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吉田正尚のフルスイングは多くのファンを魅了する。3月10日に行われた侍ジャパンのメキシコとの強化試合で、象徴するようなホームランが飛び出した。
初回だった。昨季、チーム最多の26本塁打を放ったオリックスの主砲は、侍ジャパンの4番に抜擢され、期待の起用に応える先制の満塁ホームランを放ってみせたのだ。
前夜、悔しい逆転負けを喫しただけに、いきなりの爽快な一発。当然、スタジアムの興奮のボルテージは一気に最高潮に達した。
ふと思い出されたのは、とある試合前のフリー打撃。吉田が次々と豪快なスイングでボールをスタンドに叩き込んだため、ファンがどよめき、歓声まで起きた。
試合前練習で場内があれほど盛り上がるのは、なかなか見られない光景だったので、とても印象的だった。
さらに、この日の吉田は7回一死1・3塁の場面でも、見惚れるような美しいフルスイングで、きっちりと犠牲フライ。5打点目をあげてみせた。この日のSNSは、「吉田祭りだ!」「吉田、すごすぎ!」と続々とファンが色めいた。
なお、第1戦でも5番に座った吉田は、初回に二死1・3塁からセンターへのタイムリーヒットで先制点を叩き出している。
昨季も、満塁ホームランやサヨナラホームランで、勝負強さを印象づけた主砲が、侍ジャパンのユニフォームを着ても、同じように勝負強さを披露したのだ。稲葉監督も手放しで褒め称えた。
「やはり勝負強い。初見の投手でも、しっかり自分のタイミングで合わせていける。一発勝負という場面で、彼の勝負強さは魅力的ですね」。
“テスト”の意味合いが強いこの代表の強化試合で、吉田は候補者として堂々たる名乗りをあげた。
◆「彼はアメリカでプレーしていないのかい?」メキシコ監督も脱帽
吉田の衝撃的なまでの活躍ぶりに、メキシコ代表を率いたダン・フィロバ監督も惜しみない賛辞を贈っている。
試合後の会見で、吉田についての印象を記者に尋ねられると、「すごくいい。コンタクト、スイング、技術もある。彼はアメリカでプレーしてるんじゃないの?」とまさかの逆質問。
首を振った記者に、監督はさらに「アメリカのチームが吉田を取りたいと言っているんじゃないでしょうか?」と、さらに追求した。
質問した記者もタジタジになって、「わからない」と応えるも、嬉々として「実にいい選手ですよ」としみじみと監督は賛辞を繰り返したのだった。
4番の重圧がないわけがない。しかしながら、稲葉監督が期待したのは、「ジャパンの代表という重圧のなかでも、自分のプレーができる選手。それができる若い選手ばかりを選んだつもりです」と明かしていたが、それを見事に体現してみせた。
メキシコの初見の投手を相手に、どういった意識で対峙していたのか。9日の記者会見では、吉田がいかに冷静に自身のバッティングを微調整したかが伺える。
「(どうアプローチするかは)各打者で違うと思いますが、僕は(メキシコの投手の特徴である)動く球を意識して、ポイントを入れるというか、詰まっていてもなんとかと落とす、というところを意識しながら、センター方向にしっかり返していくのを心がけて対戦しました」。
この日の日本の戦いぶりについて、フィロバ監督はこうも語っている。
「1回に5点を取られ、素晴らしいグランドスラムを打たれた。それで試合の主導権を奪われた。(メキシコは)有能な選手がたくさんヒットも打ってくれたが、日本の選手は守備もよく、点を返せなかった」。
そして、「日本はとてもいいチームだと思います。タレント揃いでアグレッシブ。総じて走塁がいい」。
吉田の爆発だけではない。ショートに就いた吉川尚輝(巨人)は、逆シングルで補球してのジャンピングスローというスーパープレーを見せ、大砲の6番大山悠輔(阪神)は四球で出塁し盗塁に成功するなど、うまさと若さがあふれた場面が要所で光った。
また、投手陣は7人全員がゼロ行進の好投。特に、7・8・9回は、精緻なコントロールで知られる森原康平(東北楽天)、パ・リーグのセーブ王の森唯斗(福岡ソフトバンク)、セ・リーグのセーブ王の山崎康晃(横浜DeNA)が圧巻の三者凡退劇を見せている。
結局、試合は6-0で侍ジャパンの勝利。前日の敗戦を払拭する、爽快でみどころの多い勝ちゲームとなった。
松山 ようこ
翻訳者/ライター/インタビュアー。主にスポーツやエンタメ分野にて実績多数。野球はプロ野球からMLB、他にもマイナースポーツからオリンピック大会まで、国内外の競技場や大会での現地取材を数多く経験するスポーツ好き。アスリートはじめ、一般人から著名人まで幅広くインタビューし、日本語と英語ともに記事やコラムにする。訳書『ピッチングニンジャの投手論』『ベイダータイム』。 ※『ピッチングニンジャの投手論 PitchingNinja's analysis of Japanese MLB Aces』 ※『VADER TIME ベイダータイム: 皇帝戦士の真実 』
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