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一言で言えば山井大介の意地だろう。昨シーズン13試合に登板も3勝5敗。辛酸をなめた1年だった。
シーズン後、現役続行。山井自身に迷いはなかった。過ごしたオフは“攻め”の姿勢だった。掲げたテーマは「フルモデルチェンジ」自らの投球フォーム改造に着手した。
数年前、山井はこう話した。「色々なフォームがあるけど、柔らかい、しなやかなフォームが好きですね」。山井自身もそうだった。しかし、その根本のメカニズムにメスを入れた。
フォームを変えないといけない。山井はなぜそう感じたのか。「理由は1つ。マウンドの固さですよ。去年投げていても、どこの球場も昔に比べてマウンドが固い。今のフォームだと限界があるかなと」。
シーズン中から感じていた違和感。終了後すぐに鳥取ワールドウィングに移動し、改造に取り掛かった。どう変えていくのか。山井はこう説明した。
「簡単に言えば、浅尾拓也ですよ。車を運転していて、急ブレーキを踏んだらどうなります?上半身が前に飛び出すでしょ。踏み出した足が急ブレーキです。下半身をブレーキのように使い、上半身を走らせる。その勢いを使うフォームにするんです」。
山井の身体に残る反応が改造を物語っている。「これまで、なかった部分に張りが出ています。特に身体の裏側、太もも裏、臀部、背中。体の背面が強くないとブレーキがかからない。キャンプ中は背面をケアしながらやっています」。
フルモデルチェンジを試みている山井自身、まずまずの感覚を感じている。「感覚的には、3年前くらいに変えていてもよかったかな。そう感じるくらいいい手応えです」。
「実際、投げたボールのラインの出かた。球の質。何より打者の手元付近でボールの強さを感じます」と話す。
感覚は良し。しかし、実績十分のベテランとは言え、突き上げてくる若いドラゴンズ先発投手陣を上回らなければ椅子は回ってこない。結果を出さなければフルモデルチェンジも水泡に帰す。
「黙って自分のペースでやっていても、投げさせてもらえるような立場じゃないですから。この先、もちろん結果は求めていきます」。
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