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スキー コラム 2023年2月3日

1月開催の北米2戦をプレイバック。川村は連勝、堀島もMO上位を死守!

ブラボー!!モーグル by STEEP
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絶好調の川村はヴァルセントカムで連続V。DMでは総合優勝を狙えるポジションにいる!

地元大会で絶対王者が定位置をキープ。女子は川村が今季初優勝

■MO第4戦・ヴァルセントカム大会RESULT
〈女子〉
1位:川村あんり(JPN)
2位:ジャカラ・アンソニー(AUS)
3位:ジェイリン・カーフ(USA)

〈男子〉
1位:ミカエル・キングスベリー(CAN)
2位:ウォルター・ウォルバーグ(SWE)
3位:堀島行真(JPN)

モーグルW杯は1ヶ月強の中断期間を経て北米ラウンドがスタート。まずは、1月下旬にカナダのヴァルセントカムで行われた2戦を振り返ろう。
初日モーグル(以下MO)では、女子スーパーファイナルに川村あんり(JPN)と柳本理乃(JPN)の日本選手2名が進出。柳本は攻めの姿勢をみせたがミドルセクションでコブに弾かれ6位。ファイナル1を2位通過の川村は、ターン点でジャエリン・カーフ(USA)とトップタイ、ターン点で他を引き離し今季MO初優勝を決めた。
この日の川村は、昨年末より明らかに進化していた。とくにエアの入り方が断然スムーズになり、ジャンプの高さもアップ。ランディングも完璧だった。そしてターンは力強かった。ジャカラ・アンソニー(AUS)やカーフなどパワフルな選手上位に入るなかで、川村はそれを上回るパワーを感じるパフォーマンスをみせたのだ。ゴールエリアでは「ここまで頑張ってきたことの成果が出て嬉しいです」と笑顔で語っている。

男子MOは北京五輪のメダリスト3名が表彰台に上がった。ただし、表彰台のセンターに立ったのは、ホームの声援を味方につけたミカエル・キングスベリー(CAN)である。キングスベリーはスーパーファイナルのターン点で2位のウォルター・ウォルバーグ(SWE)を2点以上引き離し、トータルで85.37点という高得点をゲットしている。ただし、タイム点に限れば17.04点で、ウォルバーグ、堀島行真(JPN)、ベンジャミン・キャヴェ(FRA)、マット・グラハム(AUS)に続く5位だった。キングスベリーの滑りは十分に速く見えたが、実際は他の選手たちの方が勝っていたのだ。30歳になった絶対王者にとって、果たしてこれは不安材料となるのか?

絶頂期よりは安定性はダウンしたが、やはり強いキングスベリー。MO第4戦までに2勝して、2位が2回

なお、ファイナルに進出した他の日本勢は、女子の中尾春香が12位、伊原遥香が15位、男子は杉本幸祐が8位、松田颯が11位、島川拓哉が16位。島川は嬉しい初の予選突破となった。

ニューカマーも台頭。DMはサプライズ続出の面白さだ

■DM第3戦・ヴァルセントカム大会RESULT
〈女子〉
1位:川村あんり(JPN)
2位:ペリーヌ・ラフォン(FRA)
3位:マケイラ・ガーケン-スコフィールド(GBR)

〈男子〉
1位:ウォルター・ウォルバーグ(SWE)
2位:ミカエル・キングスベリー(CAN)
3位:フィリップ・グラベンフォース(SWE)

続くDMの第3戦では、女子は川村、男子は堀島がイエロービブを着用した。それは、日本がネイションズカップを得た強豪国であることを実感させられる場面だった。
女子はクォーターファイナルで柳本をくだした川村が、セミファイナルでカーフに勝利。もう一つの山からは、新鋭のマケイラ・ガーケン-スコフィールド(GBR)を倒したラフォンが勝ち上がった。
そしてファイナルでは、ラフォンがミドルセクションでバランスを崩したのに対し、川村は余裕を感じさせた滑りを見せる。ゴールしたのはわずかにラフォンが速かったが、ジャッジは川村を支持。こうして、連勝の川村は次のレースでもイエロービブを着用することになった。
なお、3位決定戦ではガーケン-スコフィールドが勝利し、自身初の表彰台となる3位に。イギリスの選手がモーグルW杯の表彰台に上がった例は過去にあっただろうか?

男子はランキングトップの堀島がクォーターファイナルで転倒してグラハムに敗れる。そのグラハムはセミファイナルでウォルバーグに屈した。かたやキングスベリーは、注目の新星、フィリップ・グラベンフォース(SWE)をねじ伏せてファイナルに進んでいる。
ファイナルはキングスベリーとウォルバーグが激突。ミドルセクションでサイドバイサイドの展開となり、両者がハイスピードながら正確なターンで競い合った。しかし、キングスベリーは途中でバランスを崩し、第2エア台に突っ込むように転倒。あまりにも意外だが、ウォルバーグがW杯初優勝を果たしたのだった。3位決定戦では、グラベンフォースが高速ターンでグラハムを圧倒した。

ベスト16に残った日本勢では、女子は冨高日向子が14位、中尾が15位、男子は松田が12位、杉本が13位となった。昨季はW杯MO総合4位だった杉本はいまひとつ調子を掴みかねている状況だ。今後の奮起に期待したい。

川村、堀島にもチャンスあり! MO総合優勝争いはどうなる?

従来は1月の北米ラウンドの段階で総合優勝争いの話をするのは早すぎた。しかし、MOとDMが完全にセパレートされ、DMの大会数が増えた今シーズンは状況が異なる。そこで、2月の大会を前に現状を確認していこう。

■女子MO総合TOP5(第4戦終了時点)
1位:ジャカラ・アンソニー(AUS)380pt
2位:ペリーヌ・ラフォン(FRA)270pt
3位:川村あんり(JPN)248pt
4位:ジェイリン・カーフ(USA)181pt
5位:エリザベス・レムリー(USA)170pt

まず、女子MOは第4戦終了時点でアンソニーが、2位のラフォンに100点差以上をつけてトップに君臨している。ラフォンは270点、3位の川村は248点と逆転の可能性を有しているが、現実的にはアンソニーが圧倒的に有利である。アンソニーが仮に次の第5戦で優勝すれば480点。そうなるとラフォンが上乗せできる得点は最大で180点(2位と優勝)なので、アンソニーには追いつかない。川村の場合、残る2戦で優勝すれば448点となるが、その状況でアンソニーが1戦でも2位になれば優勝には届かなくなってしまう。つまり、ラフォンと川村にとっては、2人が揃ってアンソニーの優勝、2位を阻むことが課題となるのだ。

■男子MO総合TOP5(第4戦終了時点)
1位:ミカエル・キングスベリー(CAN)360pt
2位:堀島行真(JPN)290pt
3位:ニック・ペイジ(USA)245pt
4位:ウォルター・ウォルバーグ(SUI)180pt
5位:マット・グラハム(AUS)176pt

男子MOは上位の点差が女子ほど開いていないが、キングスベリーが本命であることは揺るがない。堀島が残る2戦で優勝しても490点なので、キングスベリーが2戦とも2位だと総合Vには届かない計算となる。そして、そんな状況を引っ掻き回す台風の目になるのがウォルバーグだろう。負傷により開幕戦を欠場したため当初からMO総合優勝争いにはハンデのあった北京五輪金メダリストは、ヴァルセントカムでMO2位、DM優勝と勢いに乗っている。キングスベリーを3位以下に追いやる可能性のある、堀島にとってはある側面では強力な援軍であるとともに、別の側面では自身を脅かす恐ろしい敵でもある。ともかく、優勝を目指す堀島にできることは、200点をとることだけなのだ。

独立した種目となることで、DMの魅力が増し増しに。とくに男子の総合優勝争いはエキサイティングだ

DMは混戦模様。最終戦のファイナルまで目が離せない展開に!

■女子DM総合TOP5(第3戦終了時点)
1位: 川村あんり(JPN)280pt
2位:ペリーヌ・ラフォン(FRA)220pt
3位:エリザベス・レムリー(USA)164pt
4位:ジャカラ・アンソニー(AUS)139pt
5位:マケイラ・ガーケン-スコフィールド(GBR)132pt

続いてDMはどうか?女子DMは川村がイエロービブをつけたまま折り返したが、ラフォンとの点差は60点なので、まだまだ先はよめない。川村は3戦では優勝2回、2位1回と、昨季までのDMが苦手なイメージを完全に払拭に成功している。むしろ、いまの川村の特性はDMでこそより生かされている印象すらある。
だが、これまでにあらゆる世界タイトルを独占してきたラフォンにとっては、未経験のW杯DM総合優勝はなんとしても果たしたいところだろう。2強の総合優勝争いは最終戦のトーナメントのテッペンまでもつれ込むか?

■男子DM総合TOP5(第3戦終了時点)
1位:ウォルター・ウォルバーグ(SWE)205pt
2 位:フィリップ・グラベンフォース(SWE)185pt
3 位:ミカエル・キングスベリー(CAN)182pt
4 位:堀島行真(JPN)161pt
5 位:ベンジャミン・キャヴェ(FRA)120pt

開幕戦欠場で、MO総合優勝を捨てたといってもいいウォルバーグにとって、DM総合優勝は喉から手が出るほど欲しいタイトルだ。常にハイスピードながら巧みなスキー操作をみせるウォルバーグは、DM新時代を象徴する選手だといえる。総合トップは納得だ。
しかしながら、DMは残り3戦あり、100点以内に上位陣がひしめいているため予想が難しい。堀島にも逆転Vの可能性は十分にある。今後は、上位陣同士の直接対決で一瞬でも怯んだ選手が脱落していくことになるのだろう。

堀島は、MO、DMともまだ目標とする総合優勝の可能性を残している。最後まで諦めずに食らいついていくだろう

さて、次のW杯は2月2日(MO)と4日(DM)、ディアバレー(USA)での2戦だ。そこでいかなるドラマがあるか?

文:STEEP

STEEP

スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/

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