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フィリーズ戦先発前にブルペン投球する今永
マウンド上で何度もうなずき、自分自身に何かを言い聞かせているようだった。入り込んでいる。集中している。そんな雰囲気だ。
カブスの今永 昇太投手(32)は4月15日(日本時間16日)のフィリーズ戦(フィラデルフィア)で6回を投げ、3安打1失点、1四球、メジャー移籍後最多タイの11三振を奪った。球数は、97球だった。4度目の先発で今季初勝利(1敗)を挙げた。
「先頭にホームラン打たれてしまったんですけど、自分の今日のメカニズムに関しては、いいものがあるという自信があるので、特に慌てることなく自分を信じて投げました」
1回。ターナーに中堅左に運ばれる2号ソロを浴びた。昨季の終盤から、ポストシーズン、今季初先発まで12試合連続で本塁打を打たれていた。『一発病』が大きな課題ということは、本人が誰よりも自覚していた。
2、3度目の先発では一発を許さなかったが、1勝目をかけるマウンドの立ち上がりに、手痛い1本を献上。しかし、崩れず、三振ショーを展開した。
「自分自身は毎年レベルアップしているように自信を持っている。2024年よりも2025年の方が良かった時もありますし、今は過去に戻るんじゃなくて、また新しい自分を作り上げる、あまり過去の良かった時とか関係ない。新しい自分を作り上げることにフォーカスしています」
先発前日、キャッチボールで調整する今永
昨季、スイーパーの多投により左腕のリリースポイントが下がった。アームアングル(腕の角度)は、ルーキーイヤーで防御率2.91をマークした2024年は40度。昨季は、5月の左太もも裏の負傷をきっかけに投球フォームを崩し、36度に下がっていた。
今季は、ここまで40~41度に上がっている。「腕を上げようとした、という意識よりも、自然と上げられている体の使い方ができている、という表現が正しいかもしれませんね」。
オフには動作解析や筋力の不足箇所を分析。左肘が下がったことで今永特有のスピンの効いた伸びのある直球を失った。そして今、直球の質を取り戻した。直近3試合では17イニングを投げ、2失点、防御率1.06と抜群の安定感を発揮している。
MLBのデータでは「ファストボール・ラン・バリュー」とう指標がある。「その球種がどれだけ失点を防いだが、防げなかったか」を示す。今永の「ファストボール・ラン・バリュー」は「+5」。平均的な投手の直球よりも「5失点分を防いだ価値がある」という評価だ。
1勝目を挙げた試合では、昨季56本塁打でナ・リーグ本塁打王のシュワーバーから3打席連続で空振り三振を奪うなど、フィリーズ打線から26度、空振りさせた。今季のMLB全体トップであり、2008年のスタット・キャスト導入でのデータ計測以来、カブス投手史上最多タイ。2020年8月23日のホワイトソックス戦で先発したダルビッシュ有投手以来と球団記録となった。
「信頼を崩すのは本当に簡単なので、こうやっていい試合で土俵際で踏ん張る試合を続けておかないと、大事なイニング、大事な試合、大事なバッターってのはなかなか任せてもらえなくなってくる。とにかく地に足つけて、次またいいピッチングしてやるぞっていうよりは、また明日から丁寧な1日を過ごしていくってことが大事かなと思います」
好投しても謙虚に次の調整に向かう。1年契約で挑むメジャー3年目。今永は、完全復活、そして「新しい自分」を求め、上々の4月を過ごしている。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
J SPORTS 編集部
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