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サーディ・ラベナ(三遠ネオフェニックス #1)
Bリーグが今シーズンから導入したアジア特別枠選手の第1号となったのが、フィリピンの大学で圧倒的なパフォーマンスを見せてきたサーディ・ラベナ。フィリピン代表経験もあるスイングマンは三遠ネオフェニックスに入団すると、11月18日の大阪エヴェッサ戦で18点を記録するなど即戦力となった。不運なことに、新型コロナウィルス感染や手の故障で長期離脱を強いられるプロ1年目となったものの、日本にやってきたことへの後悔は一切なかった。5月5日の信州ブレイブウォリアーズ戦後、ラベナに取材した内容をここで紹介する。
Q プロキャリアの1年目を日本で過ごしましたが、どんなシーズンだったと振り返りますか?
「不幸とも言える状況に直面したことに加え、コロナウィルスの感染や故障(指の骨折)によって数多くの試合を欠場してしまったことは皆さんご存知だと思いますが、すごい経験をさせてもらいました。1年目でこのようなことができたのは、私にとって素晴らしいレッスンになりました。オンコートでもオフコートでも人間として成長できましたし、数多くの素晴らしい選手たちと競い合えました。この夏でよりレベルアップできることを楽しみにしています。今シーズンのことで後悔することは何もありませんし、私を快く受け入れてくれたネオフェニックス・ファミリーには心から感謝します。メンバーの家族と同じように接してくれましたし、ブースターの方々やフィリピンからアップダウンがあってもシーズンを通じて愛情やサポートがありました。フィリピンの人たちはもちろんです。また、コーチ陣や会社といった私を助けてくれたすべての人に感謝します。フィリピンにいるコーチたちからメッセージをもらいましたが、試合後にどうだったかと自分から聞かなくても送ってもらえるのはありがたいことでした。私はいつでも学びたいのです。すごいシーズンでしたし、数多くのチャレンジに直面しました」
Q 手を故障してからはベンチで多くの試合を見てきました。自分のプレーを向上させるうえで役立つ何か新しい発見などはありましたか?
「向上するための方法は何百万とあります。私がこの夏に向上したいと思っていることは、ミッドレンジのゲームです。このスポットからのショットは、今シーズン18本打って成功数が0本でした。レベルアップしたいのは明らかです。あとは(試合中に)正しい判断をすることです。シーズン序盤の私は、何事も急いでやってしまうところがありました。自分のゲーム自体が速すぎたのです。ベンチから状況をずっと見てきましたが、ディフェンスがどのような対応をするのかや傾向などをより理解する助けになりました。何が起こりそうかを気付くようになり、手の故障から復帰して以降はBリーグでプレーしやすくなりました。そういったことをこの夏で向上させたいです」
Q 対戦した選手の中で印象に残っているのは?
「たくさんいます(笑)。まず、私は日本のバスケットボールシーンや選手たちがどうなのかをまったく把握していませんでした。時間の経過とともにいろいろなチームや選手のスタイルを学べたことは、本当にすごいことだと思っています。自分はこれまでNBAとユーロリーグを特に見てきましたが、まったく違うバスケットボールをやる日本に来て、新たな世界を見られたと思います。印象に残ったチームはたくさんありますし、富樫勇樹がいる千葉ジェッツやニック・ファジーカスがいる川崎ブレイブサンダースなど、不運にも対戦できずに終わったチームもありました。自分はプレーできませんでしたが、宇都宮ブレックスもすごく印象に残りました。この2つのチームだけ名前をあげるのは、私からするとフェアじゃないと思っています。Bリーグには素晴らしいチームと選手たちが多くいますので、特定の名前を出すことはとても難しいです」
サーディ・ラベナ(三遠ネオフェニックス #1)
Q もし、フィリピンの選手があなたのように日本でやりたいと言ってきた場合、どのようなアドバイスをしますか?
「難しい質問ですね。アドバイスですか…。自分自身への準備をしておくことです。フィリピンでは週に1試合でなく2試合でも多いくらいなので、まったく慣れていない中で60試合のシーズンを過ごすには、メンタル面でもフィジカルの面でしっかり準備することが、Bリーグでプレーするうえで最善のアドバイスになるでしょう。8日間で5試合プレーするためには、いいコンディションを維持しなければなりません。特にアウェイゲームの連戦はすごく大変です。Bリーグには外国籍選手が3人いて、日本人も走れる選手がたくさんいますので、連戦でもいいプレーができます。ベストなアドバイスするならば、“自分自身で準備しよう”ということです。自分のことを話すならば、準備できていると思っていたよりも準備できていませんでした。でも、今は物事がどのように進むかということに気付きましたし、ゲームに向けてどのように準備すべきかもわかりました。これはフィリピンの選手だけではなく、Bリーグでプレーしたいと思っているすべての選手に対してです。すごくタフなリーグですが、日本は住むのに素晴らしい場所だと思います」
Q 今日ちょこっとだけ幸せだったこと、何かありましたか?
「今朝目覚めた時、私の家族、ファン、ネオフェニックスの組織やBリーグからの愛情を受けられる場所にいるということです。そういったことから私は毎朝目が覚めた時に恵まれていると感じますし、バスケットボールをプレーできることです。それ以上はありませんね(笑顔)」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
三遠ネオフェニックス 1番/SG サーディ・ラベナ(取材日:2021年5月5日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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