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野球 コラム 2021年12月4日

2回戦の残り3試合、ベスト8が出揃う8日目。ドラフト指名選手の活躍にも注目。都市対抗野球大会・12月5日(日)のみどころ

野球好きコラム by 大島 和人
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12月5日(日)は2回戦残りの3試合

11月28日(日)に開幕した第92回都市対抗野球大会。12月5日(日)は2回戦の3試合が行われる。

◆10:00 東京ガス(東京都)vs.三菱重工West(神戸市・高砂市)

東京ガスは東京第1代表で、優勝候補の一角だ。1回戦はミキハウスとの接戦をものにした。山口太輔監督が初戦の先発に抜擢したのは北九州市立大学出身の右腕・益田武尚。最速152キロの速球で5回2失点と試合を作り、勝ち投手になった。益田は「2022年秋」のドラフト候補だろう。

エース臼井浩はリリーフとして8回途中から登板。一死満塁のピンチで相手打者を併殺に打ち取るなど、勝負どころで流石の投球を見せた。2回戦、準々決勝と勝ち上がるほど東京ガスのような投手の層が厚いチームは有利。左腕・高橋佑樹は1回戦こそ未登板だが、東京都の第1代表決定戦に先発した入社2年目の実力左腕。慶應義塾大時代は東京六大学リーグで通算16勝4敗を記録している。

打線は小野田俊介、地引雄貴、加藤雅樹の“早稲田大学OBクリーンアップ”を中心に強力。また1回戦は6番・レフトの笹川晃平が2安打&2四球で全打席出塁を果たした。

三菱重工Westは左腕・森翔平、右腕・八木彬の2投手がドラフトで指名を受けている。1回戦は2人が好投し、三菱自動車倉敷オーシャンズを2-1と下した。森が中3日で先発する可能性もあるだろう。

ただ、日本製鉄広畑から補強された右サイドの本格派・川瀬航作は大学時代から全国大会の経験が豊富。守安玲緒、広島から加わった鮫島優樹らかつてのエース級もおり、投手陣の層は東京ガスに負けず厚い。

野手も人材は豊富だ。1番センターで起用される根来祥汰は俊足巧打で、1回戦は3打数2安打を記録している。補強選手の福永裕基は3番セカンドで起用され、決勝2点タイムリーを放った。正捕手として起用されている拾尾昌哉は高卒2年目の19歳。元巨人の小田幸平コーチからの指導を受け、レベルが高い投手陣をしっかりリードしている。

◆14:00 JFE東日本(千葉市)vs.大阪ガス(大阪市)

JFE東日本は2019年の第90回大会を制している強豪。1回戦は延長タイブレークにもつれ込む接戦だったが、日本製鉄東海REXを7-4と退けている。1回戦は白鴎大学から入社した新人左腕・山田啓太が7回無失点の快投。勝ち投手になった右サイドハンド林桂太も最速149キロの速球で、9回のピンチを封じるなど印象的な内容を見せた。

2019年の第90回大会で橋戸賞(最優秀選手賞)を受賞した右腕・須田幸太が打ち込まれたことは不安要素。1回戦は同大会で優秀選手を受賞した右腕・本田健一郎もベンチ入りから外れていた。

ただ、難しい試合を乗り切ったことは前向きに受け止めていいだろう。打線は2年前に新人だった4番・平山快、5番・峯本匠がタイブレークの勝負どころで連打を放ち試合を決めた。勝負どころの試合運びは、経験値の現れだ。

大阪ガスは日本選手権を連覇中で、都市対抗も2018年の第89回大会も制している。近畿第1代表として、今大会も優勝候補の筆頭だ。1回戦は高卒2年目の右腕・河野佳が伏木海陸運送を完封し、4-0で勝利している。中2日となる2回戦は他の先発投手を立てるだろう。

近畿予選の第1代表決定戦で好投した先発の2番手格が秋山遼太郎。福岡大学から入社して3年目の左スリークォーターで、速球とスライダーの“キレ”で勝負するタイプだ。球速こそ平凡だが、近畿2次予選は防御率0.60で投げきった。日本生命から補強された好左腕・高橋拓巳や、2019年の日本選手権でMVPを受賞した右腕・阪本大樹など、実力者は他にもいる。

打線も人材豊富だが、注目は4番ライトを任される広島東洋カープ6位指名の末包昇大。187センチ・110キロの巨体から繰り出される打球は強烈で、1回戦はセンターバックスクリーンにライナーで飛び込む本塁打を放った。

◆18:00 NTT東日本(東京都)vs. TDK(にかほ市)

NTT東日本は1回戦でトヨタ自動車を4-1で下している。変則派の右スリークォーター右腕・上出拓真が先発し、5回を1失点と好投。東京2次予選と同じように早めの継投でリリーフ3名をつぎ込み、後続を断った。

1回戦で印象的な投球を見せたのが2番手で登板した小孫竜二。鷺宮製作所から補強された24歳の右腕だ。創価大学の同級生は望月大希、杉山晃基と2投手がプロ入りしたものの、1年次から評価されていた小孫はプロからの指名がなかった。

しかし、社会人で成長を遂げ、150キロを越す速球をコンスタントに見せる。1回戦の登板はなかったものの堀誠、熊谷拓也、大竹飛鳥はいずれも右の好投手で、大舞台経験を持つ実力者。連戦でも大きな問題はないだろう。

打線は東京2次予選であまり当たりが出ていなかったものの、1回戦はトヨタ自動車の強力投手陣から10安打を放ち、5番・喜納淳弥の本塁打も出た。北海道日本ハムファイターズ9位指名のショート上川畑大悟は9番で起用されている。守備、走塁だけでなく打率を残せる巧打者だ。

TDKは3点差をひっくり返す展開で、西部ガスとの1回戦をものにしている。オリックス7位指名の右腕・小木田敦也は先発したものの5回4失点と苦しんだ。しかし、リリーフ陣が4イニングを封じ5-4と接戦を制している。

1回戦で3イニングを無失点に抑えた右サイドハンド鈴木大貴は昨年の大会で最速153キロを記録している本格派。ただ好左腕・佐藤開陸が1回戦はベンチに入っていなかった。1回戦が最後の登場となったため2回戦は中1日と感覚が短く、そこは不安材料だ。

打線は3番・指名打者で起用された青木龍成が1回戦で猛打賞の大活躍。また大卒新人の捕手・奥村幸太は1試合に盗塁を4つ刺し、勝利の立役者になっている。

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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