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野球 コラム 2025年5月2日

今永昇太、勇気ある決断とは

MLBコラム by 山田 結軌
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今永昇太(カブス)撮影:2月/アリゾナ州メサ

決して安心できる点差ではなかった。自らが先発ローテーションの中心を担わなければならない責任も理解している。多少、無理をすれば投げることはできた。ただ、ポストシーズンを含めたシーズン全体を見通した場合、ここでブレーキを踏むことが最善の策だと信じた。

4月29日、ピッツバーグでのパイレーツ戦。カブスの今永昇太(31)は無失点で迎えた6回、先頭のマカチェンに左中間二塁打を許した場面で両脚のけいれんを訴え、降板を申し出た。結果的には、5回0/3を投げ、6安打無失点で3勝目(1敗、防御率2.77)を挙げている。

「オフ明けの1試合目なので、自分が長いイニングを投げたいという気持ちもあった。自分がローテーションに穴を開けるということが、チームに一番迷惑をかけるので、それよりも前に、そうならないために自分でそういう決断を下しました」

試合前、球場周辺はどしゃ降りの雨。試合開始が午後6時40分から、20分遅れた。プレーボール時の気温は18度だが、湿度が90%近くに上昇した環境。

「5回を抑えた後に身体が少しつりそうな感覚があった。完全につっては、いなかたんですけど、6回に完全に足がつってしまった」

ピッチングを続行したら、肉離れなど負傷者リスト(IL)入りにつながる可能性を感じ取った。症状が悪化する前にチームに伝え、「自分で勇気のいる決断でしたけど、その次の登板も見据えて、きょう降板を自分で言えたので、次の登板は全く問題ないと思います」と振り返った。

今永昇太(カブス)撮影:2月/アリゾナ州メサ

試合後、日米メディアへの取材対応は立ったまま応じた。マウンドを降りてから、血流を循環させるため、温水と冷水を交互に入る交代浴を行い、ストレッチなどでケアをした。

球数は87球。通常の登板間隔なら、5月4日午後1時10分のデーゲーム(日本時間5日午前3時10分開始)のブルワーズ戦(ミルウォーキー)で先発する。

ちなみにすでにチームの公式サイト上では、今永の先発が表示されている。中4日だが、デーゲーム先発。ピッツバーグでのナイトゲーム登板から、実質“中3日半”。しかも約3時間の飛行機移動を伴うタフなスケジュールだ。

この日の登板で7度目。シーズンで30先発をこなし、プレーオフまで見据えた場合、かなりの長丁場だ。「自分の中でこれ以上やると、無理をするとよくなかった経験が過去にはある。その数歩手前で」と降板する決断を下した。

ローテーション左腕、スティールが左肘の手術を受け、復帰は来季以降。先発投手のチーム防御率3.61はナ・リーグ7位(4月30日時点)でチーム打率.263はトップだ。

ナ・リーグ中地区の首位をキープしながら、2020年以来の地区優勝とプレーオフ進出には、投手陣の踏ん張り、リリーフのチーム防御率4.76(同12位)の改善がキーになりそうだ。

今永の「勇気ある決断」はチームと自身の未来へプラスに作用すると信じたからこそ。まずは、次回登板を無事に迎え、そして投げ終えられることを願っている。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

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