全日本大学野球選手権に出場するプロ注目の選手たち：野手編

立石正広（創価大学）

第74回全日本大学野球選手権大会は6月9日（月）の開幕。明治神宮野球場（神宮球場）と東京ドームで行われ、決勝は15日（日）に予定されている。

昨年のコラムで「注目選手」として名を挙げた、西川史礁（青山学院大学→千葉ロッテ）、佐々木泰（青山学院大学→広島）、渡部聖弥（大阪商業大学→埼玉西武）、浦田俊輔（九州産業大学→巨人）は、全員がドラフト上位でNPBに進み、既に一軍の出場機会も得ている。

今大会は内野手に人材が揃い、1位指名が濃厚な選手もいる。二遊間、特にセカンドに人材が多い。今回は大学野球選手権に出場する4年生から、プロ注目の5名を紹介したい。

立石正広（創価大学4年／東京新大学野球連盟）は、2025年秋のNPBドラフト会議において、上位指名される可能性がある内野手だ。2024年秋の明治神宮野球大会（秋の全国大会）では、15打数10安打、2本塁打6打点の大活躍を見せ、創価大学の準優勝に大きく貢献。春季リーグ戦も12試合で打率.400、5本塁打16打点と素晴らしい活躍だった。

立石は180センチ・85キロの右打者で、その魅力はまず「飛ばす」「投げる」「走る」といったアスリート性。守備位置は昨年までの三塁から二塁に移ったが、問題なくこなしている。

プロでどのポジションになるかは流動的だが、俊足強肩で動きがいいだけに「打つだけ」にはならない。1位重複も十分にあり得る逸材で、大会後に開催される「侍ジャパン大学日本代表」選考合宿にも招集されている。

小澤周平（早稲田大学4年／東京六大学野球連盟）は、早大の第115代主将も任される強打好守の二塁手。172センチ・74キロの左打者となると、どうしても「小技系」をイメージしがちだ。

ただ、彼はしっかり振って飛ばせる強打者で、チームでも3番を任されている。春のリーグ戦は打率.377、1本塁打、9打点と数字も残した。ベストナインに選出され、4番・寺尾拳聖（3年／外野手）らとともに強打線を支えた。

小田康一郎（青山学院大学4年／東都大学野球連盟）は、打撃技術の高い巧打者だ。173センチ・85キロの右投左打で、守備位置は一塁。プロが高く評価するのはショートや捕手で、一塁手はよほど打撃がよくなければ指名されない。しかし、小田は打撃技術、選球眼が東都でも最高レベルで、1年次からの7シーズンで通算75安打、8本塁打をコンスタントに実績を積み上げてきた。

2025年の春季リーグ戦は打率.277、3本塁打、11打点で打点王にも輝いている。チームバランス的に一塁を守っているが走塁、捕球、送球と悪くないし、上のレベルでは外野手としても起用できるだろう。彼も「侍ジャパン大学日本代表」選考合宿に招集されている。

大塚瑠晏（東海大学4年／首都大学野球連盟）は、東海大相模高校時代から評価の高かった、右投左打のショートストップ。169センチ・74キロの小兵だが、守備で見せるフットワークの良さ、動作の速さと正確性はピカイチだ。

大学でも高校時代に続いて主将を任され、打者としては力強さが増している。春季リーグ戦は3番で起用され打率390、1本塁打、6打点でベストナインにも選出された。やはり、「侍ジャパン大学日本代表」選考合宿に招集されている。

勝田成（近畿大学4年／関西学生野球連盟）もプロ注目の内野手だ。163センチ・70キロとかなり小柄な左打者で、定位置は二塁。近大では1年生の秋からポジションを掴むと、2年春から5シーズン連続で打率3割以上を記録している。

この春のリーグ戦は打率429、6打点でベストナインにも輝いた。打撃以上に武器となるのは俊足で、守備もボールに届く範囲が広く、しかも強肩で、三拍子揃った選手だ。昨年の「侍ジャパン大学代表」のヨーロッパ遠征に参加し、次の「侍ジャパン大学日本代表」選考合宿に招集されている。

文：大島和人