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野球 コラム 2018年9月25日

20歳にして高い完成度、日米野球が楽しみなロナルド・アクーニャ

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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旧聞に属するが、10日に秋の日米野球に参加するメジャーリーガー8人が発表された。21世紀になってからの日米野球アメリカチームは、MLBオールスターというよりはMLB選抜だ。日本でも知名度の高い興行の目玉となるスター1~2名(今回では、ゴールドグラブ賞8度受賞の名捕手ヤディアー・モリーナか)を配置し、他はその年の成績は素晴らしいがまだ若い(言い換えればサラリーが高くない)選手を集めているケースが多い。もちろん、背景にはメジャーリーガーの年俸高騰やそれによる所属球団や代理人の故障への懸念がある。

しかし、この編成に悲観する必要はない。将来のメジャーを背負って立つ可能性のある若駒達のプレーを生で観るチャンスだ。そして今回イチオシなのが、現在まだ20歳のアトランタ・ブレーブスの新人ロナルド・アクーニャだ。彼は、「ベースボール・アメリカ(BA)」誌、「USAトゥデー」紙から2017年のマイナーリーグ最優秀選手に選出され、同年秋の有望若手選手によるアリゾナ秋季リーグではMVPに輝いた。そのため、今季は開幕前から注目の的で、「BA」誌が大谷翔平を抑えアクーニャを今季のプロスペクト第1位に選出していた。

そのアクーニャは、スプリング・トレーニングでも打率.432、OPS1.247と文句ない成績を残した。しかし、ブレーブスは4月25日まで彼を昇格させなかった。これはメジャーでは良くあることなのだが、初年度の登録日数を調整することにより、FA権取得年を遅らせるための措置だ。そして、昇格後は打ちまくった。9月22日現在、104試合の出場で、打率.290、26本塁打、58打点、14盗塁。出塁率も.365と高い。

そして、特筆すべきは成長の早さ、適応力の高さだ。マイナーでのOPSはルーキーリーグ在籍の2015年年は.818、ルーキーリーグと1Aの2016年は.821、1Aから3Aまで登り詰めた2017年は.896、そして今季はメジャーで.928と、階級を上げるごとに上昇しているのだ。それはメジャー昇格後も同様で、球宴前後ではそれぞれ.742と1.057で、球宴後の19本塁打は両リーグでも第3位だ。また、三振率は30.4%から21.7%へ低下し、四球率は逆に6.5%から12.0%に上昇しており、OPSや本塁打数のアップはフロックではなく、打席でのクオリティそのものが向上していることが分かる。メジャーでの場数が増えると、対戦相手から徹底的に研究され弱点と思われるところを突かれるものだが、アクーニャの日々の成長はそれを上回っているのだ。

また、これほどまでの若さでありながら「荒削り」という印象はない。セイバー系サイトの「ファングラフズ」は、彼がビハインドのカウントでも、際どいコースのボール球を自信を持って見送ることができ、ストライクゾーンに対してはアグレッシブであることを詳細なデータで解説している。この能力を単に、経験により養われるものと思われがちな「選球眼」と表現するなら、彼が20歳にしてトップクラスの水準のものを持ち合わせているのは、天賦の才という陳腐で具体性に欠ける表現に逃げるしかない。おそらく実態は、その優れた動体視力とスイングスピード、無理のないフォーム、そしてこれが重要なのだが、出塁率の高さが重視される傾向を理解し、自らのプレースタイルに反映させることの重要性を理解する聡明さを持ち合わせているからだろう。

ブレーブスはすでにナ・リーグ東地区での優勝を決めている。アクーニャの次の舞台はポストシーズンだ。甲子園で勝ち進む高校生ではないが、この経験が一層彼の急成長を促しそうだ。

今から、11月の日米野球が楽しみでならない。

(数値は全て現地9月22日現在)
代替画像

豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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