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しかし、アスレチックスの新球場問題を10数年間フォローしてきた立場で言わせてもらうと、「夢はもう良い、実行してくれ」というのが正直な印象だ。
ここまで読まれて疑問に思われた方もいるかもしれない。「新球場は自費で建てるとあるが、メジャー有数の貧乏球団のアスレチックスにそんなカネがあるの?借金でかき集めてもそれを回収できるほど利益を出せるのか?」
アスレチックスに限らずほとんどのMLB球団は財務状況を公開していないのだが、想像するに最低でも5~6億ドルと思われる球場建設費の減価償却分を吸収し、毎年の損益計算書上で利益を出すのは同球団には無理だろう。しかし、新球場を持つことにより球団の時価総額は確実に増す。アメリカでは企業を買収しその価値を高め売却し利益を出す、というのがビジネスモデルとして定着している。これはMLB球団の経営とて例外ではない(日本と異なり、オーナーが変わっても球団名が変わらないので分かりにくいが)。
経済誌「フォーブス」が2018年4月に発表した球団価値総額は全球団平均では約16億ドルで前年より7%上昇している。アスレチックスは26位だが、それでも約10億ドルあり対前年+16%だ。これが新球場完成によりどれだけ上昇するかは分からないが、2017年に新球場サントラスト・パークをオープンさせたブレーブスの場合、新球場起工前の2014年は約7.3億ドルだったが、2017年には倍増以上の15億ドルとなっている。
何も現在のジョン・フィッシャー・オーナーが球団売却モードに入っているとまでは言うつもりはない。しかし、自費での球場建設にあたり、将来の球団売却益をアテにし、ロングスパンで旨味があるとしている部分があることは間違いないと思う。
豊浦 彰太郎
1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]
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