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バスケット ボール コラム 2021年2月4日

全文公開!Bリーガー独占インタビュー:古川孝敏(秋田ノーザンハピネッツ #51)

B.LEAGUEコラム by 青木 崇
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古川孝敏(秋田ノーザンハピネッツ #51)

秋田ノーザンハピネッツで2年目の今シーズン、古川孝敏はシーズン序盤に故障で1か月ほど欠場を強いられたものの、攻防両面で頼れるベテランとしていい仕事をしている。チームもここ16試合で13勝と好調で、古川もその間に2ケタ得点を記録したのが12試合。シーホース三河との2戦目では、4Qに相手の追い上げムードを断ち切るショットを決めるなど、頼れるベテランとして存在感を示した。Bリーグ5年目で初のチャンピオンシップ進出も狙える位置にいるチームの現状について、厳しい視点を持ちながらも成長への手応えは感じている。

Q 21勝11敗の成績で東地区5位というチームの現状をどう捉えていますか?
「数字のところで言えば東で真ん中くらい、勝ち星もチームとして21というのが今までより伸ばしているのでいい部分もあるんですけど、戦っていて感じる部分でまだまだ。もちろん、完璧ではないんですけど、ムラのあるところが多いですし、もっとよくしていかなければいけないなと感じることは多いです」

Q 先週末のシーホース三河、アルバルク東京という強豪と呼ばれる相手にアウェイで勝利しています。外国籍選手に頼らず、全員が攻防両面で貢献できるチームに成長しているという手応えはありますか?
「各々がしっかり自覚と自信を持って思い切りやっている部分があるので、数字としても結果としても残っている部分が多いと思います。しっかり理解してそれを遂行しようとしているのがあると思うし、間違いなく昨シーズンとだいぶ違ったバスケットをやっているので、形はよくなりつつあるのかなと思います」

Q 出場時間が増えている長谷川暢や大浦颯太という20代前半のガードのステップアップは、昨シーズンとの大きな違いと思いますか?
「そうですね。若い選手にはあまり考えすぎても…というのがあるので、思い切ってやってほしいなと僕が個人的に思うところもあります。チームとしてもポイントガードがプッシュするシチュエーションは多いので、思い切ってアタックしてチャンスがあればというところはあるし、そこを彼らが気持ちよく自信を持ってやれているのがありますし、チームに勢いを与える部分も多い。そこは間違いなくプラスに働いている部分だと思います」

Q ハードなディフェンスを続けられる理由の一つとして、カディーム・コールビーがショットブロッカーとして存在していることは大きいですか?
「最終的にいてくれて助けられてる部分は大きいのがあるんですけど、ただそこ頼みのディフェンスはチームとしてやりたくない。結局ゴール下に外国人選手がいるから抜かれても…というようなことは嫌ですし、5人が連動したディフェンスを自分たちは目標としてやっている。もちろん、最終的にゴール下にいるのは大きい部分なんですけど、そこだけではなく横にいる選手だったり、ボールを持っている選手へ当たり前のようにプレッシャーをかけなければいけないんです。5人ちゃんといいポジションで連動して守っていけるかだと思うので、そういった意味ではもっともっと向上していかなければいけない部分が多いのかな。もちろん助けられている部分は多いんですけど、もっとやっていける部分はある」

Q チームとして今シーズンのベストと思えた試合は?
「自分たちの味が出た試合となると、この間の三河の2戦目とか悪くはないと思うんですけど…。結局ディフェンスがやりたいので、ディフェンスから流れを作れる、アップテンポでやりたい、速い展開で持っていってその中でチャンスがあればどんどん(ショットを)狙っていくバスケットをやっているので、それをいかにどれだけ出せるかというところ。アルバルクの試合もああいう勝ち方(スコアは89対70)をしましたけど、あの時は保岡(龍斗)が当たっていた部分もあったので、またちょっと…。悪い意味じゃないですけど、そこが大きかったという部分があります。川崎(1月24日)の時も結構激しく行ってアップテンポに持っていくことができたので、そこで向こうが後手になってくれたので、アタックできたというのもあります。そこの2試合は結構らしさを出せた部分があるのかなと思います。川崎とアイシン(三河)に勝った試合はだいぶよくなれたかなと思いますけどね。これは僕の個人的な話なので、伊藤(駿)が今いないからコントロールという部分でなかなか難しい部分がある中で、逆により一層若い選手が多いのでアップテンポでガンガン持っていくというのをより意識している部分ではある。ここの2つはそういう感じかなと思いました」

古川孝敏(秋田ノーザンハピネッツ #51)

Q 今シーズンの平均22.3分、11.1点は宇都宮ブレックスで優勝した時と同じですが、3Pは約4%高いなど、FGの成功率でもいい数字が出ています。昨シーズンよりも3分ほど出場時間が減りながらも、数字が伸びている理由は何だと思いますか?
「先ほどお話ししたように大きくバスケットのスタイルが変わったというのが、間違いなく一つ大きな部分があると思います。僕ら日本人がアタックするチャンスが多いですし、外国人選手に頼るようなバスケットでもない。僕らがやる機会が増えた部分があると思うので、僕だけじゃなく全員がリングに向かっていく、点を取る姿勢がすごく大きく見えてきているのがあると思う。そこが一つデカいのと、個人的に今年は結構数字にこだわりたいというのがあった。バスケットのスタイルもそうですし、自分がやらなければいけないところもあるのかなということで、結構アグレッシブにやるようにしていますかね。
ただ、自分から切り崩していくタイプではないので、チャンスがあればというところと時間帯と大事なところで取れれば、という部分をすごく意識しています。昨シーズンはあまりそこまでチームとしてうまく作り上げることができていなかった部分が多かったので、そこまで考えなかったです。そこは一つ大きい部分かなと」

Q 時間帯という部分では先日のレバンガ北海道戦や三河との2戦目では、終盤にチームの勝利に導くうえで大きな意味のあるフリースローやショットを決めています。経験が豊富で勝ち方を知るベテランとして、ここぞという局面でいいプレーをすることを求められている、それが自分の役割という意識は強いですか?
「大事なところで決めたいなという僕の強い気持ちと、そこでプレーなり、コーチ陣は正直あれですけど、選手としてやっていてもパスをくれることが多いので、いい状態で自分がもらえるように周りをうまく生かしながらできるように意識している。結局僕自身が20点も30点も取れる選手ではないと思っているので、その中で2ケタ、10点から15点を取っていきたい気持はあるんです。
チームがいい流れで全員にチャンスがある中で、アタックして点が取れている。僕の個人的な感覚としては、あまり余計なことをしなくていいかなと思いながらスペースを作ったり、プレースタイル的にも周りがうまくやりやすいように流れを作っていいところにパスを与えて展開しながら、みんなでできればというところを意識していけばいいのかなと思ってやっている。
その中で逆に(相手が)どうしても寄ってくるので、あまり無理する必要がない、他が空いてくるというところで、前半はバーっと(淡々と)やっていきながら最後にグッと締めていけたらなというような気持ですかね。前半シュートを1本しか打っていないとか、2点しか取っていないとかというのは、あまり気にしていないところかなと思います」

Q リーダーの一人として今まで伝えてきたことが浸透してきたことによって、チームはレベルアップしているという感触はありますか? 
「もちろん来た当初よりは大分いいですけど、はっきり言うとまだまだだなというのは間違いのないところだと思います」

Q そう感じる部分とは?
「技術的なことや戦術的なところは僕もあまり賢くないのでわからないので、そこをどうこうというのは難しいです。そこはコーチ陣が求めてくるところだし、どれだけ僕らが表現できるかだと思う。そういったところよりはメンタル的にどういう気持で臨まなければいけないのか、時間帯を読んだうえでどうしなければいけないか、しんどい時間が続いてきた中でチームとして戦わなければいけない部分。こうやって口にすればすごく当たり前のことなんですけど、どうしてもコートに立つとそれが難しかったりとか、自分のフラストレーションで“ウワー”ってなっちゃう選手もいる中で、出ている5人だけじゃなくベンチのみんなもそれをわからなければいけない。
そこだけじゃないんですけど、気持ちだったり、どう戦っていく、自分たちのバスケットをちゃんと理解して何をやっていかなければいけないのか。そういうところに目を向けていけるようにやっていけたらなぁと思うんですけど、いろいろ技術というか、“スペース取って”とか、“そこは無理しないで展開したほうが流れはよかったんじゃない。今は時間帯的にあまり攻めず、そこで打つより今のは引っ張って捌いたほうがいい流れを作れたんじゃない”とか色々あるんですけど、そこよりも精神的に全員が一つになれるようにいうのがまず一つありますね」

Q やはり、メンタリティの部分がチャンピオンシップ進出を実現させるためのカギだと思いますか?
「そうですね。結局自分たちのいいバスケット、先ほどお話しした2つの試合。ああやって前からディフェンスをしていい流れ、もちろん点を取られることもありますけど、激しくやってというところはできるのにできない試合も出てくる。もちろん、いい時も悪い時もあるんですけど、試合なんでよくない時に何をしなければいけないのかというところだったり、ここのムラがあってもちょっとギリギリのライン(波が小さい意味のハンドジェスチャー)でその我慢ができない、その戦いができないと自分たちで首を絞めて終わりということが多いので、戦い切れないですよね。
どうしても力のあるチームだと自分たちの戦いができなかった時にここで耐えて、チャンスをモノにできるようにするためには、“今は我慢しなければいけないよ”とか、そういう我慢できなくなって、空中分解じゃないですけど“バーン!”ってなってしまうと40分、2日かけて80分いかに戦い切るかというのはすごく難しい部分。そこは今後上を目指していく時大事になっていくところだと思いますね。
それこそシーズン始まった(ばかりの)時、北海道に100点ゲームでボロボロにされているので、そういった試合も出てきたりしています。そういうのが出てしまうと難しいですよね。また原点に戻らなければいけなくなってしまう。また同じことの繰り返しは成長を妨げてしまう部分だと思うので、そこは気持ち、しっかり考えて感じて、自分たちがやらなければいけないこと、メンタル、気持ちのそこをセットしていかないといけない。体が反応できない、技術の問題ではないと思うし、そこを1個上げていかないと上乗せしてもまた逆戻りするのがあまりにも大きすぎてしまうから、もったいないかなと思いますね」

Q 最後に、応援するファンの皆さんに一言お願いします。
「いつも同じようなことしか言わないんですけど、応援してもらえるというよりは一緒に秋田の会場に来てくださっている皆さんで戦っているというか、こういったしんどい時期・状況でも多くの方が来てくださってピンク色に染めて一緒に戦ってもらえるのがすごく心強いです。もちろん秋田以外の他の県だったりとか、いろいろなところにもバスケットが好きで見てくださる方がいて、県によっては緊急事態宣言とか難しい状況の中でも画面越しでも見てくださる方もいらっしゃると思います。そんな人たちのためにも頑張りたいと思いますし、僕らはバスケットを通じてやれることを精一杯やっていきたいと思うので、一緒に楽しんでこういう状況を乗り越えていきたいと思います。僕らは僕らで目標があるので、そこを目指して頑張っていくので、ともに楽しみながら日本を盛り上げていけたら、バスケットを通じて心を通わせたらなと思います」

文:青木 崇

【Bリーガーインタビュー】

秋田ノーザンハピネッツ 51番/SG/SFG 古川孝敏(取材日:2021年2月3日)

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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