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野球 コラム 2023年3月6日

MLB今季からピッチクロック導入、混乱発生もアジャストして行くしかない

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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カル・コンリー

カル・コンリー

MLBでは今季から新しいルールが導入されるが、その中でもっとも画期的なのが「ピッチクロック制」だ。スプリングトレーニング・ゲーム(春季キャンプのオープン戦)で早くも物議を醸している。

これは、投手は走者なしの場面では15秒以内、走者ありでは20秒以内に投球モーションに入らねばならないとするもの。守らなければ1ボールとなる。一方打者は、8秒以内に打席に入り投球に備えなけれな1ストライクを宣告される。

早速、「事件」も起こった。2月25日のレッドソックス対ブレーブス戦で、6対6の同点の9回裏、二死満塁フルカウントで打者のカル・コンリーが球審から「時間切れ」によるストライク、すなわち三振をコールされたのだ。スプリングトレーニング・ゲームでは延長戦は適用されないので、これで引き分け。ある意味では劇的な幕切れとなった。

ドミニカの放送局のエクトル・ゴメス記者は「これがワールドシリーズ最終戦だったら最悪」と嘆いた。

しかし、別の見方をすれば「ワールドシリーズ最終戦でなくて良かった」のだ。今のうちにこういう機会をしっかり経験して、選手もファンも新ルールに慣れていけば良いのだ。

個人的には、ピッチクロックの導入はやむを得ないと思う。昨年メジャーの平均試合時間は3時間5分。20年前の2003年は2時間49分だった。その20年前の1983年は2時間40分だった。さらに言えば、1920年代は2時間を切っていた。そこまで遡らなくても、ぼくがMLBを見始めた1970年代は2時間半くらいが一般的だった。この半世紀で試合時間が30分以上も長くなるのを見極めた生き証人に、図らずともなってしまった。

残念ながら、試合時間というのは放置しておくと長くなる一方だと思う。戦術、戦略は日々進歩する。複雑化するサイン、小刻みな選手交代、1球単位の守備位置変更、それらは全て試合時間が長くなる方に作用する。また、球場内の演出のエスカレーションもそうだ。やはり、何らかの手は打たねばならない。

もちろん、もっとも効果的なのはCMタイムの短縮だが、これが球団の収益、選手の年俸、ひいてはファンの視聴機会の拡大につながっているのだから、安易にこの削減を求めるのもどうかと思う。

何も野球に限ったことではないが、スポーツ中継の放映権料はべらぼうに高い。これは、ドラマなどの他のエンターテイメント番組とは異なり、生中継で観たい層が多いからだ。再生試聴でないから、CMタイムが早送りされない、したがって巨額のスポンサー費用を放送局は獲得できるからだ。

しかし、いまや本来じっくり味わうべき(と、ぼくは思っている)映画ですら、早送り試聴が一般的になっている。今後、スポーツといえども、長い試合時間を嫌って、録画再生試聴が広まらないとも限らないと思う。10年、20年後のそのような事態回避のため、時短短縮の策を講じることは大いに意味があると思う。

ピッチクロック制の導入により、ここまで試合時間は20分以上短縮された、との報道もある。投手たちが、15秒なり、20秒の有効な使い方をモノにするとこのトレンドが続くかどうかはわからない。しかし、それなりの効力を発揮することは、昨季までのマイナーリーグでの実験で証明されている。

選手たちは大変だろうが、毎幕までにしっかりアジャストして欲しい。

文:豊浦彰太郎

代替画像

豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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