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ライアン・ロシター(宇都宮ブレックス #22)
今シーズンも激戦の東地区で首位に立ち、Bリーグ最速でチャンピオンシップ進出を決めた宇都宮ブレックス。ライアン・ロシターはオールラウンドなスキルを存分に発揮し、自信だけでなくチームメイトへの得点機会のクリエイトで素晴らしい仕事をしている。宇都宮でのキャリアも8年目を迎え、『ブレックス・メンタリティ』を熟知するロシターが、4月8日の練習後にインタビューに応じてくれた。その全容は以下の通り。
Q B1で最初にチャンピオンシップ進出を果たしました。ここまでのチームのパフォーマンスについてどんな印象を持っていますか?
「いいと思います。納得できない負けもあったけど、長いシーズン50試合を経過した時点ではいい位置にいると思います」
Q 選手層の厚さと良好なチーム・ケミストリーがすでに構築されていますが、今後2度目のB1制覇を目指すうえで最も重要なことは?
「今はまだレギュラーシーズンに集中すべきです。まずは東地区で1位になることが我々の目標です。今の自分はチャンピオンシップのことについて何も考えていませんし、目の前の試合に最大限集中して臨み、東地区を制することです」
Q 先週末の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦に連勝し、特に1戦目はターンオーバーがわずか1本でしたが…。
「スタッツシートは私のターンオーバーかもしれません。でも、あれは(テーブス)海のせいです。ハーフタイムで海がスタッツを見て、“自分たちのターンオーバーは0本だ”と言ってきたから、ジェフ(ギブス)と私は彼に向かって“チームにとって(悪い)ジンクスになるぞ”っと言いました。私のパスが出て(アウトオブ・バウンズになって)しまった直後、ベンチにいる海の方を見て“君のせいだ”と責任を負わせたんです。あれは私と海のターンオーバーです。そのことは必ず書いてください(苦笑)」
Q 2戦目は3Qで相手を4点に抑えたことをどう捉えていますか?
「日曜日の試合はスロースタートを切ってしまいましたけど、落ち込むことも怒りを覚えるようなこともありませんでした。ハーフタイムでディフェンスの話をし、対応で数か所の変更を行いました。相手を4点に抑えることは目標でないにせよ、残り8分の時点ではだれも気づかなかったと思います。その後ベンチに座ってスコアボードを見上げたら、“彼らはクォーターで4点しか取っていないじゃないか”と言っていました。我々はこのクォーターで抑え込んだわけですが、4点に抑えることが目標である必要はないです。目の前の1ポゼッションにディフェンスを集中していたから、自分たちが気づいた時に4点だったということです」
ライアン・ロシター(宇都宮ブレックス #22)
Q 同じ相手に連勝するのはますます難しくなっていると思います。Bリーグのレベルが上がっていると思えるところはなんですか?
「今は水曜日にもゲームがあるから、連勝するのがより厳しくなっていますし、休める時間も減っていると思います。週末に連勝するのは大変なことです。月曜日がオフ、火曜日に軽めの練習、その後より練習に力が入るというのがこれまでのパターンでしたけど、水曜日に試合があることで体を消耗します。Bリーグは選手がレベルがすごく上がっていると思いますし、NBLの終盤やBリーグが始まったばかりのころは、下位チームに勝てるとわかっていました。いい試合ができていなくても、タレントのレベルが相手より上回っていたからです。今はそういったことなどありえません。どの試合も全力を出さなければいけません。広島(ドラゴンフライズ)はリーグ最低の成績かもしれませんが、すごくタフなチームですし、2日目に我々を下してもおかしくなかったです。ただ姿を現せば勝てるという期待を持てる試合はもう存在しないと思います」
Q スタッツは昨シーズンよりも低いですが、出場時間は約5分減っています。4試合欠場しましたが、ケガは軽傷で済みました。疲労の蓄積が少ないなど、コンディションは昨季のこの時期よりもいいと感じますか?
「仰ったように以前はより多くの時間と試合でプレーしていましたので、ちょっとした痛みを抱えていました。コンディション維持のために、練習を今までより少しハードにやろうということに気づきました。出場時間は減りましたし、過去のシーズンと同じようなコンディションにする必要もないので、練習をよりハードに行うことやランニングをやっています。あのころような長い時間プレーすることはないとわかっていますので…」
Q 今シーズン自分のプレーで一番重視しているところは?
「正直なところスタッツは少し下がっていますけど、L.J.(ピーク)がスコアラーとして加わりましたし、ジョシュ(スコット)も得点とリバウンドで貢献できます。我々はチーム重視のスタイルでプレーしていますし、得点を気にしている選手がいる試合などありません。だれかが土曜日に20点取っても日曜日は2点であっても、我々が2試合とも30点差で勝ったりします。正直なことを言いますと、ジミー・バトラー(マイアミ・ヒートの大黒柱)がプレーオフにおけるプレーを楽しんで見ていました。あるゲームは6点、7リバウンド、5アシストでもチームは勝ち。別のゲームでは30点と、チームが必要としていることをやっていました。このようなことが今シーズンにおける私のモットーになっているのは、たくさんいい選手がいますし、ボールもよく動くという理由からです。スタッツを追いかけるようなことはしないです。試合終盤で20点到達させるようなこともしませんし、みんなが一つになってケミストリーが正しい状態であるかを確かめていますね」
Q 仰ったように多くの選手が大事な局面でビッグプレーを決められますが、チャンピオンシップになったら貪欲に得点を狙って試合を支配する必要があると想定していますか?
「試合はよりタフなものになりますが、私はチャンピオンシップゲームでより多くの経験をしています。自分の姿勢は“準備できている”というものであり、レギュラーシーズンだから緩くということなどないし、試合の流れを見るようにしています。ある程度の時間が経過したところ、恐らく第2クォーターあたりで自分たちがいいプレーをしていなければ、私がもっとアグレッシブに攻めて数点ほど多く取りに行くでしょう。第3クォーターの終わりで15〜17点をリードしていれば、いろいろやる必要がなくなります。試合の流れを見て、チームに何が必要かを判断します。エクストラパスを出すことでシューターの調子を上げさせるようにしたり、オフェンスでよりアグレッシブに攻めるといったことですね」
Q 状況とコーチの決断によることは理解しています。同点か1点を追う局面でのラストショット、打つ可能性が高いのはだれですか? 2017年のシーホース三河戦で決めたように、最後は自分という思いを持っていますか?
「最後のプレーが私へのデザインでも、ゲームの状況によると思います。今年三菱(名古屋のこと)と対戦した際、同点の局面でLJのプレーをデザインし、彼がファウルをもらって2本のフリースローを決めました。(レバンガ)北海道戦では1点負けている状況で、ラストプレーのデザインは私が決めるというものでした。しかし、ジェフ(ギブス)のほうが有利なマッチアップだったので、コート上でジェフと私がスポットをスウィッチしたことで、ジェフが決勝点を入れてくれました。そういったことが我々の強みだと思います。ボールは欲しいけど、決して悪いショットを打たない、無理なプレーをしないでしょう。このチームでは8年目だから私のチームと思えるかもしれませんが、チームにとってベストなことをしたいだけです。ジェフがショットを打てば、私はオフェンス・リバウンドに入ります。外れたらティップできるように準備するということです」
Q Bリーグ最初のシーズンにセミファイナルのシーホース三河戦で決めたような機会が来ることは望んでいますか?
「そうですね。そういった状況はいつでも楽しいものです。ハドルの中で安齋(竜三コーチ:当時アシスタント)へ自分が決めるプレーにしてほしいと最初言ったんです。もちろん、彼次第でしたけど…。もし、彼がデザインしたプレーで私の仕事はスクリーンをセットすることであれば、できる限り最高のスクリーンをかけるだけです。仰ったように、試合の最後にショットを打つ準備はできています」
Q ファイナルまで2勝しなければ次に進めない新しいチャンピオンシップのシステムをどう思いますか?
「最初のシーズンでプレーしましたが、それ以降は戻っていません。10分間の延長、シリーズ第3戦がなくなり、リアルな試合になったことにはハッピーです。(ファイナルの2戦先勝は)いいことですし、どのチームが栄冠を手にすることになっても、本物のチャンピオンを決められると思います。プレーオフが1試合だけの場合、だれかが絶好調になるようなこと、ベンチから出てきて3Pを5本成功させたならば、それで勝負が決まってしまうもの。仮に少なくともゲーム2や3があっていいプレーをできれば、そこから2連勝できると思います」
Q 最後にファンへのメッセージを日本語でお願いします。
「皆さん見てくれてありがとうございます」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
宇都宮ブレックス 22番/PF/C ライアン・ロシター(取材日:2021年4月8日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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