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奥原希望(左)水井ひらり(右)
有力選手不在で行われた特殊な大会は、何をもたらすのか。バドミントンの日本一決定戦、第75回全日本総合バドミントン選手権が、2021年12月30日に閉幕。女子シングルスで奥原希望(太陽ホールディングス、26歳)が3連覇したほかは、4種目で初優勝の王者が誕生した。日本代表の多くのメンバーが参加できなくなった事情が背景にある。11月下旬に新型コロナウイルスのオミクロン株が拡大傾向となり、日本政府が水際対策を強化して入国者の隔離期間を延長。この影響で、同月19日までスペインで行われた世界選手権に出場していた日本代表選手が、全日本総合に出場できなくなった。そのため、代表選手同士がしのぎを削る例年とは異なり、若手の台頭が注目される大会となった。
その中で貫録を示したのが、奥原だった。当初は世界選手権の出場を目指していたが、東京五輪後に代表合宿で右足首をねんざ。手術を経て回復途上のため、遠征を取り止めて、全日本総合を復帰戦の場に選んだ。決勝戦の相手は、日本B代表の水井ひらり(NTT東日本、21歳)。社会人3年目の元高校女王で期待の若手だが、奥原にまったく歯が立たなかった。「私がこの大会で最初に活躍できたのは、高校2年生。次にすぐ(山口)茜ちゃんや大堀(彩)選手が出てきた。最近は、ベテラン選手の顔ぶれは変わらず、新星が出ていないと皆さんが思っている」と次世代の突き上げを促した。今大会では、個人戦の引退を表明した佐藤冴香(ヨネックス)が4強入りするなどベテランが奮闘。準優勝の水井は、21年シーズンに初めて日本A代表入りした高橋明日香(ヨネックス、22歳)を破るなど存在感は示したが、奥原には完敗。「向かっていく気持ちで入ったが、緊張して力を出し切れず悔しい」と涙を流した。女子シングルスは、奥原と山口が、3大会連続出場を狙う立ち位置にいる。2024年パリ五輪の出場権争いに加わっていく新戦力の台頭が求められる種目だ。
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