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野球 コラム 2019年1月24日

ハラディの殿堂入りを祝福したい、しかし同情票の影響は否定できない

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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現地時間22日、2019年の全米野球記者協会(BBWAA)選出の野球殿堂入り投票結果が発表された。マリアーノ・リベラが史上初の満票での殿堂入りとなったのはご存知の通りだ。他にも、今回が資格最終年だったエドガー・マルティネス、リベラ同様に初年度のロイ・ハラディ、6年目のマイク・ムッシーナがクーパーズタウンへの切符を手にした。

基本的には全てが順当だったと言えなくもないが、ここではハラディの選出に関し私見を述べたい。彼は、一昨年11月に飛行機事故で死去している。彼が殿堂入りしたこと自体には異論はない。しかし、引退後5年を経た資格初年度に選出されるのは特別なことだ。そこまでの選手であったかどうかは大いに疑問が残る。誤解を恐れずに述べるなら、非業の死に対する同情票効果の印象は拭えない。

ハラディの通算勝利数は203だ。「殿堂入りのパスポートは投手なら300勝」と言われた一昔前なら、これで足切りだったろう。しかし、今は価値観が多様化している。彼の場合は、通算勝利のような積み上げた記録だけでなく、2度のサイ・ヤング受賞、8度の球宴選出、完全試合、ポストシーズンでのノーヒッターなどその球歴に特筆すべきハイライトが多い。また、新しい価値観からの観点では、WARは64.3とこの点でも殿堂入りの資格は十分にあると言って良いだろう。

しかし、初回選出となるほどのものだろうか。今回同じく選出されたマイク・ムッシーナ(270勝&WAR83.0)が6年目でようやく基準の75%を超えた(76.7%)という状況だからだ。それからすると、ハラディの初年度での85.4%とい得票率は「高すぎ」の印象は拭えない。

殿堂入りの歴史においては、死去が影響を与えたケースも見て取れる。1972年大晦日にニカラグア地震の被災者救援物資を積んでサンファン空港を飛び立った後にその飛行機が墜落しこの世を去ったロベルト・クレメンテは、特別措置で1973年に殿堂入りした。クレメンテのケースは例外と捉えるべきかもしれないが、2012年にベテランズ委員会(現時代委員会)経由で殿堂入りしたロン・サント(通算2254安打&342本塁打、主要タイトル獲得なし)の場合は、選出の1年前に死亡したことがトリガーとなったと言われている。

1月22日、ロイ・ハラディの遺族、友人、同僚、関係者、そしてわれわれファンは彼の栄誉に歓喜しそれを祝福するとともに、改めて彼がもういない哀しみにくれた。しかし、そのこととは別に純粋にハラディの遺した業績を評価するなら、「殿堂入りに値する、ただし初年度にここまで高い得票率を獲得するほどのものではない」とするべきだろう。

代替画像

豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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