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【Bリーグ 2018-19 FINAL 千葉 vs 東京 プレビュー】終盤に向けて完成度を高めるA東京。千葉の鍵はDF戦術の遂行力。
B.LEAGUEコラム by 片岡秀一B.LEAGUE FINAL 2018-19の対戦カードは昨季と同じ顔合わせとなった。天皇杯と合わせた2冠と狙う千葉ジェッツ、2連覇を狙うアルバルク東京が決勝の舞台を戦う。
昨季FINALでは、ピック&ロールを起点とするA東京の緻密なハーフコートバスケットが光り、千葉のディフェンスを翻弄した。eFG%(3Pシュートの重みを加味したシュート成功率)では62%を記録。特に、勝負所の第4ピリオドでは73%と際立った数値を残した。#24田中大貴と#53アレックス・カークのピック&ロールを起点に、ゴール下のアリウープ、バックドア、3Pシュートを沈め続けた姿は、完成度の高さを印象付けた。
DFでも、千葉のeFG%を36%に抑えた。85対60という最終スコアが物語っている。こちらも、DF戦術を高いレベルで遂行した事が要因と言えるだろう。日本代表のテクニカルアドバイザー時代、ルカ・パヴィチェヴィッチ氏は『不必要なHelp、必要なHelpを区別する事の重要性』を説いた。各々が役割を全うすると共に、過剰な手助けもしない重要性を強調する考えだ。これにより、オフェンスに与えるズレを防いだ。実際、昨FINALでも、起点となる#2富樫勇樹に対し、#3安藤誓哉と#1小島元基が徹底マーク。周りの選手も的確なポジションを維持し、千葉に攻め手を与えなかった。こちらも完成度の高さが光った。
対する千葉。今シーズンは、FINALの悔しさを晴らすかのように見事なバスケットでシーズンを送ってきた。チーム理念でもある「アグレッシブなディフェンスから走る」の通り、#10アキ・チェンバース、#27石井講祐、#31原修太、新加入の#5田口成浩らのアウトサイド陣が競い合うようにDFでハッスル。相手オフェンスの自由を奪い、難しいシュートを打たせる。
そのリバウンドから素早い攻撃を仕掛けて相手を畳みかけた。#2富樫、#3マイケル・パーカー、#21ギャビン・エドワーズギャビンらのファーストブレイクは各チームにとっても例年以上の脅威となった。持ち前の素早い攻撃を発揮する為にも、DFに一層の磨きを掛けている。また、#11西村文男、#1ジョシュ・ダンカンらはスターティングメンバーと遜色のないパフォーマンスでチームを牽引。これらが噛み合った事が、最高勝率を達成した要因と言えるだろう。
今季、A東京との対戦では、昨季の反省を踏まえた多彩なDF戦術を用意。柔軟に対応とするとともに、各選手がDFの強度をアップして対応。天皇杯を含む今季の直接対決では、6勝1敗と大きく勝ち越している。
直接対決では負け越しているA東京だが、リーグ終盤、及び、CSに入って完成度を高めている。琉球ゴールデンキングスとのセミファイナルでは、各々が戦術を徹底的に遂行し、琉球が意図するオフェンスを発揮させない見事なDFを披露。
また、#6馬場雄大が存在感を高めている。得意とするファーストブレイク、ドライブ、リバウンド、スティール以外でも、ハーフコートオフェンスでも起点としての活躍が光る。 #24田中の存在と合わせ、この両翼の破壊力は絶大だ。DFと3Pシュートで安定した働きを見せる#10ザック・バランスキー、日本代表でもチームを牽引する#15竹内譲次らの存在も非常に頼もしい。シーズンを通じ、時期に応じてテーマを与えながら、段階的にチームの完成度を高めていくのがルカ・パヴィチェヴィッチ氏のスタイル。千葉が大きく勝ち越したことは勿論称賛される素晴らしい戦績だが、FINALに関しては、リーグ戦の戦績は、あくまでも参考程度に留めるべきなのかもしれない。
また、ルカ・パヴィチェヴィッチ氏は、現役時代に、欧州リーグで3連覇。コーチとしても各国で優勝経験を持つ。FINAL特有の緊張感や、勝負勘を持っている名将だ。FINALの舞台でも、今シーズンの千葉DFの特性を踏まえた上で、新しい戦術を駆使する可能性が高い。『アグレッシブなディフェンスから走る』を理念に掲げるチームだからこそ、千葉の対応力に注目したい。
片岡秀一
埼玉県草加市出身。1982年生まれ。 ゴールドスタンダード・ラボの編集員としてクリニックレポート、記事の企画・編集や、クリニックなどの企画運営をし、EURO Basketball Academy運営も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。
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