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野球 コラム 2018年12月17日

やっぱり「絵に描いた餅」だったレイズ新球場プラン

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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実際それらの多くは、球団には収益増を地域社会には経済の復興と球場周辺の治安改善(荒廃していたダウンタウンの再開発の一環であったケースが多いため)をもたらした。

しかし、野球観戦は国民的娯楽とは言え、全く関心のない人々もいる。公費投入には異論もある。また、いかに魅力的でも全米に雨後の筍のごとく新球場が乱立すると、目新しさもなくなった。すると、オープン初年度はともかく、チームが低迷しているとすぐに動員も頭打ちになることも明らかになった。

また、新球場の経済効果にも疑問が呈されるようになった。仮に野球観戦に伴う消費は促進されても、商圏の人口と可処分所得が一定である限り、家計内のレジャー費の中での消費配分の移動でしかない、という見方が主流になってきたのだ。具体的に述べるなら、家族揃って野球観戦に行く回数が増えても、その分遊園地や映画鑑賞、外食に費やされる費用が減る、ということだ。結局、「球団が儲かるだけ」。そうなると、さすがに公費は投入し難い。

この先の見通しも明るくない

今回の案が頓挫したレイズはセントピーターズバーグに限定して新球場プランを模索するしかないのだが、見通しは決して明るくない。もともと同市を含むタンパベイ地区はNFLのバッカニアーズやNHLのライトニングスを抱えており、野球に関しては2~3月のスプリングトレーニング需要で潤っている(それこそこれには全米から旅行者が訪れ、お金を落として行く。「内需」だけではない)。自治体はもちろん、民間の投資家にしてもこれ以上スポーツ施設を建設する動機には欠けるように思えてならない。

この状況下でも、喜んで(は言い過ぎかもしれない。「なんとか」か)資金を投入し新球場を作れるマーケットがあるとすれれば、それはモントリオールやポートランドなどのMLB誘致にやっきになっている都市ではないか。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは32球団制に向けたエクスパンションに大きな意欲を表明しているが、それには「レイズとアスレチックスの新球場問題が解決することが前提」としている。しかし、これはA’sのケースにも言えることだが、問題解決にはエクスパンションに望みを賭ける都市への転出しかないかもしれない。

代替画像

豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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