ホーム2連敗で崖っぷちのオリオールズ、現地メディアは「スウィープされない理由と逆転で勝ち抜ける確率」を伝える。MLB ア・リーグ ディビジョンシリーズ

オリオールズvs.レンジャーズ

MLBの2023年ポストシーズンはアメリカンリーグ、そしてナショナルリーグのディビジョンシリーズをともに2試合終え、アストロズvs.ツインズ、ブレーブスvs.フィリーズはそれぞれ1勝1敗として下位シードの本拠地（ミネソタとフィラデルフィア）へ戦いの舞台を移すこととなった。

一方、ホームチームの2連勝すら予想されたオリオールズvs.レンジャーズ、ドジャースvs.ダイアモンドバックスのシリーズは、ビジターチームが2連勝し、スイープでのシリーズ制覇に王手をかけ、本拠地での第3戦を迎える驚きの展開となった。

特にレギュラーシーズンでは接戦に無類の強さを見せたア・リーグ第1シードのオリオールズは、1点差で初戦を落とすと、第2戦はレンジャーズの得意とする打撃戦という土俵に上がって敗北を喫する格好となった上、チームの要であるスター捕手アドリー・ラッチマンの打撃不振（2試合で8打数1安打、打率.125）が、まさかの連敗スタートのダメージをより深刻なものとしている。

こうなってくると、ワイルドカードシリーズから破竹の4連勝と、勢いに乗るレンジャーズによるスイープでの、アメリカンリーグ チャンピオンシップシリーズ進出も現実味を帯びてきているように思えるが、『MLB.com』はとあるデータを根拠に、オリオールズはスイープを許さないだろうとしている。

同サイトが指摘する理由とは、「オリオールズがレギュラーシーズンにおける2試合以上のシリーズで、2022年5月中旬以降、一度もスイープされていない」という事実であり、現地10日に掲載された記事によると、現在も継続中であるオリオールズの「レギュラーシーズンにおける2試合以上のシリーズで、スイープされていない史上3番目の連続記録」とのこと。

また、同サイトのサラ・ラングス記者によると、「オリオールズはレギュラーシーズンの2試合以上あるシリーズで一度もスイープされずにポストシーズン進出を果たした17番目のチーム（短縮シーズンの2020年を除く）」。

そして、「過去の16チームでポストシーズンに入って、シリーズをスイープされたのは、1998年のパドレスのみ」となっているとのこと。ちなみに、その時パドレスを率いていたのは、現レンジャーズ監督のブルース・ボウチーであり、ラングス記者は『X』での投稿で「ボウチーのレンジャーズはその時のお返しをするチャンス」と綴っている。

しかし、上記はあくまでもオリオールズによるスイープ（3連敗での敗退）阻止の可能性の高さを裏付けるデータであり、2連敗からのシリーズ勝ち抜けとなると、それはまた別の話である。

なお、2連敗からの3連勝となると、それなりに前例はあるが、やはりハードルもそれなりに高い。『MLB.com』が現地8日付で掲載した記事によると、「これまでベスト・オブ・ファイブのポストシーズンシリーズで、開幕2連勝を飾った88チーム中78チーム（89％）がシリーズを制覇している」。

さらに「ディビジョンシリーズが現行の2-2-1形式になって以降は、敵地での第1戦と第2戦で勝利した16チーム中14チーム（88％）がシリーズを制覇し、うち10回はスイープによるものだった」とのこと。

つまり、統計的に見ると、2連敗したオリオールズがここから3連勝でシリーズを制覇する確率は12％ほどとなる。ちなみに、MLBにおいて5試合制のポストシーズンシリーズで、2連敗から3連勝したケースは史上10例あり、2000年代以降では5チームがこれを成し遂げている。

直近の例は2017年のヤンキースであり、その前は2015年にブルージェイズが達成しているが、その際は奇遇にもレンジャーズが2連勝からの3連敗を喫している。

歴史的事実として「5試合制のポストシーズンシリーズにおける2連敗からの3連勝」が5年に1回強の割合で発生しており、前回の例が6年前となると、そろそろ大逆転劇の起こる頃合いのように思えなくもない。