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レッドカーペットショー会場の様子
しかし、彼は辞退した。年齢や手術明け後の復帰初年度であること、球宴の3日前に106球を投げていることを考慮すると、無理をしないという考えは十分あるだろう。ならば、この間しっかり休養に充てて欲しい。
バーランダーは試合当日午前中のレッドカーペットショーに、スーパーモデルの夫人とお子さんを連れ、ばっちりドレスアップし登場した。その際の夫人の勝ち誇ったような決めポーズは大きな話題になった。少々ダサい言い方をすれば、正に千両役者だった。
しかし、それを約10メールの距離で見ていたぼくは複雑な心境だった。「マウンド上やのうて、レッドカーペット上で輝いてどうすんねん?」。何もバーランダーだけではない。選出されながら出場を辞退した、ゲリット・コールも、マイク・トラウトもみんな相当力を入れてこのショーに参加していた。主催者からも、「試合出場は辞退しても、顔見せは参加してください」と依頼されているのかもしれない。このレッドカーペット・ショーも、しっかり入場料を取って開催しているからだ。
しかし、本来前座のホームランダービーやレッドカーペットショーばかり話題になり、肝心のオールスターゲームそのものが顔見せ興行化しているのは、主客転倒と言わざるを得ない。
ぼくは「ゲーム」をもっともっと盛り上げていくには、少しでも真剣勝負に近づけていくことが必要だと考えている。
そうなると、選手数を絞ることが重要だと思う。「1全球団から最低1名」のルールは捨て去る英断も必要だ。これにより、選出自体のステイタスを高め、試合中選手がホイホイ変わって行くいかにもエキシビション的な起用も抑制することができる。
また、放映する側もこれから打席に入る選手にマイクを向けるという真剣勝負ではあり得ない演出も慎むべきだと思う。
そして、その場には、出場の意思がない選手は居合わせて欲しくない。出場辞退は権利として認められているので致し方ないが、開催地に馳せ参じるのは、戦う意志を持つ者だけにして欲しい。
文:豊浦彰太郎
豊浦 彰太郎
1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]
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