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横浜DeNAベイスターズ
10月20日にドラフト会議が行われ、ベイスターズは支配下選手と育成選手それぞれ5名ずつ、計10選手の交渉権を獲得しました。
今年は超目玉と言える選手が不在で、ドラフト前には9球団が1位指名を公表するなど、やや盛り上がりに欠けた印象もありましたが、こんな年こそ有望選手が隠れている、という見方もあります。コロナ禍の影響も大きく受けた世代でもある今回のドラフト。ベイスターズはどんな選手を指名したのでしょうか。
1位指名を事前に公表しない、今回のドラフトでは『少数派』となったベイスターズですが、圧倒的強さで春のセンバツを制した大阪桐蔭高校の松尾汐恩を単独指名という形で落ち着きました。
4度出場した甲子園で計5本塁打を放つなど、強打の高校生ナンバーワン捕手として高評価の松尾ですが、京田辺ボーイズ時代は遊撃手兼投手として評判の選手で、ボーイズ日本代表として出場した世界大会では3番・三塁としてチームの世界一に貢献しました。高校進学後、チーム事情もあり1年秋に捕手に転向すると、遠投115mの強肩に正確性を兼備したスローイングでチームの中心選手となりました。
今秋に行われたU-18ワールドカップで打率.321、6打点の好成績を残した打撃に、50m走6秒1の俊足も兼備。守備での俊敏なフットワークから、プロでは内野手との声もありましたが、三浦大輔監督は昨年1位入団の小園健太とのバッテリー実現を「楽しみにしている」と公言し、松尾本人も「目指したいのは打って守れて走れるキャッチャー」と目標を掲げており、まずは捕手として勝負するようです。
4位では2021年夏の甲子園で京都国際高校を同校初となるベスト4に導いた最速145キロ左腕の森下瑠大を指名。3年時はコロナでチームが大会直前に春のセンバツを出場辞退、故障明けで本来の投球には程遠かった夏は初戦敗退と不運続きでしたが、2年生エースとして角度のあるストレートとスライダーを中心とした切れ味鋭い変化球で甲子園を沸かせた姿は、将来の先発候補として期待が持てそうです。
今ドラフトの補強ポイントだった即戦力右腕もきっちり指名しています。2位のトヨタ自動車・吉野光樹は、最速150キロのストレートに多彩な変化球、特に鋭く落ちるフォークが武器の先発タイプの右腕で、九州学院高校時代には当時捕手だった村上宗隆(現ヤクルト)とバッテリーを組んでおり、プロでの対戦が楽しみです。
5位の橋本達弥は、最速152キロの速球と打者の手元で落ちるフォークで慶應義塾大学の守護神として活躍。昨年は東京六大学リーグの春秋連覇と大学選手権優勝を達成し、今夏には侍ジャパン大学代表に選出されています。近い将来、MLB移籍の可能性もある山崎康晃の後継者として新時代の『ハマの守護神』として期待したいところです。
3位の駒沢大学・林琢真は5位の橋本と同様に、今夏の侍ジャパン大学代表に選ばれた内野手。強肩を生かした守備と俊足には定評があり、代表では正二塁手としてチーム最高打率と最多盗塁を記録しました。国際試合の大舞台でサヨナラ打を放つなど、勝負強さも魅力です。
育成枠では投手3人と捕手、内野手を指名しました。1位の上甲凌太は、愛媛の宇和島東高校から社会人野球の伯和ビクトリーズに入団し、都市対抗野球では2打席連続本塁打を記録。今季からは独立リーグの愛媛でプレーし、中心選手として活躍しました。社会人時代には難病のバセドー病を患い、数ヶ月間野球を離れたこともある苦労人です。
2位の滋賀学園高校・鈴木蓮は高校通算29本塁打のスラッガーで、一塁手、三塁手、遊撃手をこなすユーティリティー性も備えています。
4位の渡辺明貴は、通信制の第一学院高校時代に史上初の高校生独立リーガーとして話題になった選手。クラブチームの山梨球友クラブから独立リーグの滋賀、新潟、さらには韓国の独立リーグなど6球団を経て、悲願のNPB入りを果たした最速152キロを誇る大型右腕です。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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