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野球 コラム 2020年9月29日

歴史に残る?マーリンズ、カージナルス、ブルワーズのポストシーズン進出

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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全てが例外的な2020年レギュラーシーズンが終わった。これから、史上最多の全16球団によるポストシーズンに突入するが、ここでは、マーリンズとカージナルス、そしてブルワーズが勝ち残ったことを今季の象徴として特筆しておきたい。

マーリンズ 前年105敗からの奇跡

昨季は57勝105敗という堂々たる?負けっぷりで、2年連続の地区最下位。しかもチームは解体・再建中とあって、当初は今季も下位低迷間違いなし、と見られていた。

加えて、コロナ禍で7月下旬まで延びた開幕直後には、あろうことか集団感染が発生。しかも、MLBが今季のために作成した感染およびその拡大対策を無視した夜遊びがその原因である可能性大とあっては、開いた口がふさがらなかった。結局、陽性反応の選手は合計18選手に及んだ。もともとマイナー級?の戦力がこれでは早くも白旗状態だった。しかも、8日間も隔離期間があり、再開後の日程はその分ハードなものになる。しかし、そこからいきなり5連勝。最終的には、各リーグ8球団が進出するポストシーズンのNo.6スポットを獲得したのだから驚きだ。ちなみに前年105敗は、長いMLB史上でもポストシーズン進出球団として最多だ。また、ポストシーズン枠を確定した9月25日は、4年前にボート事故で急逝した当時24歳の若きエース、ホゼ・フェルナンデスの命日でもあった。

今季のマーリンズ躍進の要因として、若手の成長は見逃せない。ルーキーのシクスト・サンチェスがエース級の活躍で、ローテ定着2年目のサンディ・アルカンタラと先発の2本柱を形成した。

しかし、運に恵まれたことは無視できない。得失点差は−41。これはナ・リーグ15球団中13位だ。それでも31勝29敗と勝ち越せたのは、彼らが試合巧者であったのではなく、単にラッキーだった、と考えるのが近年のセイバーメトリクスでは一般的だ。運を引き寄せるには、60試合の短期決戦であったことも有利に作用したはずで、やはりwith コロナの特殊なシーズンなればこそだった。

カージナルス 超強行日程にもかかわらず

昨季ナ・リーグ中地区を制したカージナルスが、No.5でポストシーズン出場枠を掴んだことは一見順当だ。しかし、この球団はマーリンズ以上に集団感染の影響を受け、7月31日から8月14日まで15日間も試合が開催できず、再開後は44日間で53試合という、もはや虐待とも言える強行スケジュールを強いられたことを考慮すると、これは称賛に値する。実際、再開直後の関心は、彼らの成績よりも、そもそもそんな日程を大量の故障者発生や再度の集団感染なしに消化できるのか?というものだったからだ。しかし、彼らは都合11度のダブルヘッダーをこなしたのだ。

ちなみにこの球団の消化試合数は58試合。シーズン最終日の展開によっては、翌日に今季12度目のダブルヘッダーをタイガースと戦う可能性もあった。

ブルワーズ 一度も勝ち越しなし、しかも地区4位

ブルワーズが最終のNo.8でポストシーズン進出を果たしたのも、2020年ならではの出来事だ。なにせ、29勝31敗で勝率5割未満なのだ。これは、出場枠数が各リーグとも全体の半分を超える8球団まで拡大された今季ならではだ。

しかし、負け越し球団がポストシーズンに進出する可能性は、このフォーマットが採用されることが決まった時点からある程度織り込み済みだった。現に、ア・リーグでもアストロズが同じく29勝31敗だ。この両球団の勝率.483は、82勝80敗で.506だった2005年のパドレスを下回り、ポストシーズン進出球団の史上最低勝率を更新した(1981年のロイヤルズは50勝53敗で.485だったが、この年はシーズン中のストライキで前期、後期に分断されそれぞれの勝率1位が地区シリーズを戦った。ロイヤルズは30勝23敗だった後期の王者としてポストシーズンに進出しているので、シーズン勝率で評価すべきではないだろう)。

しかし、ブルワーズの例がアストロズ以上に希有なのは、シーズン中一度も勝ち越すことがなかった、ということだ。勝率5割で迎えた試合は合計8度あったが、その全てを落としている。前述の1981年ロイヤルズも、前後期通算では一度も勝ちが先行していないが、後期のみの成績でポストシーズン進出となったわけで、前期の成績と合算するのは適切ではない。

また、今季のブルワーズは地区4位でのポストシーズン進出であることも見逃せない。今季は全3地区の2位までと、残り9球団中勝率上位2球団がポストシーズン枠を獲得することになっており、その2球団(レッズとブルワーズ)ともナ・リーグ中地区であったためだ。

文:豊浦彰太郎

代替画像

豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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