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テーブス海(宇都宮ブレックス #7)
NCAAディビジョン1のキャリアに途中で終止符を打ち、宇都宮ブレックスでプロのキャリアを歩み始めたテーブス海。途中加入だった昨シーズンと違い、今シーズンはチームのシステムやルールの理解度も上がり、攻防両面で貢献することを期待されている。琉球ゴールデンキングスとの開幕戦では、初戦で2ケタ得点を記録する活躍を見せた一方で、2戦目に4本のターンオーバーを記録するという状況判断の部分での課題が改めて見えた。
それでも、外国籍選手へのアタックで得点できる強さ、視野の広さを生かしてのアシストを武器に、宇都宮に活力をもたらす可能性が大いにあることは間違いない。将来日本代表の司令塔という期待も高まるテーブスに、近況を中心に話を聞いた内容を紹介する。
Q 琉球ゴールデンキングスとの開幕戦に連勝できた要因は何だと思いますか?
「オフシーズンからプレシーズンにチームで心掛けていたことが、オフェンスもディフェンス、新加入の選手が何人かいて、うまくいろいろな組み合わせでコーチから言われていたことをみんなで40分間通してやれたことが、勝利の要因だと思います」
Q ジョシュ・スコットとのコンビネーション、ケミストリーに関してはどうですか?
「ジョシュは日本に来た時からオフコートで仲良くなって、アメリカ人だし僕も英語のほうが喋りやすい。すぐに仲良くなれたのもありますし、僕がアメリカの大学でやっていたときは、ダイブするビッグマンとやることが多くて、ブレックスはライアン(ロシター)やジェフ(ギブス)がショートロールで自分からクリエイトするビッグマンです。ジョシュはアメリカでよく見るタイプなので、そういう意味でやりやすいですし、彼も普通にボールを中で渡せば自分で得点できる選手なので、アジャストする時間はあまり必要じゃなかったと思います」
Q プレシーズン中に川崎とのスクリメージで様々な課題が出たと安斎コーチは言っていました。自分の視点で感じた課題を話せる範囲で教えていただけますか?
「チームの課題としては何て言うんですかね、僕が今までのブレックスと川崎の試合を経験したことがなかったので、僕からしたら結構第一印象だったんですけど、ガードのプレッシャーがすごくて、オフェンスではすごく連携してプレーしているというところがあるので、チームの課題としてはディフェンスのほうでいかに相手のオフェンスを崩せるか、苦しい体勢で(シュートを)打たすとか、セットプレーで崩したりして、相手のオフェンスをスムーズにさせないというのも課題だと思います。
自分としては結構積極的にリングへアタックして、そういうところがリーグのトップのチームに通用するのかを知りたかったです。リングまで持っていくチャンスはありましたし、公式戦でやるとなったらそういうところを積極的に攻めていきたいと思います。あとは状況判断とか、ポイントガードとしてチームの流れを考えながらプレーするというのはまだ自分の課題なので、バスケットIQといったところをどんどん高めていきたいと思います」
Q あれはチームの現状を知るいい機会、Wake-up Call(目覚まし)だったと感じ、それが琉球戦で改善されたと思えますか?
「はい、そうですね。プレシーズンだったのでベテラン選手から見てその試合をどういう気持で臨んだのか僕にはわかりませんが、思ったよりはうまくいっていなかったので、そういう意味ではちょっとWake-up Call的な試合になったのかもしれないです。沖縄(琉球)戦では最初のほうからアグレッシブにインテンシティの高いバスケットができたと思うので、もしかしたら川崎戦のおかげだったかもしれません」
Q 長年スターターを務めている選手の中には、なかなかベンチから出てくる役割に順応できない人もかなりいると思います。ベンチスタートのいい部分と難しい部分は何でしょうか?
「僕はアメリカの高校でやっていた時、シニア・イヤーの高3がずっとベンチスタートでした。とは言っても、6人目のスタートという感じの扱いをされていたので、自分が入って流れを変えるというところにすごい誇りを持ってプレーできたところがありました。最初は慣れなかったですし、だれでもスターターになりたいという気持があると思いますけど、そのロール(役割)にフィットするためには、ベンチからでもチームの勝利に貢献できることに誇りを持ってやるところですね。ブレックスでは6人目で入っても7人目で入っても、自分で流れをよくするとか、流れがすでにいいのであれば保つというのは重要な仕事だと思うので、別にベンチからスタートしたといってもやりづらいというのはないですね。難しいところは体が鈍ってしまうこと。いきなり入ったらプレッシャー・ディフェンスをするのは難しいですけど、このチームでは一番若いので文句なんか言ってられないなと…。いきなり出ていきなりアグレッシブにやるのは当たり前ですね、はい」
Q 安斎竜三コーチはディフェンスがすごくレベルアップしたと言っていましたが、自身はどの部分がよくなっていると実感していますか?
「やはり1オン1のディフェンス。Bリーグに入ってから身体を変えて、体重を絞ってすごく軽くなって動きやすくなってスピードも上がったので、1オン1のディフェンスのところで自分の脚力を使って相手を嫌がらせるところはずっと意識していたので、去年と比べたらよくなっているなと思います。チーム・ディフェンスとかよくなっているんですけど、ローテーションとか相手のスカウティングを見て判断するのは、まだできていないなというのをコーチから言われているので、そういうところは映像で(勉強して)考えながらやるしかないので、これからどんどんよくしていきたいと思います」
テーブス海(宇都宮ブレックス #7)
Q アメリカのバスケットボールで学んだことで、B1選手となった現在ですごく生かせていると思える部分は何ですか?
「外国人選手でも身体を当ててリングまでアタックしてフィニッシュするのは、一番Bリーグでも通用していると思いますし、他の日本人のガードに比べるとそこを経験したおかげで、自分だけ少し違うスキルセットを持っているなと思います。やはり向こうで自分よりも身体が大きい選手、自分よりも身体能力がある選手とばかりとやっていたので、Bリーグに入って『サイズ感とか身体能力を持っているな』と感じないので、そういうところは全然生かせているなと思っています」
Q ブレックスというプロチームに入って、UNCW(ノースカロライナ大ウィルミントン校)時代とは違う1日1日が勝負という世界を実感できていますか?
「間違いないです。ベテランの選手が多い中、本当に毎日吸収できる知識というのがあるので、毎日が楽しいですし、ブレックスに入ってからまだ短い期間ですけど、学んだこともめちゃくちゃ多いので、僕にとっては充実した生活になっています」
Q 視野の広さはどこから来ているのですか? どうやって身につけたのですか?
「視野の一部は生まれ持ったものかもしれないですけど、正直わからないですね。父(B.T.テーブス=現富士通女子ヘッドコーチ)の遺伝から来たと言うことはできないしょうが、かなりいいパスをする選手でしたので、そこから生まれたのかもしれません。中学の時のコーチは女性だったのですが、彼女はオープンになっている選手を見つけることなど、パスについていろいろ教えてくれました。重要なことはオープンになっているチームメイトを見つけることだと思います。だれがオープンになっているかを常に探し続けていると、パスすることが簡単になるのです。また、ディフェンスがどのようにローテーションするのかを知り、どのようにカバーしているのかを把握できればディフェンスを読むことができます。視野というのは、一つの方向を見るのではなくコート全体を見ること。と同時に、だれがどこに来て、だれがどこに行くのか、どうローテーションしていくのかを知っていることも視野だと思います」
Q 次の信州戦に向けてのカギは?
「カギはこれまでやってきたことを継続することです。セットオフェンスを遂行し、ミスを最小限にしながら、全力でプレーすることです。僕たちが持っているプレーのすべてを使う、新しい選手全員がシステムに馴染むいい機会だと思います。最も重要なのは今までやってきたことの継続ですね」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
宇都宮ブレックス 7番/PG テーブス 海(取材日:2020年10月6日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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