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準優勝杯を受け取る今津慶介
「日本一」を決める決勝戦の相手は、西の伝統校・関西大学。対する慶應義塾大学は、水野敬太(経3・札幌南)を今季初の先発投手とした。水野は3回に2死二、三塁のピンチを背負うも、続く強打者を三振に仕留めるなど上々の立ち上がりを見せる。
しかし、4回には1死一、二塁の場面で左適時打を許し、1点の先制点を献上。5回から登板した広池浩成(経4・慶應)は4番打者に右本塁打を浴び、2-0とされる。打っては、関西大のプロ注目左腕・米沢友翔(人間健康4・金沢)の好投を前に、5回までわずか2安打と苦しむ。
その後、速球光る2番手・百合澤飛(人間健康3・開星)にも苦しめられるが、8回に先頭・丸田湊斗(法3・慶應)が出塁するとゴロ間に進塁し、小原大和(環4・花巻東)の遊ゴロ間に本塁に生還。1点を返し、2-1とする。
最終回、先頭の一宮知樹(経2・八千代松陰)が二塁打を放ち、続く吉野太陽(法4・慶應)も死球で出塁。無死一、二塁でサヨナラの好機を作るも、その後3者連続三振で試合終了。5年ぶりの優勝の座を目の前で逃した。
◆試合結果
関西大学|0 0 0 1 1 0 0 0 0|2
慶應大学|0 0 0 0 0 0 0 1 X|1
『チーム今津』が数々の勝利へのドラマを繰り広げた神宮球場。その場所で行われる大会最終試合は、「日本一」を決める舞台となった。3日にわたる熱戦であった早慶戦を経て優勝を決めた日からわずか1週間後に始まった全日本大会。
しかし、前日は前回王者の東北福祉大学を5-2で下し、疲労を感じさせないどころか、むしろギアを一段階上げたような投打にわたる奮闘を見せている。リーグ戦前からどの選手も『四冠』を意識し、勝っても負けても「次の試合」へ全力で向かってきた。
最後の相手は、同じく「Kマーク」の関西学生野球連盟代表の関西大学。今大会4強入りした大学の中では唯一のノーシード校で、慶大と同じく「昨季5位」から全国へ這い上がってきた。前日には、國學院大学に対してサヨナラ勝ち。今年のドラフト候補左腕・米沢をはじめとする屈強な投手を擁する関西の「カイザー」だ。
慶大は、「エース抜き」で行われるこの決勝で、いかに今季初先発となる水野が序盤を最少失点で抑え、打っては前日の試合のように打線が途切れず確実に得点に結びつけられるかが勝負となる。
初回、相手1・2番打者をそれぞれ遊ゴロと中飛に仕留めるも、3番打者にフルカウントから四球を許すと、続く前日のサヨナラの立役者・山本峻輔(人間健康3・延岡学園)に右前打を浴び、2死一、二塁のピンチに。しかし、続く打者を左飛に打ち取り、初回を無失点に抑える。
奮起が求められる打線はその裏、林純司(環3・報徳学園)が左前安打で出塁すると、続く小原は二塁手のファンブルもあり、1死一、二塁の好機を作る。後続が断たれ得点にはならなかったが、前日と変わらぬ上位打線の勢いを示した。
水野は、2回表を2つの三振含む三者凡退で回を終えるが、3回、先頭打者に中安打を許す。しかし、その後1死二塁の場面で左中間への当たりを左翼手・一宮がジャンピングキャッチ。なおも続く打者に左安打、さらに盗塁を許して迎えた、2死二、三塁のピンチも、最後は4番・山本を三振に仕留め、切り抜ける。
先制点が欲しいが、徐々に調子を上げてきた米沢相手に打線は2・3回と安打が出ず。4回も引き続き投手は水野。山本の二遊間に抜けるかという当たりを林純が見事捕えるが、一塁への送球が間に合わず内野安打に。迎えた1死一、二塁の場面で、相手に鋭い左適時打を許し、先制点を献上してしまう。
すぐに取り返したいその裏、3番打者・小原から始まる好打順も、あっという間に2死。しかし一宮が死球で出塁する。すると続く吉野が右中間への大飛球を放つが、相手右翼手の決死のジャンプキャッチに阻まれ、無得点に終わる。
5回からは、水野に代わり広池がマウンドに上がる。先頭打者を三振に仕留めるも、その後2死の場面から4番・山本に右中間への本塁打を浴び、さらに1点を追加される。続く打者にも二塁打を許したところで、投手は1年時に全国の舞台を経験している竹内丈(環4・桐蔭学園)にスイッチ。最後は三ゴロでピンチを凌ぎ、火消しの役割を全うする。
6回からは、今季リリーバーとして名を上げた鈴木佳門(経2・慶應)にマウンドを託す。6回は三者凡退、7回は四球を出すも、上位打線を打ち取り、慶大打線に希望を繋げる。
6回裏、関西大・米沢はマウンドを降り、今大会大活躍中の2番手で大型左腕の百合澤へ。2死の場面で今津慶介(総4・旭川東)が死球を受け、続く一宮が左安打を放ち、一、三塁とするも、吉野が惜しくも遊ゴロに倒れる。
8回表から7回に代打起用の加藤右悟(環2・慶應)が捕手として入り、鈴木佳との2年生バッテリーに。死球で走者を出すも、安定した投球で二塁を踏ませない。
このままでは終われない慶大は8回の攻撃で仕掛ける。投げ込まれる150キロ連続の速球に対し、先頭打者・丸田は四球を選ぶと、林純の三ゴロ間に三塁まで進塁。続く小原の遊ゴロ間に本塁に進み、意地の1点を獲得した。
1点のビハインドで迎えた最終回。最後を託されたのは、法政大学戦以来のクローザー起用となった熊ノ郷翔斗(環2・桐蔭学園)。先頭打者にストレートの四球を許すと、捕逸もあり、1死一、二塁のピンチを背負う。その後に続くのは強力クリーンアップであったが、持ち味のストレートでここは抑え切る。
9回裏、先頭打者は、この日慶大にとって百合澤から唯一の安打を放った一宮。対する投手は、前日の対國學院戦でもクローザーとして登板した関大の3枚目・中原海晴(商4・徳島商業)がマウンドに上がる。
1ストライクから上がった打球は中二塁打となり、慶大スタンドがこの日一番の歓声に包まれる。続く吉野が死球を受け、無死一、二塁とすると、指揮官は代打攻勢で逆転を狙う。しかし、代打・村岡龍(商4・慶應)、渡辺憩(商3・慶應)、藤田一波(環1・智辯和歌山)が三者とも空振り三振。最後は関西大の誇る投手3枚看板を前に一歩及ばず、日本一の座を逃した。
最優秀投手賞を獲得した渡辺和大
今大会防御率0.00で最優秀投手賞に選ばれた絶対的エース・渡辺和大(商4・高松商業)は、今季の慶大の試合17試合中11試合に登板し、9勝を挙げる熱投をみせた。
そして、その奮闘に応えようとするチーム全員の思いも、相当なものがあった。期待してくださる方のため、応援してくださる方のため、チームのため。どのインタビューでも、彼らは口々にそう言っていた。
慶大史上初の「四冠」は叶わなかった。しかし、彼らが積み上げてきたものが消えるわけではない。今大会で流した嬉し涙も、悔し涙も、そのすべてが『チーム今津』、そして今後の慶大をさらに強くしてくれるはずだ。
文:片山春佳/写真:河合亜采子、柄澤晃希(慶應スポーツ新聞会)
◆今津慶介(総4・旭川東)試合後インタビュー
―― 今日の試合を振り返って
関西大学さんの野球にもうひとつ力が及ばなかったなと思います。
―― どういうところが及ばなかったか
好投手2人を最後まで打ち崩せなかったことが敗因だと思います。
―― 六大学の代表として決勝まで進出したことをどう振り返るか
六大学野球を代表して優勝したいという想いがあったのですが、最後決勝でこういう形で負けてしまったのが悔しいです。秋、まずはリーグ戦を優勝して、そして慶應野球の強さを全国の舞台で証明したいと思います。
―― 個人として、大会全体を振り返って
最初の3戦は個人としてもチームの勝利に貢献できたと思っていますが、今日の試合では打たないといけないところで凡退してしまったので、非常に悔しいです。
―― その悔しさをどのように活かしていきたいか
一発勝負の世界なので、どんな相手に対しても慶應の野球ができるように、夏の期間、練習に取り組んでいきたいと思います。
―― 慶應の野球とは
投手陣がエースの渡辺和大(商4・高松商業)を中心にしっかり守って流れを作り、どんな投手に対しても打線として攻略していくのが慶應の野球だと思います。
―― 関西大投手陣攻略する上で、達成できなかった部分について
先発の米沢(=友翔/人間健康4・金沢)くんの真っすぐに対して、一巡目にハードヒット出来ず、そこから変化球を混ぜられて、ストライクゾーンを広く使われてしまったことが敗因だと思います。
―― 負傷のため早慶戦から欠場が続いている中塚遥翔(環3・智辯和歌山)の想いも背負って戦っていた
リーグ戦では彼のバットで勝たせてもらった場面もあったので、彼のためにも優勝したいという想いがあつたのですが、こういう結果になってしまい非常に悔しいです。
―― 秋に向けて、何か新しいことを取り入れるか、それとも継続路線でいくのか
春のリーグと選手権を通して成果も課題も出たと思うので、良かったところは継続しつつ、課題も出ましたし、新しいことにチャレンジしていかなければならないと感じた春でした。夏は変化を恐れずにまた1からやり直したいと思います。
―― 今季を通じて1番成果を感じられたのは
投手はここ一番という場面でしっかり抑えること、打者は勝負所で1点を取りきるところ、と言ったような、勝負強さの部分が春の成果だと思います。
―― 個人として、この春成果をあげられたと思う点は
昨春いい結果を残した後、秋にかなり研究されて、苦手な部分も多くなってきたことを踏まえて、冬に取り組んできたことがこの春成果として出たと思っています。具体的には変化球対応と左ピッチャーに対してのアプローチが良くなって、そこが良い結果として現れたと思います。
―― 試合後、主将からナインにかけた言葉は
悔しいですけど、後悔しても仕方がないので、反省するべきところは反省して、秋のリーグ戦でまた必ず優勝したいと思います。
―― 試合終盤に粘りを見せたが
六大学の想いも背負っていますし、ベンチに入れなかったメンバー、慶大ファンの皆様の応援と背負って、なんとか優勝したいと思ったのですが、こういう結果に終わってしまいました。
―― 勝つために足りなかった部分、秋までに身につけたい部分
点差は1点でしたが、打線通して攻略の糸口を見つけられなかったのは技術不足だと思います。この夏を通して、他の大学を圧倒できるように技術を磨いていきたいです。
―― 個人として、大学日本代表選考合宿に参加することについて
自分の持ち味をしっかり発揮することと、レベルの高い環境なので、周りの選手としっかり交流して、自チームに還元できるところは還元したいと思います。
―― 具体的に、今津選手の持ち味とは
リーダーシップと勝負強さです。
―― 四冠を目標としていたが、ここからどう切り替えて秋に臨むか
『四冠』という目標は達成できませんでしたが、まずは(リーグ戦で)春秋連覇を成し遂げて、今日取りこぼした『日本一』を取るために、また1からやっていこうと思います。
慶應スポーツ新聞会
慶應義塾大学文化団体連盟所属の公認サークル。通称ケイスポ。全40ある体育会の取材から記事の執筆、年7回の新聞製作まで全て学生の手で行う塾内唯一のスポーツ新聞サークル。部員数約50名、35年の歴史を持つ。»慶應スポーツWebサイト
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