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野球 コラム 2024年8月13日

【広島好き】新井監督の9連戦8先発の大胆起用で勝率5割以上確定 有言実行の全員野球で頂点へ

野球好きコラム by 前原淳
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新井監督の期待に応えて遊撃のレギュラーに定着した矢野雅哉

新井監督の期待に応えて遊撃のレギュラーに定着した矢野雅哉

最終局面を前に、有言実行の“全員野球”だ。広島・新井貴浩監督は、夏場の9連戦に先発8投手体制を敷いている。6日からの巨人3連戦はアドゥワ誠から床田寛樹、大瀬良大地。9日からの阪神3連戦は今季初先発となった森翔平、森下暢仁、九里亜蓮と続いた。さらに12日からのDeNA3連戦も中12日の玉村昇悟、中10日の野村祐輔と続き、最後は中7日空けた床田寛樹が締める。

巨人は前日12日からこの日の13日まで、山崎伊とグリフィンを中5日で先発させたように、主戦の登板間隔を詰める中、新井監督は先発陣のムチを打つことはしなかった。

「勝負はまだ先にある。森もずっといい投球をしていたし、どこかでチャンスを与えたいと思っていた」

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阪神3連戦の初戦に今季1軍初登板の森の起用は驚きを与えたが、結果は5回3安打1失点と勝利に導いた。9連戦の始まりも、中13日のアドゥワに託して、こちらはプロ初完封と望外の働きだった。

広島の躍進を支えた先発4本柱の登板間隔を詰めなかっただけでなく、5番手以降の投手たちを9連戦で1度のみの登板にとどめた。登板間隔を10日以上空けることで、それぞれが課題を持って調整し、フレッシュな状態でマウンドに上がった。

結果が反対に転んでいれば批判の声が上がっても不思議ではない大胆なローテ再編は、見事に好結果を生んだ。優勝争いする2球団相手に3勝2敗1分け。DeNA3連戦の初戦も玉村の完投勝利で白星をつかみ、勝ちパターンの投手の登板を最小限にとどめるなど効果を得た。

今季の広島先発陣は、開幕から先発4本柱に加え、5番手以降のアドゥワ、玉村が安定したことで、2軍で好投しても昇格できない状況が続いていた。雨天中止が多く、日程面でも先発4本柱中心で回せた側面もあった。シーズンを通して1軍と2軍の首脳陣が連携をとりながら、なかなか昇格できない野村や森の登板機会を探っていた。

投手にとって疲労の影響が出る夏場こそ、そのときだった。菊地原毅投手コーチは「みんないい状態でいてくれているので、そこは信頼しながら起用したい」と送り出した投手への信頼を口にした。

新井監督は就任時から「全員が戦力だと思っている」と選手たちに言ってきた。外国人選手が開幕早々に離脱した今季は若手を積極起用。矢野雅哉が遊撃のレギュラーに定着し、二俣翔一もユーティリティー性を発揮して1軍に欠かせない戦力となった。言葉だけでなく、試合途中から積極的に選手を入れ替える交代策も「全員で戦っている」意思表示でもあった。

投手起用だけではない。ジェイク・シャイナーの負傷によって昇格のチャンスを得た林晃汰を4日中日戦から2戦連続先発起用。11日には中村奨成を1軍に呼び、同日に「1番左翼」でスタメン出場させた。9連戦の中で打線の軸である秋山や野間を休養させながら若手に出場機会を与えた。

新井広島は開幕前の評論家予想では、下位予想が多かった。他球団と比べても戦力がそろっているわけでもない。それでもちょうど100試合を消化して首位に立ち、セ界の優勝争いをリードしている。

「1軍も2軍も含めて。全員で戦えていると思います」。

9日阪神戦後、新井監督は胸を張った。最後まで新井広島は総力戦で戦い抜く。

文:前原淳

前原淳

前原淳

カープ取材歴18年。03年に地元福岡の大学を卒業後、上京。編集プロダクションで4年間の下積みをへて、07年に広島の出版社に入社。14年12月にフリー転身。現在は日刊スポーツの契約ライターとして広島担当。日刊スポーツだけでなく、NumberWebにて「一筆入魂」を隔週連載するなど幅広いメディアに原稿を執筆するカープライター。X → @mae_junjun

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