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野球 コラム 2021年11月26日

優勝候補の大阪ガス、16年ぶりのミキハウス、ドラフト指名2投手を擁する三菱重工West、55回出場のパナソニック、ソフトバンク4位指名がいるNTT西日本。都市対抗野球大会チーム紹介(近畿代表)

野球好きコラム by 大島 和人
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今大会最多55回出場のパナソニックは第4代表

第92回都市対抗野球大会が、11月28日に開幕する。今回は近畿代表の5チームを取り上げる。

近畿2次予選は通算61度の出場を誇る日本生命、7回連続出場中で前回大会はベスト4入りした日本新薬が敗れる波乱の展開だった。一方でそのような強豪の所属選手が、補強で他チームに加わっている。

◆大阪ガス(大阪市/4年連続27回目)近畿第1代表

第1代表トーナメントの4試合をすんなり勝ち上がって東京ドーム行きを決めている。夏の日本選手権を制しており、優勝候補の筆頭格だろう。

先発は河野佳、秋山遼太郎の2枚看板だ。河野は広陵高校から入社して2年目の本格派右腕。140キロ台後半の速球とカットボールが武器で、制球力も兼ね備えている。夏の日本選手権は最高殊勲選手賞に輝いた。

秋山は技巧派左腕で、身長も168センチと小柄。少し変則的なスリークォーターのフォームと「切れ」「技」が特徴だ。2次予選は15イニングに登板し、防御率0.60と好投している。大阪ガスは他にも阪本大樹、緒方悠、温水賀一といった実績豊富な右腕が揃う。補強選手では日本生命の好左腕・高橋拓巳も加わっている。

野手陣も人材が豊富で、4番ライトの末包昇大は広島東洋カープの6位指名を受けたスラッガー。予選の4試合はチーム最多の5打点を上げている。加えて日本生命から捕手・古川昌平、外野手・上西主起と社会人球界の“レジェンド級”も補強されている。3年前の都市対抗優勝時も大阪ガスに補強で呼ばれていた2人だ。

新人も台頭している。吉澤一翔は大阪桐蔭高校、早稲田大学と名門育ちの内野手。今大会は8番ファーストで起用され、打率.417と結果を出した。九州産業大学出身の児玉亮涼も大学ジャパン経験のあるショートストップで、165センチの小兵だが守備で魅せられる。

3年前の優勝時は新人・小深田大翔(東北楽天ゴールデンイーグルス)、2年目・近本光司(阪神タイガース)が大活躍を見せた。今回もそのような新星のブレイクが見られるかもしれない。

◆ミキハウス(八尾市/16年ぶり2回目)近畿第2代表

1995年に創部され、2005年に都市対抗初出場を果たしたものの直後に廃部。空白期間を経てクラブチームとして実績を積み、一昨年に企業チームとして復活を果たした。新体制になってからは初の都市対抗出場で、関西予選の台風の目となった。

栗山拓巳はクラブチーム時代からチームを長く支えるエースで、過去にも補強選手で東京ドームのマウンドを経験している。速球は130キロ台だが、小さく鋭く“動く”球筋で低め、左右のコースを突く32歳の技巧派右腕だ。

加えて今年から高橋康平が加わった。高橋は永和商事ウイングのエースだった32歳の右腕で、変則フォームの技巧派。彼も球速は130キロ台だがカットボール、フォークと言った“細かい変化”を駆使して打者を打ち取る。練習に取り組む姿勢など、その実力以上の影響をチームに与えている。

近畿2次予選の5試合はこの2人で乗り切っているが、補強には3年前の都市対抗で優秀選手に選ばれた右サイドハンドの藤井貴之(日本生命)が加わっている。第2代表の強みを生かして、藤井の他にも日本新薬の左腕・齋藤弘志、日本生命の大型内野手・原田拓実といった有力選手が顔を揃える。

攻撃はバントを多用し、1点をもぎ取るスタイル。そんな中で田中秀政は2次予選の5試合で打率.400、4打点を記録しているロングヒッターだ。立花允夫は1番ショートを任される30歳のベテラン。三拍子の揃ったキーマンで、過去には補強で都市対抗に4度出場している。予選では田中とともにチーム最多の4打点を挙げた。

◆三菱重工West(神戸市・高砂市/2年ぶり37回目)近畿第3代表

チーム再編で再出発の三菱重工West

三菱重工系列の4チームがWest、Eastの2チームに再編され、今シーズンから再出発を果たしている。三菱重工神戸・高砂時代は「いつ見ても守安玲緒がマウンドにいる」という印象だった。しかし、今年は若手投手が台頭し、2人がドラフトの指名を受けている。

森翔平(広島2位指名)、八木彬(千葉ロッテマリーンズ5位指名)はいずれも大卒2年目。森は左腕、八木は右腕で、いずれも150キロ台の速球を持つ本格派だ。特に森は2次予選の6試合中4試合に登板し、3試合に先発。第3代表決定戦ではパナソニックから完封勝利を挙げるなど、計20イニングを自責点0と好投している。

三菱重工名古屋の大内公貴、三菱重工広島の鮫島優樹もWestに移っており、加えて日本製鉄広畑の本格派右スリークォーター・川瀬航作が補強された。

打線は西岡武蔵、那賀裕司と強力な右打者を擁し、いずれも予選の打率は4割以上だった。主に3番・指名打者で起用された湯口郁実は4犠打、2盗塁と小技や足が武器。1番・センターで起用された根来祥汰は巧打の左打者で、予選は打率.458を記録している。日本新薬の主砲・福永裕基、日本生命の外野手で皆川仁と野手の補強も強力だ。

◆パナソニック(門真市/6年連続55回目)近畿第4代表

55回目出場のパナソニック

近畿2次予選は6試合を7失点の堅守で乗り切った。予選の4勝中、3試合が「2-1」のスコアで、ロースコアの接戦が多かった。

ダブルエースの一角が右スリークォーターの與座健人だ。140キロ台後半の速球を持ちつつ、シュート、スライダー、カーブと変化球も多彩。左打者の膝下をスライダーで突くような組み立ても難なくこなす。加えて予選の24イニングで防御率0.75、3四死球と安定感は抜群だ。

もう1人の主戦格が左腕の技巧派・榎本亮。19回1/3を投げ、四死球を1つも与えていない。予選は両先発が安定していたため登板機会が少なかったものの、リリーフには鈴木佳佑、藤井聖太、北出浩喜と本格派右腕も揃う。

打線は予選で得点力不足に苦しんだものの田中宗一郎、藤井健と上位が強力。主将の法兼駿も予選は打率.211とやや低迷したが、大舞台の実績が豊富な左の巧打者だ。補強の3枠は西川雄大(日本製鉄広畑)、伊藤ヴィットル(日本生命)、廣本拓也(日本生命)とすべて野手に充てられている。

◆NTT西日本(大阪市/7年連続32回目)近畿第5代表

最後の切符を掴んだNTT西日本

予選6試合の通算成績は3勝3敗。第4代表決定戦はサヨナラで敗れた。翌日に迎えた“負けたら終わり”の第5代表決定戦で日本製鉄広畑を下し、最後の1枠を掴み取っている。

10年目の右腕・濱崎浩大が第6代表決定戦など重要な試合で先発し、4試合26回2/3を防御率0.68で乗り切った。鋭いチェンジアップ、カットボールを持ち、奪三振率も高い。大江克哉は入社3年目で、150キロ台の速球を持つ本格派右腕。本大会は補強で日本新薬の右腕・西川大地、日本生命の左腕・喜多川省吾も加わる。

打線は2次予選で精彩を欠いた。藤井健平は昨年大会で若獅子賞(新人賞)に輝き、強肩を生かした守備も光る外野手。プロ入りを有力視されて臨んだ社会人2シーズン目だったが、2次予選は打率.125と苦しんだ。

ショートの野村勇も福岡ソフトバンクホークスの4位指名は得たものの、打率.182と数字は平凡だった。“打線は水物”ともいうが、彼らの復調に期待したい。

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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