はジェロード・ユトフ選手が新外国籍選手としてやってきて、練習でマッチアップすることも多いと思います。彼の加入で自身とチームにとってプラスと思える部分はどんなことですか?
「(シェーンとは)だいぶ系統が違いますし、彼自身そんなにこう人に押していくというタイプではないので、自分ができることは彼から体の動きを盗むということなんですけど、ステップワークがすごくうまくて、今シーズンもディフェンスがすごくプレッシャーをかけている中でスルスルと抜けて、ステップワークで得点するシーンがすごく多いんです。そういう体の使い方だったりというのがすごくうまいので、そこは見習えると思いますし、自分自身が身につけていければいいなと思います」
Q U19ワールドカップで一緒に世界を相手に戦った西田優大の加入は、三河に何をもたらしていると思いますか?
「彼こそうちのチームに安定性を少しもたらしてくれる人だと思いますし、常にコンスタントに結果を出してくれます。シュートがうまくて、ハンドリングができて、いろいろ器用にこなし、何よりもディフェンスがすごくいいので、本当に彼は毎試合コンスタントにパフォーマンスしてくれますので、すごくチームとしては心強いですし、かなり大きな加入というか、存在になっているのかなと思います」
Q 2016年のNIKEオールアジアキャップで初めて国際レベルを経験して以来、着実に成長をしてきました。あの時のメンバーでワールドカップと五輪に出たのはシェーファー選手だけです。バスケットボールを16歳で始めてからの道のりを振り返ってみて、バスケットボールをやっている中高生に何かを伝えるとしたら、どんなことになりますか?
「多くの今バスケットをやっている子たちはずっと小さい頃からやってきたりして悩んだりしていますけど、僕は始めたのが遅いということでかなり特殊ではあります。そういった意味では、いつどこでチャンスが転がっているかわからないと思っていて、それをモノにできるのが自分だけなので、人それぞれにチャンスというのが、平等ではないかもしれないですけど必ずあるんです。そこを逃してしまう人とちゃんとチャンスをモノにできる人がいるので、そこを本当に意識して常にパフォーマンスを、自分のできることをやっていく。1つの試合でもだれが見ているかわからないですし、そのパフォーマンスが良ければまたもっといい試合にもしかしたら招待されたりとか、次のステップにつながることがあるので、本当にそれを意識して、常にだれかに見られていると意識してプレーしてほしいと思います」
Q 出番がほとんどなかったワールドカップと違い、東京五輪では控えながらも出場機会を得ました。リアルに世界レベルを体感したわけですが、この経験は自身のキャリアにとってどんな意味を持っていますか?
「(東京五輪は)自分自身満足のいく大会ではなかったです。大きな進歩というか、ワールドカップの時は(ほとんど試合に)出ていなかったので、ロスター入りしてからローテーションに組み込まれたという意味では進歩したと思いますけど、その中でコートで存在感を出せなかったですし、(渡邊)雄太さんだったり(八村)塁とか、彼らのプレーを優先してしまって自分が萎縮してしまったというか、なかなか自分の強みとかを生かせなかったので、そういったところはまだまだこれからだと思います。同時になんだかんだ言って戦えることは自分わかっていますし、今回のオリンピックでもそれを改めて思ったので、自信につなげていきたいと思っています」
シェーファーアヴィ幸樹(シーホース三河 #32)
Q 2023年のワールドカップとパリ五輪での活躍が、代表での大きな目標になると思いますが、ワールドカップ予選の中国戦で出場機会を得たら、トム・ホーバスコーチにどんなところをアピールするつもりですか?
「そんなにそこは考えていないですね。とにかく自分のできることをやって、チームがまだどういうオフェンス、どういうスタイルのなのかイマイチ、完全にはつかめていないので、3ポイントを積極的に打つとか自分にできることをとにかくやっていこうと思っています」
Q シーホースに入団してよかったなと思えることは?
「もちろん、プレータイムを望んで来ましたし、本当に与えてくれているのですごく良かったなと思っています。それとつながるという意味では3ポイントだったり、本当に自由にやらせてもらったりとか、(鈴木貴美一)コーチが“積極的に打て、もっとアタックしろ”と言ってくれるので、気にせずアグレッシブにできるというのはシーホースに来てからだと思いますし、すごく良かったなと思います」
Q 改めて、ファンの皆さんにシーホースのここを見てほしいというところを話してもらえますか?
「今僕も悩んでいるわけじゃないんですけど、強みというのがどのチームもあるじゃないですか。うちが強い部分で何だろうかとちょっと悩み始めてしまっているくらいのでなんとも言えないのですが、やはり今年は今までのシーホースファンが見ていないようなディフェンスだったり、一味違ったバスケになっているとは思います。もっともっとテンポの速いファストブレイクだったり、ゆっくりとしたハーフコート・オフェンスではなく、フルコートで戦えるようなチームになっているので、ぜひそういうところを見ていただきたいと思っています」
Q 最後の質問です。この24時間でちょっとだけ幸せだったこと、何かありますか?
「親戚が試合に来ていたりとかして、家族でご飯を食べに行ったんですけど、そこのお肉がすごく美味しくて、それはちょっというか、かなり幸せでした」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
【Bリーガーインタビュー】シーホース三河 32番 PF/C シェーファーアヴィ幸樹(取材日:2021年11月14日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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