全文公開！Bリーガー独占インタビュー：澁田怜音（滋賀レイクスターズ #3）

澁田怜音（滋賀レイクスターズ #3）

盛岡南高時代に特別指定選手としてB2の舞台に立ち、佐賀バルーナーズから今季滋賀レイクスターズに移籍してB1でプレーするチャンスを得た澁田怜音。クイックネスを生かした非凡な得点センス、ピック＆ロールからの得点機会をクリエイトする能力を兼備しているという点で、今後が楽しみな23歳のポイントガードだ。佐賀時代からルイス・ギルコーチの下でプレーし、司令塔として着実に成長している澁田は、今季の滋賀でぜひ注目してほしい選手の一人である。（8月27日取材）

Q 佐賀の1年目がB3、昨季がB2、今季から滋賀に入団してB1でプレーする機会を得たわけですが、今の正直な心境は？
「最初オファーをいただいたとき、本当に自分でいいのかなという不安も正直あったんですけど、ルイス（ギル）コーチと一緒にできるというのと、保田（尭之アシスタント）コーチもそうですけど、1年半やっていたコーチたちともう1回プレーできるのは僕としても望んでいたことでした。いずれはB1でプレーしたいというのがあったので、そのチャンスが目の前にあったので飛びつくしかないなと思って、入団を決めました」

Q ギルコーチの下でプレーするのは今季で3年目になります。彼が目指すバスケットボールの理解度が高いという点で、新加入選手とはいえ滋賀のチームメイトにいろいろ教える立場という意識はありますか？
「そうですね。他の選手から戦術のことだったり、ルイスコーチ本人のこととかもたくさん聞かれるので、そこはすごく感じています」

Q 一番聞かれていることは？
「それは戦術的なことになってしまうんですけど、細かい立ち位置や手の使い方といった部分でコーチのニュアンスが伝わらないことを日本語で僕に聞いてきます」

Q 盛岡南高の時に岩手ビッグブルズの特別指定選手としてプロの舞台に立ちました。1シーズン駒澤大に専念したこともありましたが、今季が実質プロ5年目になります。25歳以下の選手が多いチームの中で、自分が司令塔としてチームを引っ張っていく必要性を感じていますか？
「自分が引っ張るというよりは、今チームがまとまっていますし、歳も他のチームに比べたら近いので、みんなで進んでいるというイメージがあります。先輩方も僕の意見をすごく聞いてくれますし、逆に先輩方からのアドバイスというのも素直に受け入れることができていると思うので、僕がどうこういうよりもみんなで進んでいくという印象ですね」

Q B1で最も楽しみにしているチャレンジはなんですか？　例えば富樫勇樹選手とのマッチアップなど…。
「もちろん、僕がテレビとかで見ていた選手とマッチアップできるのはそうなんですけど、単純に大勢のお客さんの前でプレーできるのが楽しみです」

Q 高校時代、ウインターカップで活躍（東山高との2回戦で30点）した後にプロの世界を体感しようと思った理由は？
「当時は絶対プロに行きたいという思いがそんなになくて、ウインターカップもそうですし、いろいろな大会とかでプレーして、全国ではまだまだレベルが高くて僕のプレーが通用していなかったので、そこまでやっていける自信がなかったんです。（当時）B2の岩手ビッグブルズさんに特別指定選手で2シーズン入ったんですけど、その時も自分が勝ち取って出たというよりは、試合に出してもらっていたというのが実際のところ大きかったと思います。その2年間はいい経験をさせてもらったんですけど、その分悔しいというか、そういう思いもありました」

Q あの2年間はいい意味でモチベーションが上がるきっかけになったわけですか？
「そうですね。そこで現実をしっかり見られたというか、自分の立ち位置を理解することができました」

Q 映像をよく見るなど、プレー面で参考にしている選手はいますか？
「もちろん日本代表の試合を見ましたし、B1で活躍されている選手の試合も見るんですけど、年下ですけど富樫勇樹（河村勇輝と勘違い）はすごいなと思いますし、僕が高校の時よりもはるかに上手で、今の僕から見ても学ぶことがすごく多いので、意外に年下のプレーヤーのほうが気になるかもしれないです。（広報から河村勇輝と指摘が入り）河村勇輝選手です、はい」

Q 昨季取材した際に“僕が求められているものとチームとして求められているものを出して勝つ”と話していましたが、なぜそのように思うのですか？　今季もこのことを意識してプレーするつもりですか？
「そうですね。もちろんコーチが求めていることを表現できなければ試合には出られないので、3年目ですけどそこはまだまだ伸び代があると思います。ルイスコーチが求めるプレー、バスケットをもっと追求しなければいけません。初めてのB1なんですけど、コーチの求めているものだけでは通用しないと思うので、コートの中で感じてそこで最善の判断をして試合を進めていきたいと思います」

Q スコアラーとしての才能もありますが、3月の福島ファイヤーボンズ戦で15アシストを記録したように、得点機会のクリエイトをより武器にしたプロ選手になりたいと考えていますか？
「まずは得点というのを自分の中でこだわってやっていますし、自分がディフェンスをしていてもシュートをアグレッシブに狙ってくる選手は一番嫌ですし、自分がされて嫌なことは相手もされたくないと思うので、得点というのは意識するようにしています」

Q アシストへの手応えというのは試合を重ねるごとに感じていますか？
「まだまだターンオーバーもあるんですけど、アグレッシブにリングを見てアタックすることによって、周りが空くのは見えてくるので、アタックすることが大事だと思います。味方を信頼して、動いてくれる味方やアイコンタクトでパスを出したりとか、信頼を大事にしたいです」

Q レイクス合流前にスペインでトレーニングをしてきました。どんなことを学び、今季に活かしていこうと思いますか？　また、スペインのバスケットボールについての印象は？
「スペインでは主にフィジカル・トレーニングの強化をメインにやっていて、週に5回くらいウェイトをして、その後に練習という流れでした。ウェイトは日本と少し違って、ただ重りを上げるのではなく、動きの中で重りを持って上げたり、動かしたりという風にしていたので、そこは僕が思っていたのと違うなという印象でした。バスケットのほうで対人をあまりしていなくて、ピック＆ロールのスキルにフォーカスした練習をずっとしていました。学んだピック＆ロールというのがルイスコーチもたくさん使うので、そこは試合で活かせるようにしていきたいです。スペインで感じたことは、スペインの選手と1対1をしたんですけど、日本人選手とリズムが違って、独特というか、そういうのがありました。フェイントとか、どういうムーブとかではなく、リズムがとりあえず違った。それを肌で感じたので、日本でやれば僕が感じたように、相手も僕にアジャストするのが大変になるのかなと思うので、リズムの強弱は出していけたらいいなと思います」

Q 怜音（レオン）という名前ということからも、スペインではすぐに名前を覚えてもらえたのでは？
「はい、すぐにみんなレオンと言ってくれました」

Q 海外に出るときに覚えてもらうのが楽かもしれませんね。
「そうですね。外国人からもすぐに名前を覚えてもらえます」

Q ファンの方にとって、今季の滋賀には何を期待して試合を見てほしいと思いますか？
「まずは、昨シーズンから在籍している選手は2人ということで、大きくチームが変わっていると思います。僕を含めてB2から何人か選手が来たりとか、プレーを見ていないファンの方たちは、どういう選手がいるかをもしかしたらわからないかもしれないので、開幕戦はだれがどういうプレーをするのかというのを楽しみに見に来てほしいです。そこからは若いチームでもアグレッシブに戦っていけば勝てるというのを証明していきたいと、チームのみんなが思っていることなので、そこをぜひ注目してほしいと思います」

Q ファンに向けて自己アピールしたいことはありますか？
「身長もなくて、現時点でフィジカルとかも他の選手よりないんですけど、その中でも自分の自信としてあるピック＆ロールがB1でどれくらい通用するのかが楽しみです。すべてやれないということはないと思いますし、しっかり考えて、いろいろなことを感じながら、下剋上を起こしていけたらいいなと思うので、応援よろしくお願いします」

Q 最後に、この24時間ちょこっとだけ幸せだったこと、何かありましたか？
「幸せだったこと、何だろうな…。難しいな…。まだいいことというか、それを体験しているわけではないんですけど、スポンサーさんの西川エアというマットレスの会社があるんですけど、今日マットレスが届いたので早くそれで寝て、気持よくなりたいです。幸せを感じたいです（笑顔）」

文：青木 崇