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今回も、そんなファン不在の対立が続き、来季開幕に影響が及ぶのか?そんな声は少なくない。
もちろん楽観はできないのだけれど、ぼくはそこまで深刻な事態には陥らないだろうと見ている。
それは、前回のストライキの教訓が今も生きているはずだからだ。結局、試合をしないことには選手はサラリーを得られないし、経営者にもチケット収入も球場内での飲食やグッズの売り上げも、テレビの放送権料も入ってこない。やっぱり、試合をしてナンボである、と痛いほど感じさせられたのだ。1試合流れるごとに実入りは減る。なんとしても、開幕遅延は回避したい、そんな力学が働くはずだ。
昨年は、ファンがいくら「はよやれ」と叫んでも、中々開幕しなかったではないか、という指摘もあるだろう。それは、昨季は基本的に無観客開催だったからだ(最終的には、ポストシーズンの一部のみ有観客で行われた)。
無観客では、放映権料しか入って来ない。経営者はやればやるほど赤字になる。むしろ、シーズン全体を流し、選手へのサラリー支払いを回避した方が得である、という考えすらあった。
しかし、今回はそうではない。オミクロン株への脅威は払拭されてはいないが、2021年も夏場以降は基本的に制限なしで観客を入れた。来季も、開幕から本来の開催形態で、球場内での観客からの売り上げ、テレビ放映権料がフルパッケージで期待できるのだ。
また、70〜80年代、選手たちには闘う大義名分があった。それがFA権であり、年俸調停制度であり、充実した年金だった。それ以前は、生涯自由意志では球団を選択でない契約に縛られ、結果的に年俸も抑えられていた彼らには、それらは自分たちのために、後の世代のために、犠牲を払ってでも獲得し守り抜くべきものだった。
しかし、今は違う。選手はとんでもない大金持ちになったし、経営者たちも当時とは比較にならぬほど拡大したビジネス規模で潤いまくっている。今回の労使協定更新で争点になっている事案は、もちろん双方にとても大切なことなのだけれど、労使とも試合を流し、自らの利益やサラリーを放棄してまでも勝ち取らねばならないほどのものとも思えない。労使ともこれ以上お金持ちになろうとするのは、身長208cmで「ビッグユニット(巨大物体)」と呼ばれたランディ・ジョンソン(サイ・ヤング5度受賞で2015年殿堂入り)が、もっと大きくなろうとするようなものだ。
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