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【2018-19 B.LEAGUE NOTEBOOK 26】CSクォーターファイナル:川崎の強みであるインサイドを封じたことが栃木の勝因
B.LEAGUEコラム by 青木 崇レギュラーシーズン4度の対戦は、栃木ブレックスが4戦全勝したものの、11点差での決着が最大。B1チャンピオンシップ(CS)クォーターファイナルでの対戦も、実力拮抗のシリーズになると思われたが、結果は栃木が30点差と27点差での大勝。厳しいディフェンスで主導権を握ったのが最大の理由だが、少し細かい部分に焦点を当ててみると、インサイドの攻防に大きな違いが出たのである。
レギュラーシーズンの4試合、川崎はニック・ファジーカスとバーノン・マクリンが軸となり、ペイント内での得点で優位に立っていた。11月23日の初対戦における48点を最高に、4試合中3試合で42点以上をマークし、アベレージでも栃木を40-29.5と大きく上回っている。特にマクリンは1月26日の対戦で31点を奪った際には、18本中15本のFGを成功。4試合トータルのFG成功率は70.1%だった。
「インサイドで簡単に得点されないようにと話していたし、そうなるとディフェンスが収縮することになり、シューターもリズムをつかんでしまうことになってしまうと、彼らに勝つのは非常に難しくなる。インサイドをしっかりケアできれば、アウトサイドも同時に抑えられる」
こう語るライアン・ロシターの奮闘によってファジーカスの平均得点を16.8に限定させたことに加え、FG成功率も41.7%と低かったところが、レギュラーシーズンで4連勝できた要因。今回のCSではレギュラーシーズン同様、1戦目で19点、2戦目も3Q終了間際でファウルアウトになるまで14点しか許さなかった。それに加え、ジェフ・ギブスがマクリンをスローダウンさせたことは大差の一因になったと言っていい。
身長で20cmの差があっても、ギブスはポストアップに対してフィジカルの強さを生かし、ボールを入れにくいポジションを確保。1戦目の序盤でポストアップされた直後に長い腕を入れてスティールしたプレーは、マクリンにリズムをつかませない上で大きな意味があった。得意とする右へ仕掛けてのフックショットはリムを弾き続け、前半の得点がフリースローだけの2点に終わったことも、川崎が主導権を握れなかった理由と言っていい。
ゲーム2のマクリンは7本中6本のFG成功という数字が出たものの、3Qまでの試投数がわずか4本(7点)。川崎がファジーカスにボールを集める形にこだわった影響が少なからずあったと言え、レギュラーシーズンのようなパフォーマンスを発揮できずに終わった。苦手とするフリースローが2試合で13本中4本しか決まらなかったことも、川崎とっては大きな誤算だった。
川崎の強みであるインサイドを抑えたことについて、栃木の安齋竜三コーチは次のように振り返った。 「ニックとはライアンが何年もマッチアップしているし、ジェフも公(竹内公輔)もそうですけど、ある程度特徴を捉えている。ずっとそうなんですけど、中も外もやられるのが一番嫌だったので、どちらかと言えば外はダメ、中はある程度…。あとは“ファウルをうまく使え”ということを指示した。そういう意味ではトラップとかもそんなに行かなくても済みましたし、一人一人がしっかり守ってくれたところと、プラス持たれる前のディフェンスをかなり強調していた。そこのボールプレッシャーと、スリークォーターで上にかぶりながらいいポジションでボールを受けさせないようにというのが、その遂行力がすごく高かったと思います」
セミファイナルで対戦する千葉ジェッツは、トランジションが強みのチーム。川崎戦とかなり違った対応をしなければならないが、栃木のアイデンディディである激しくプレッシャーをかけるディフェンスの継続が、勝利へのカギとなることに変わりはない。
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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