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もはや川村は、“絶対王者”キングズベリーと並んでも貫禄負けしない存在になった
*表1
22/23シーズンW杯スケジュール
2022年
| 日程 | 種目 | 会場 |
| 12月3日 | MO | ルカ(FIN) |
| 12月10日 | MO | イドレ(SWE) |
| 12月11日 | DM | イドレ(SWE) |
| 12月16日 | MO | アルプ・デュエズ(FRA) |
| 12月17日 | DM | アルプ・デュエズ(FRA) |
2023年
| 日程 | 種目 | 会場 |
| 1月27日 | MO | ヴァルサンコム(CAN) |
| 1月28日 | DM | ヴァルサンコム(CAN) |
| 2月2日 | MO | ディアバレー(USA) |
| 2月4日 | DM | ディアバレー(USA) |
| 2月11日 | DM | ヴァルマルンコ(ITA) |
| 2月17日 | MO | アルマティ(KAZ) |
| 2月18日 | DM | アルマティ(KAZ) |
*2022年12月12日現在
男子編でも触れたが、今季のモーグルW杯の大きなトピックは、モーグル(以下:MO)6戦、デュアルモーグル(以下:DM)6戦とMOとDMの割合が50/50となったことである。これは、ミラノ・コルティナ五輪よりDMの正式種目化が決まったことと関連した現象である。これまでは〈MO>DM〉というイメージがあったが、両者が対等になったのだ。
ちなみに、五輪MO金メダル、世界選手権MO優勝、世界選手権DM優勝、W杯MO総合優勝、W杯DM総合優勝というモーグルの5大世界タイトルを手にした選手は過去に2名いる。カーリー・トゥロー(NOR)とジェニファー・ハイル(CAN)である。そして、現役トップのペリーヌ・ラフォン(FRA)は、そのうちW杯DM総合優勝以外の4つを手にしている。当然彼女は今季、その未獲得のタイトルを狙い、3年後に五輪DM金メダルという6つ目の世界タイトルを狙うことになるのではないだろうか。ただし、日本のモーグルファンとしては、その6冠を川村あんり(JPN)がこれから3シーズンですべて奪取する展開を期待したいところである。
3強が順当に表彰台に上がるが、DMでは違った展開の可能性もあり
すでにW杯は12月3日にフィンランドのルカで開幕している。その結果をチェックしつつ、女子のシーズン全体を展望したい。
3強時代突入も金メダリストの名前は開幕戦にナシ。何が起きた?
■女子
1 ジャカラ・アンソニー(AUS)
2 ペリーヌ・ラフォン(FRA)
3 川村あんり(JPN)
開幕戦の表彰台には、順当に3強が上がった。ラフォンはトップにいる期間が長いのでベテランのようなイメージがあるが、アンソニーと同じ24歳であり、まだ衰える気配はない。ただ、追いかける立場であり、アグレッシブさを信条とするアンソニーに勢いを感じるのは確かだ。ジャッジの評価も高い。一方、川村はターン、エア、スピードと三拍子揃った恐ろしいほどの安定感を誇る。少なくともMOは、今季もこの3選手を中心に展開されていくだろう。
予想がしづらいのがDMだ。ラフォンはDMで取りこぼすことがときどきあり、川村に至っては昨季のDM総合順位は柳本理乃(11位)を下回る12位であり(両者とも4戦中2戦に出場)、過去の戦績もMOとDMでは差があるのだ。おそらく川村は、DM攻略を課題をとしてオフシーズンを過ごしてきただろう。“DMでも総合V争いに加わる川村”が見られるか、それとも後述するアメリカ勢に阻まれるか?
選手層が厚く勢いのあるアメリカ勢が台風の目となる
北京五輪でメダルを逃したラフォン(中央)と川村(左)だが、W杯MOでは心配な要素がない。DMではどうなるか?
トップ3以外の要マークなのは、強烈に分厚い戦力を誇るアメリカ勢である。まず、オリビア・ジアッシオは昨季の開幕戦で優勝、W杯総合4位、北京五輪で6位になった。MOでは安定してスーパーファイナルに残っており、常に表彰台に近いポジションにいる。ジャエリン・カーフは超攻撃的なターンで北京五輪の銀メダルを掴んだ。DM大会の増加は彼女にとって歓迎すべき事態だろう。カイ・オーエンズはW杯DM総合3位。そして、五輪出場はなかったが16歳エリザベス・ レムリーは、昨季W杯MOで8戦中5戦のみの出場で総合9位。さらに、北京五輪7位のハナ・ソアー、W杯優勝経験のあるテス・ジョンソンもいる。この強力メンバーは3強のリズムを崩す存在になりそうだ。
DM表彰台経験者の柳本に大ブレイクの予感。フレッシュな戦力に期待大
もし、彼女が北京五輪に出場していたら上位に入っていたのでは? 柳本(右)はそんな妄想をいだかせるだけの“何か”を持っている
星野純子、堀島と結婚した住吉輝紗良が引退。顔ぶれが変わった日本チームの戦力を確認したい。12月のヨーロッパラウンドに出場選手と開幕戦の順位は下記のようになっている。
■女子
3位 川村あんり(日本体育大学桜華高等学校)
8位 柳本理乃(愛知工業大学)
9位 伊原遥香(愛三工業スキー部)
11位 冨高(中が目)日向子(多摩大学)
17位 中尾春香(大阪産業大学)
21位 梶原有希(東海大学札幌スキークラブ)
梶原(中央)は昨季の全日本選手権DM優勝、2位は冨高(中が目)(左)、3位は中尾(右)だった
規定により北京五輪を逃したが、昨季はW杯DMで初表彰台(2位)経験を経験した柳本が川村を追う存在だ。攻撃的なパフォーマンスをみせる彼女はいかにもDMで力を発揮しそうなタイプであり、それは実に楽しみな要素である。また、W杯復帰となった伊原は9位と決勝進出。頼もしい存在だ。今や女子の最古参選手となった冨高(中が目)の経験値の高さはチームに大きなプラス。W杯出場2シーズン目の中尾、初のレギュラー入りとなった梶原は切磋琢磨しながら成長していくだろう。
文:STEEP
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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