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11月1日に開幕した「第44回社会人野球日本選手権大会」は12日に京セラドーム大阪で決勝戦が行われ、三菱重工名古屋の初優勝で幕を閉じた。
決勝のスコアは2-1。三菱重工名古屋が延長13回表に勝ち越し、JFE西日本を振り切る激闘だった。
三菱重工名古屋は右サイドハンド西納敦史が今大会初先発。JFE西日本は1回戦、準々決勝で完封勝利を挙げている20歳の左腕・河野竜生が先発した。
試合の流れを掴んでいたのはJFE西日本で、1回裏一死から2番・岡将吾のソロ本塁打で1点を先制する。
先発の河野は和田毅(ソフトバンク)を彷彿とさせる「打ち難い」フォームから、140キロ前後の速球と90キロ台のカーブを繰り出してくる変則派。中1日ながら「質」を見せていた。
三菱重工名古屋は3回表二死1、2塁から、2番・秋利雄祐が中前タイムリー安打を放って同点に追いつく。秋利は今大会4安打ながら5打点と勝負強さを発揮した。
試合は1-1の同点で中盤を迎えたが、JFE西日本は4回から7回まで、毎回得点圏に走者を出すなど攻勢。しかし西納と6回途中から登板した服部拳児がピンチを凌ぐ。
JFE西日本は8回裏にも7番・三木大知が中前安打で出塁し、8番・浦翔太郎のバントで一死2塁のチャンス。三菱重工名古屋の佐伯功監督は、ここは前日の準決勝で完封勝利を挙げた勝野昌慶をマウンドに送る。
三菱重工名古屋は一死満塁に追い込まれるが、勝野は2番・岡を空振り三振に打ち取り、3番・古田塁が右中間に放った大飛球はセンター山田敬介が好捕。試合の均衡は崩れない。
JFE西日本の河野は中1日ながら被安打5、四死球2という好内容で9回を投げ切ったが、勝ち投手を逃して降板。
試合は1-1のまま延長戦に入り、JFE西日本は2番手に右腕・谷中文哉を起用する。さらに12回二死からは今大会で好リリーフを続けている左腕・中川一斗が登板した。
三菱重工名古屋も11回から4番手の右腕・萩原大起が登板し、試合は総力戦の様相を呈する。
試合の均衡が破れたのは13回表。三菱重工名古屋は5番・山田が二死1、3塁から三遊間に「ぎりぎり」の打球を放つ。ショートの二塁送球が間一髪セーフとなり、内野安打で三塁走者の生還が認められた。
山田は13回裏にも左中間の大飛球をダイビングキャッチするビッグプレー。萩原がラスト3イニングを締めて、三菱重工名古屋が逃げ切った。MVPには3試合で2勝を挙げ、計19回3分の1を投げて1失点と好投した勝野が選ばれた。
悲願の「ダイヤモンド旗」を獲得した三菱重工名古屋は、山田の好守や安田亮太キャプテンによる好リードなど「数字に出ない」プレーと粘り強さが光った。
勝野の他にも新日鐵住金鹿島の4強入りに貢献した大貫晋一(DeNA3位)や、近本光司(大阪ガス/阪神1位)など、今大会の出場選手は10名以上がドラフトの指名を受けている。
また、計27イニングを1失点で投げ切ったJFE西日本の河野、高卒2年目の150キロ右腕・立野和明(東海理化)など「2019年の候補」がブレイクする大会にもなった。
第44回日本選手権は決勝戦の激闘以外にも、みどころが多い12日間だった。
大島 和人
1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty)
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